格安SIMで運用できるSIMフリースマホの使用者が増加しています。比較的安価に購入できるSIMフリースマホですが、なかでも2~3万円台で購入可能なミッドレンジ帯の製品は要注目。性能・デザインともに成熟しており、サブ機としてだけでなくメイン機としても十分に使えるスペックのモデルが登場しています。今回は、ミッドレンジ帯の製品を中心に、カメラやバッテリー性能などの5項目をITライターの井上 晃さんがチェックしました。
カメラは通常撮影のほか、機種によって差が出やすい暗所撮影なども検証。スタミナは“自動の明るさ”にてWi-Fi経由でストリーミング動画を再生し、電池残量をチェックしました。また、処理性能は「Antutu Benchmark」のスコアに加え、3D描写の多いゲームアプリの実行速度も検証。ディスプレイは最大輝度やコントラストなどを評価しました。操作性は片手操作の容易さや、この価格帯でも搭載が進む生体認証の有無などを確認しています。
検証結果は、総合評価でファーウェイの「nova lite」が優勢に。ASUS「ZenFone 3 Max」もスタミナの豊富さが高評価につながりました。
【トレンド01】2枚のSIMを活用できるDSDS対応が増加!
DSDS(デュアルSIMデュアルスタンバイ)をサポートする機種では、2枚のSIMで同時待受けが可能。複数のSIMを1台のスマホで使い分けたい上級者向けの機能です。
【トレンド02】2~3万円のミッドレンジ帯もメタルやガラスを採用
これまで割安な価格帯のモデルは樹脂製のボディが多かったのですが、最近は2~3万円台でもメタルやガラスを用いた光沢感のあるデザインが主流に。ビジネスシーンでも使いやすくなっています。
【要チェック01】動画やゲームに最適なフルHD画質がマスト
従来2~3万円台のモデルはHD画質のディスプレイが多かったのですが、最近はフルHDのモデルが増えており、こちらを選びたいところ。今回紹介する4機は全てフルHDです。
【要チェック02】3Dゲームなどを楽しむなら8コアCPUは最低限ほしい
SIMフリースマホは機種によって処理性能に大きな差が。同価格帯の場合、CPUは8コアあると3D描写の多いゲームを扱うのに安心です。今回の4機種はすべてクリア。
処理性能テストでダントツの好成績!
ファーウェイ・ジャパン
HUAWEI nova lite
実売価格2万1384円
ファーウェイが若者向けブランドとして展開する「nova」シリーズのエントリーモデル。CPUにはKirin655を搭載し、同価格帯としては高い処理性能を誇ります。DSDSへの対応は上位機種の「HUAWEI nova」(実売価格3万9020円)のみで、こちらは非対応です。
SPEC●OS:Android 7.0 ●連続待受時間:約531時間(LTE) ●連続通話時間:約21時間(WCDMA) ●RAM:3GB ●ROM:16GB ●背面カメラ:約1200万画素 ●DSDS 非対応 ●ボディ素材:背面ガラス ●画面:5.2型フルHD ●CPU:8コア 2.1GHz+1.7GHz ●サイズ/質量:W72.94×H147.2×D7.6mm/約147g
【背面カメラ作例】
処理性能の高さは普段使いの不満のなさに直結する
「Antutuベンチマークスコアは約55000で、他3機種に約10000も差をつけました。ゲームアプリ起動も最大で10秒の差が開くことも」(井上)
格付:S
合計21点/25点(カメラ:5、スタミナ:4、処理性能:4、ディスプレイ:4、操作性:4)
ジェスチャー操作対応で使いやすい
モトローラ
Moto G5
実売価格2万3980円
本体にはビード吹付加工されたアルミニウムを採用。背面は緩やかにカーブし、手に馴染みやすい形状。DSDSは今夏以降のアップデートで対応する予定です。なお、方位センサーは非搭載なので注意。
SPEC●OS:Android 7.0 ●連続待受時間:非公表 ●連続通話時間:非公表 ●RAM:2GB ●ROM:16GB ●背面カメラ:約1300万画素 ●DSDS:今夏対応予定 ●ボディ素材:アルミニウム ●画面:5.0型フルHD ●CPU:8コア、1.4GHz ●サイズ/質量:W73×H144×D8.7mm/約149g
【背面カメラ作例】
ずば抜けて優れた項目はなくともバランス感が◎
「5型の扱いやすいサイズで、生体認証やジェスチャー操作も対応で使い勝手は◎。ただしコンパスの機能が使えない点は注意です」(井上)
格付:A
合計19点/25点(カメラ:5、スタミナ:4、処理性能:3、ディスプレイ:3、操作性:4)
スタミナが豊富で長時間使用も安心!
