売れすぎて一時休売、という状況で話題をかっさらっているのがアサヒビールの「アサヒ生ビール」(通称マルエフ)と「アサヒ生ビール黒生」(こちらは、正式には発売延期)です。マルエフは11月24日から発売再開されますが、メディア向けに事前入手していた幸運から、それぞれを試飲レビューしたいと思います。
マルエフは麦の豊かなうまみとライトな爽快感で上品
マルエフと黒生に共通しているのは、復刻商品ということ。前者は1986(昭和61)年のデビュー、後者は1982(昭和57)年に発売された「アサヒ黒生ビール」がルーツとなっています。まずは簡単に、マルエフから生い立ちや通称名の由来などを解説しましょう。
マルエフとは社内呼称である開発記号(○のなかにF)がその名の由来です。
発売後も開発記号で呼ばれるマルエフは、それだけアサヒビールの社内でも愛されているということでしょう。事実、社運を賭けた商品だったそうで、Fというのは不死鳥フェニックスのこと。不死鳥のように復活との願いが、マルエフの名に込められています。
マルエフは1986年に発売されると、期待通りの大ヒットに。しかし1993年に缶は終売します。なぜなら、1987年にデビューした「アサヒスーパードライ」が社会現象級のメガヒットとなり、その生産に集中せざるを得なかったからです。ただしマルエフにも根強いファンが多かったことから業務用の樽生は残り、飲食店で愛されるビールとして定着。そしてこのたび、缶が復刻という形で発売されることとなったのです(実は2018年に限定で復活はしています)。
味は、ソフトなアタックとスムースな飲み口が印象的です。麦の豊かなうまみがやさしく広がり、あとから苦みがほんのりと。シャープで辛口なスーパードライとは対照的な部分もありますが、上品なキレや爽快さがすっきり感を醸成し、ドライとはまた違った飲みやすさがあります。