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2017/4/16 20:00

AR & VR対応のハイエンドSIMフリースマホ「ZenFone AR」の実力は?

ASUSは4月13日、都内で新製品発表会「Zennovation」を開催し、SIMフリースマートフォンの新モデル「ZenFone AR(ZS571KL)」(ゼンフォン エーアール)を国内向けに発表。同機はグローバル向けにはCES 2017で発表されており、「Tango」と「Daydream」の両方に対応する世界初の機種としてプロモーションされています。

 

筐体は高負荷処理に耐えられるハイエンド仕様に

同発表会のキャッチフレーズは「その現実は今、拡張する」でした。発表されたZenFone ARは、文言通りAR & VRに対応するのがポイント。そのため、高負荷な処理に耐えられるようなハイスペック仕様となっています。まずは基本性能からチェックしておきましょう。

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↑ZenFone AR。ホームボタンは指紋センサーを兼ねます。メモリ容量が異なる、RAM8GB/6GBの2ラインナップを展開。発売は2017年夏の予定で、希望小売価格は上位モデルが10万7784円(税込、以下同)、下位モデルが8万9424円

 

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↑こちらは背面。サイズは約W77.7×H158.98×D4.6~8.95mm。片手でもなんとか扱えました

 

ZenFone ARは5.7型のファブレットサイズ。同じく「Tango」に対応するレノボの「Phab 2 Pro」(6.4型)よりも一回り小ぶりです。ボディも約170gでサイズの割には軽量と言えるでしょう。ディスプレイはWQHD (2560×1440ピクセル)のSuper AMOLEDを、ガラスは傷に強い「Gorilla Glass 4」を採用。画面占有率は79%となります。

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↑筐体は非常にスリムに感じました。右側面には電源ボタンと音量調節ボタン。ボタンのディティールにはZenシリーズ特有のスピン加工が施されています

 

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↑左側面にはカードスロット

 

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↑下側面にはイヤホンジャック。なお、USBはType-Cを採用します

 

カラーバリエーションは「ブラック」の1色のみ。2モデルともにOSにはAndroid 7.0、プロセッサーにはQualcommのSnapdragon 821(クアッドコア、2.35GHz)を搭載。上位モデルはスマホとして世界初となる8GB RAMを積んでいます。また、GPUには同じくQualcommの「Adereno 530」を搭載し、高負荷の描画にも対応します。

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↑サウンドはハイレゾ音源に対応。ハイレゾ対応イヤホン「ZenEar」も同梱される予定です。なお、発売時に同梱されるイヤホンは上記写真とは異なる可能性があります

 

背面カメラは2300万画素でF値は2.0。ソニーのIMX318イメージセンサーを搭載しています。光学式・電子式手ぶれ補正(OIS/EIS)に対応するほか、4K動画の撮影も可能。

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↑背面カメラは2300万画素

 

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↑前面カメラは800万画素。「美人エフェクト」でお肌ツルツルです

 

また、約0.03秒の超高速AFもサポートします。レーザーAF、像面位相差AF、コンティニュアスAFを統合した「TriTech AF」により、動きのある被写体や暗所での撮影でもピントが合わせやすいのが特徴です。

 

なお、詳細は後述しますが、Tangoを実現するために機能が異なるレンズを別途2つ搭載します。

 

通信面に関しては、2つのnano SIMで同時待受けができる「DSDS(デュアルSIMデュアルスタンバイ)」に対応。キャリアアグリゲーションは2CAおよび3CAをサポートします。充電は「Quick Charge 3.0」に対応していて、約39分で60%までチャージ可能です。

 

背面のトリプルカメラで次世代ARを実現

さて、ZenFone ARで一番のウリになるのが「Tango」をサポートしたことです。背面に搭載された3つのカメラを活用して、現実の映像とAR(拡張現実)を一致させます。対応端末としてはレノボの「Phab 2 Pro」が先行して発売されています。

 

仕組みをざっくりと解説すると、「深度カメラ」が赤外線で対象物との距離を測り、「モーショントラッキングカメラ」が動きの情報を得て、移動した分を補正するということ。

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↑ZenFone ARでは、2300万画素のカメラ(左上)、モーショントラッキングカメラ(左下)、赤外線プロジェクター(右下)と赤外線カメラ(右上)で「Tango」を実現しています

 

従来のARでは、画面上に表示されたCGと現実世界の地形はリンクしていませんでした。つまり“野生のモンスター”が画面上に表示されても、机の上には乗りませんでした。CGと地形をリンクさせるには、マーカーを設置するなど特殊な環境を作り、それを端末に認識させる必要があったからです。

 

しかし、「Tango」の場合はCGと現実の物体がリンクします。例えば、画面上に表示させたCGのネコが椅子や机の上に座ります。机の上に置いた本の上にドミノを並べることも可能。

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↑Tango対応のARアプリで表示させた恐竜。ちゃんと机の上に乗っています

 

家具の配置をシミュレーションするなど、商業的な活用も期待されています。また将来的には、スーパーマーケットで商品情報表示や、屋内の案内表示にも活用できるかもしれません。

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↑画面内後方にある緑のイス、左のイスはARで表示しています。このアプリではCGと人の位置関係が正しく表示される機能を搭載していて、手がCGの前方に表示されています

 

3Dモデリングを試せるアプリでタッチアンドトライ会場の様子を写してみましたが、これが結構楽しい。手持ちの高さから撮影した場合も、上から下から、と視点を変えて3Dデータを眺められます。なお、特徴点の少ない場所や、赤外線が届かない広い場所、反射しないガラスなどはうまく検出できないこともあるそうです

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↑3Dモデリングを試してみました

 

VRゴーグルも付属

同機は、Android向けのVRプラットフォーム「Daydream(デイドリーム)」にも対応しているため、VRコンテンツも楽しめます。

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↑Daydreamの使用イメージ

 

ただし、専用ヘッドセットの「Daydream View」は現時点では国内で発売されていません。そこで同機の箱が組み立て式のゴーグルになるように設計されています。

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↑ZenFone ARの入っていた箱は、上フタを同梱のパーツと組み立てるとVR用のヘッドセットとなる

 

そのほか、本体背面を傷や衝撃から守るクリアケースも標準で付属。また、別売のアクセサリーとして、専用の「View Flip Cover」が同時発売される予定とのこと。

 

上位モデルは10万円越え。しかし、現時点で「Tango」対応アプリが遊べる端末は貴重な存在です。また、処理性能はもちろん、カメラやサウンドなどの基本性能も高め。「そろそろ次のハイエンドのSIMフリースマートフォンを……」と検討している人は、ぜひチェックしておきましょう。

 

【SPEC】

●OS:Android 7.0 ●CPU:4コア、2.35GHz ●RAM/ROM:8GB/128GB、または6GB/64GB ●画面:約5.7型WQHD(2560×1440ピクセル) ●バッテリー:3300mAh ●連続通話時間:約930分(3G) ●連続待受時間:約182.8時間(LTE) ●カメラ(背面/前面):2300万画素/800万画素 ●サイズ/質量:約W77.7×H158.98×D4.6~8.95mm/約170g