2016年のクリスマスも終わりを告げ、世間では華やかな雰囲気から一点して年越しモードへ。日本では年末の習慣のひとつに「年越しそば」というものがありますが、年末年始になると一部のそば屋は長期休暇に入ってしまいます。
そこで本稿では、いまのうちに有名店でそばを嗜んでもらうため、これまで紹介した店を改めてピックアップ。なかでも、近年のトレンドのひとつである「肉そば」に注目しました。昼間のランチにはもちろん、夜に食べても満足できる、ボリューム満点のそばの数々を紹介します。
【その1】
河北や/小川町
神田錦町にある、「河北や」は、「つったい肉そば(冷たい肉そば)」が食べられる店。「つったい肉そば」とは、山形県中央部・河北町の名物で、身の締まった親鳥の肉を使い、その骨でだしを取るのが特徴です。同店はこれを「肉そば」として提供しています。
そのスープをひと口飲むと、鶏のだしの濃厚さに驚かされるはずです。かえしは山形の甘口しょうゆを使い、だしのうまみに、独特の甘みと風味を加えているので、シンプルなのに力強い、体に沁みる味がします。そばは山形のそば粉を使った田舎そばで、モチモチとした歯応えが特徴。具材の鶏肉もうまみたっぷりで、これらを全部かき混ぜてかき食らうのが〝河北流〟とのこと。
【その2】
きうち/人形町
食などのグルメが満喫できる町・人形町で、同店は安くておいしいゆでたてそばが食べられる店として人気を集めています。同店のそばは、やや平打ちの田舎風。モチモチ食感で食べ応えがあり、透明感のあるつゆはかつおの風味が濃厚でしょっぱすぎず、ほのかに甘い味わいです。
黒い壁に白いのれんの組み合わせの外観が大人の雰囲気を演出しています。なお、客層は大学生から年配者まで幅広く、女性客も多いとのこと。店外にはテーブル席(立席)もあり、晴れた日にはここで下町風情を味わいながらそばをすするのもオツなものです。
【その3】
南天/椎名町
同店は、この迫力満点の「肉そば」がメインの人気店。平打ちの太麺はモチモチの食感で、つゆはかつお節や昆布でだしを取ったすっきりまろやかな味わいです。具の肉は豚肉の薄切り肉を甘辛く味付け。そばと肉を一緒に食べれば、まろやかなつゆに肉のうまみが溶け出しておいしさが倍増します。さらに粗めに切ったねぎの辛味が、肉やつゆとベストマッチ!
客層は小学生からお年寄りまで幅広く、女性も多いとのこと。常連は肉そばにキャベツやとろろなど、思い思いのトッピングを加えています。電車を途中下車して食べにくる人も多いそうです。ちなみに店頭にはレゲエが流れています。開店当初に若い人にアピールしようと流し始めたようですが、いまや「レゲエの流れる立ち食い店」が代名詞となるほどの人気店に。
【その4】
そば助/稲荷町
他に類を見ない“塩だし”つゆを使う同店は、立ち食いそば界に新風を吹き込む注目店。オーナーはそばが国民食と言われつつ、つゆがしょうゆ味だけなことに疑問を持ち、「そばは様々なソースに合う」との信念から塩だしそばを完成させました。
しょうゆを一滴も使わないつゆを口に含むと、だしの力強いうまみが広がります。カツオ節や宗田節など10種類以上の素材で作っただしのうまみをしっかりと味わうには、塩が最適だといいます。同店は、その塩だしをベースにメニューを豊富に展開。一品一品が通常のそば店にはない、独創的な味になっています。
【その5】
深大寺門前そば/千歳烏山
同店は調布市の名店、「深大寺門前そば本舗」ブランドのゆで麺とつゆを使用。やや細めでモチモチのゆで麺、かつお節や昆布でだしを取ったマイルドなつゆの組み合わせは往時の駅そばと同じで、この味を懐かしむ客はとても多いようです。
人気メニューの「肉そば」は、ラーメンのチャーシューのような大判の豚肉がのっています。肉は店のそばつゆでじっくり煮込んでいるので、そばとの相性も抜群です。なお、同店では店頭でおにぎりやゆで麺も販売。昔ながらの町のそば店という風情で人気を博しています。
※価格やメニューは変更になっている場合があります。また、年末年始の営業は店舗までご確認ください。