2024年7月2日、台湾発祥の人気ティーカフェ「ゴンチャ(Gong cha)」が、「貢茶(ゴンチャ) 黒糖烏龍ミルクティー」と「貢茶 阿里山烏龍ピーチティーエード」をセブン-イレブン限定で新発売。当日お店に行ってみるとかなり売れているようで、ヒットの兆しを感じました。発表会レポートに加え、トレンド感や商品の味と特徴も解説します。
タピオカだけじゃない「ゴンチャ」人気のワケ
いまや世界に2000店以上を展開する「ゴンチャ」は、2006年に台湾・高雄市で誕生。日本には2015年に1号店を構え、同じく台湾から2013年に上陸した「春水堂(チュンスイタン)」とともに、二大巨頭としてシーンに君臨していきます。
特に「2019 ユーキャン新語・流行語大賞」のトップ10に「タピる」(タピオカドリンクを飲むこと)が選ばれた当時は、トップランナーとしてブームをけん引。その後の鎮静化とともに多くの競合が勢いを失うなか、しかし「ゴンチャ」と「春水堂」はいまでも高い人気をキープしています。定着したといえますし、全国に視野を広げれば拡大の余地もあるでしょう。
筆者の個人的な見解として、タピオカブームが去ったあとも「ゴンチャ」と「春水堂」が人気である理由は、先行者利益だけではないと考えています。シンプルにドリンクとしてのクオリティが高いのです。茶葉の品質にこだわった味わいはまさに本格的な現地の味。いま風にいえば“ガチ台湾ティー”なのです。
なぜ「午後ティー」のキリンが開発を手がけたか?
そんな「ゴンチャ」のなかでも特に人気の味をペットボトルで再現したのが、今回の「貢茶 黒糖烏龍ミルクティー」と「貢茶 阿里山烏龍ピーチティーエード」。発表会では「ゴンチャ」の大ファンを公言する、俳優でフィギュアスケーターの本田望結さんが登壇し、「あの味がペットボトルになっても変わらないことに感動しました」と熱弁していました。
開発を手掛けたのは、キリンビバレッジ。国民的紅茶飲料の「キリン 午後の紅茶」や、今春のリニューアルで大ヒットしている「キリン 生茶」といったお茶の名門ブランドを手がける、同社の高い技術力に惚れ込んだ「ゴンチャ」が監修する形でタッグを組んでいます。
しかしそう聞くと、「ゴンチャのペットボトルが午後ティーや生茶のライバルになってしまうのでは?」と思う人もいるでしょう。しかし今回のライバルはお茶ではなく、どちらかというとコーヒーなのです。
加えてコーヒーは飲料だけでなくカフェなど競合が多く、市場において紅茶ほどの伸びしろはないでしょう。一方で台湾ティーと紅茶はアレンジして飲む文化があったり女性人気が高かったりと共通点が多く、その点は緑茶と違うので「キリン 生茶」と直接的にはカブりません。こうした状況に勝ち筋を見出したのです。
黒糖烏龍はナッティでピーチティーはキュートな味!
商品の特徴と味を紹介していきましょう。「貢茶 黒糖烏龍ミルクティー」は、中国福建省産の香り高い烏龍茶葉と、コクのある黒糖の甘みがマッチ。特にタピオカミルクティーブームのころは、絶大な支持を集めていたフレーバーです。
実際に飲んで感じたファーストインプレッションは、「ペットボトルでこの味は新しい!」ということ。確かに店舗版「ゴンチャ」の黒糖烏龍ミルクティーを思わせる、茶葉の芳しいリーフ感と香ばしさは健在。さらにどこか、マカダミアナッツやきな粉(焙煎大豆)を思わせるようなナッティなニュアンスがあり、それも「ゴンチャ」らしい風味だと思います。
そして「貢茶 阿里山烏龍ピーチティーエード」は、台湾のお茶どころである阿里山(アリサン)産の烏龍茶葉を使用。華やかな香りと、甘くジューシーな黄桃との調和が特徴のフルーツティーです。
こちらは台湾やアジアンティーの特徴である、花のオリエンタルなエッセンスを思わせる香りが印象的。やはり甘みは実店舗の「普通」ぐらいですが、それが華やかな風味と相まって、全体的にキュートな味わいに。こちらのほうは特に、コアターゲットである若い女性に刺さりそうだと感じました。
冒頭でかなり売れていることに触れましたが、その背景には今回の商品購入1本ごとに「キリン 午後の紅茶」の対象フレーバーが1本もらえる期間限定キャンペーンも関係していると思いますが、この購入特典を抜きにしてもヒットしそうな完成度の高さを感じました。本家同様、“ガチ台湾ティー”といっちゃっていいでしょう。
なお、キャンペーンは期間限定ですが、商品の販売自体に現状の期限はありません。このまま好調に売れれば、別の新フレーバーも登場するかもしれないですし、他社から本商品の競合となるような台湾ティーのペットボトルが新発売されるかも。何はともあれ、この夏は激アツです!