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2017/6/7 11:35

【西田宗千佳連載】Appleは教育で「コンピュータの新しい使い方」を目指す

「週刊GetNavi」Vol.55-3

↑アプリの充実度でAndroidやWindowsのタブレットをリードするiPad
↑アプリの充実度でAndroidやWindowsのタブレットをリードするiPad

 

教育市場向けのコンピュータとして、Appleは主にiPadを推している。このことは、特に日本市場では前向きに捉えられており、外資系が不利と言われる日本の教育向け市場において、かなりの健闘を見せている。

 

一方で、キーボードが必須になりつつあるアメリカの教育市場では苦戦し始めている。過去には「教育といえばAppleの独壇場」と言われていたのだが、いまは特に12歳・13歳よりも上の年齢においては、Chromebookのシェアを追いかける立場だ。

 

Appleは低価格なノートPCの市場に対し、iPadで対抗する戦略を採っている。これはいまのところ、成功しているとはいえない。iPadなどタブレットは閲覧が中心で、PCとは役割が違う……と多くの人が考えており、そことのアンマッチが生まれているから、と筆者は考える。

 

だが、Appleが教育用のコンピュータとしてiPadを推すには、もちろんそれなりの理由がある。それは、iPadをAppleが「閲覧用の機器」とはまったく考えていないこと、そして、その要素が教育にはより重要である、と思っているからである。

 

iPadの特徴は、片手で持ててタッチで操作できて、カメラやマイクを内蔵していることだ。例えば、体育の授業で、カメラで友だちのフォームを撮影して確認する。屋外で野草を撮影し、それをレポートにまとめる。ペンで書き込みをする。これらの要素は、クラムシェル型のノートPCでは実現が難しい。タイプを中心とした使い方であればいいが、いまやコンピュータの活用はより広がっており、その価値を最大に使えるのが教育で、そこでは従来のクラムシェル型よりiPadが向いている……というのが、Appleの主張である。そして実際、AppStoreには前述の作業を実現するアプリが多数存在する。WindowsやAndroidのタブレットでも同じ事は機能的には可能なのだが、アプリの充実度ではiPadに一歩も二歩も譲る。

 

こうした価値を最大化するために、Appleは「Apple Teacher」というサービスを用意している。これは教師向けのもので、Apple製品を教育に活かすためのスキル作りやアイデアを伝え、交換することができる。もちろん、利用は無料だ。

 

iPadは新しいコンピュータである、といっても、その使い方がピンときている人は少ない。忙しい教師であればなおさらだ。それを助け、機材導入だけで終わらないようにすることを、Appleは狙っている。

 

別のいい方をするならば、いかに「キーボードでのタイプで終わらない使い方をアピールするか」が、Appleの教育市場での成功のカギになるのだが、いまはまだそれが想定ほどうまくいっていない……ともいえるだろう。

 

では、もうひとつの巨人であるマイクロソフトは、Windows 10 Sでなにをしようとしているのだろう? そのあたりは次回のVol.55-4にて解説したい。

 

●Vol.55-4は6月14日(水)公開予定です。

 

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