ASUS
ZenFone 3 Max(ZC553KL)
実売価格3万円
昨年12月に発表された5.2型「ZC520TL」に続き、4月に登場した5.5型。画面がHDからフルHDに向上し、カメラ、メモリも強化しています。新たにB19周波数帯に対応し、ジャイロスコープも追加。残念ながらDSDSは非対応です。
SPEC●OS:Android 6.0.1 ●連続待受時間:約909.3時間(au VOLTE) ●連続通話時間:約26.1時間(au VOLTE) ●RAM:3GB ●ROM:32GB ●背面カメラ:約1600万画素 ●DSDS:非対応 ●ボディ素材:アルミニウム ●画面:5.5型フルHD ●CPU:8コア1.4GHz ●サイズ/質量:約W76.2×H151.4×D8.3mm/約175g
【背面カメラ作例】
高いスタミナはサブ用のスマホとしても魅力的
「スタミナが高い分、画面の“自動の明るさ”は暗めの設定です。スタミナ重視の選択や、サブ機としての運用に最適でしょう」(井上)
格付:S
合計21点/25点(カメラ:5、スタミナ:5、処理性能:3、ディスプレイ:4、操作性:4)
5・5型としては割安な価格が魅力的
VAIO
VAIO Phone A
実売価格2万6760円
昨年3月に発表されたWindows 10 Mobile搭載の「VAIO Phone Biz」の筐体を生かしたAndroid版モデル。メタルボディに、5.5型のフルHD液晶を搭載しています。DSDSに対応していますが、指紋センサーなど生体認証機能は非搭載。
SPEC●OS:Android 6.0.1 ●連続待受時間:約500時間 ●連続通話時間:約11時間(3G) ●RAM:3GB●ROM:16GB ●背面カメラ:約1300万画素 ●DSDS:対応 ●ボディ素材:アルミニウム ●画面:5.5型フルHD ●CPU:8コア 1.5GHz+1.2GHz ●サイズ/質量:約W77.0×H156.1×D8.3mm/約167g
【背面カメラ作例】
アルミニウムを削り出したボディは、堅牢さを備えています。ブラスト加工により、触り心地が滑らかな点も魅力。
画面サイズの割にお買い得だがスタミナが心許ない
「フルHD画質の大画面モデルが2万円台は割安。ただし、スタミナが低いので、外出時の利用にはモバイルバッテリーがあると安心です」(井上)
格付:B
合計16点(カメラ:3、スタミナ:3、処理性能:3、ディスプレイ:4、操作性:3)
番外編:あのオンキヨーが作ったハイレゾスマホの実力は!?
オンキヨー
GRANBEAT DP-CMX1
実売価格9万490円
ハイレゾ再生対応のデジタル・オーディオ・プレーヤーとして活用できるSIMフリー機。デュアル仕様のDAC&アンプやオーディオ専用基板を搭載し、良音を楽しめます。
SPEC●DSDS:対応 ●ボディ素材:アルミニウム ●画面:5.0型フルHD ●CPU 6コア 1.8GHz+1.4GHz ●サイズ/質量:W72×H142.3×D11.9mm/約234g
【背面カメラ作例】
「Antutuスコアは78000台と高め。ディスプレイはマットな質感ですが、輝度・色合いは◎。スタミナは★4つに相当します。生体認証非対応が惜しい」(井上)
私がチェックしました!
ITライター・井上 晃
国内市場向けの最新モバイル機器を中心に取材。情報誌やウェブメディアで記事を執筆している。