デジタル
2017/7/11 9:00

「TVや映画でよくみるやつ!」 スカイロボット、熱を可視化する「スカウター型サーモグラフィ」を発表!

国内のドローンベンチャー企業であるスカイロボットが、物体の熱エネルギーを検知する超小型赤外線カメラ搭載のヘッドマウントディスプレイ「Boson/スカイスカウターIR」を商品化。8月上旬に予定している発売に先駆けて、新製品発表会が開催されました。

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↑赤外線カメラユニットを搭載するスカイロボットの「Boson/スカイスカウターIR」。右手側にカメラ、左目の前にビューワーというスタイルです

 

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↑被写体の熱エネルギーを検知し、色分けして表示

 

直径約2cm半のカメラコアユニットで小型・軽量化を実現

今回スカイロボットが開発した「Boson/スカイスカウターIR」は、赤外線サーモグラフィカメラのトップブランドとして知られている米FLIR Systems社のカメラコアユニット「Boson」を搭載しています。Bosonは米国25セント硬貨とほぼ同じ直径約2cm半ほどのユニットに先進技術を凝縮したもので、これを採用することにより、ヘッドマウントディスプレイの小型・軽量化を実現。利便性の高いウェアラブルデバイスとしているのが特徴です。

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↑頭部のカメラユニット。ウェアラブルということで、小型化が装着時の負担減に直結します

 

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↑FLIR Systems社の赤外線カメラモジュール「Boson」

 

製品を開発したスカイロボットの代表取締役社長 貝應大介氏は「従来の赤外線カメラはモジュールのサイズが大きく値段も高かった。FLIR Systems社のBosonはとても小型・軽量で高性能な赤外線カメラ。しかも高性能のCPUを内蔵しているので、様々なモジュールと組み合わせて新しいカテゴリの製品をつくりやすい。使用可能温度もマイナス40度から80度まで幅広く、過酷な状況下での作業にも耐える。これからのIoTの発展を加速させる画期的なモジュールだ」と語り、Bosonの性能に太鼓判を押しています。

 

セット一式で40万円弱

ヘッドマウントディスプレイ部はカメラと単眼ビューワーで構成され、バンドで頭に装着すると右側にカメラ、左目の前方にビューワーがくるようなスタイルになっています。バンドはフレキシブルに曲がる樹脂素材でできているので、例えば帽子やヘルメットの上からでも簡単に着脱ができるように工夫されています。

 

ただ、ヘッドマウントディスプレイのカメラとビューワーはワイヤレス化されていないので、それぞれを「Boson/スカイスカウターIR」としてシステムで販売する別筐体のスティックPCとコントロールボックスにつなぎ、電源を供給する必要があります。ビューワーに表示される画面内の操作は専用のリング型ワイヤレスリモコンで行います。

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↑コントロールボックスにケーブルで接続して使用

 

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↑メニュー操作に使用するリング型のワイヤレスリモコン

 

一式をそろえたセットの販売価格は39万5000円(税別)。後述する用途やこの値段から考えて、まずはビジネス向けのウェアラブルデバイスとみてよいかもしれません。

 

具体的な使用シーンは?

赤外線カメラモジュールが捉えた映像は物体の熱エネルギーを可視化することに特化しており、カメラに写った人やモノの熱エネルギーを赤や青、緑などに色分けした特殊な映像がビューワーに表示されます。具体的な使用シーンとしては、光が射さない闇夜や、濃く霧がかった場所でも熱を持つ物体の位置を把握できるので、人命救助や動物などの生態調査に役立てることができます。商品を開発したスカイロボットでは、そのほか夜間警備などのセキュリティ分野や建造物の点検(漏電や水漏れのチェック)といった用途にも活用できると説明しています。

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↑防災や警備など、さまざまな活用シーンを提案

 

カメラで撮影できる映像の最大解像度は1280×720/60p。次の動画をご覧いただくとわかりますが、人のカタチや動きもしっかり把握できます。

映像はリアルタイムでのストリーミング視聴だけでなく、接続したスティックPCのストレージに録画・保存することもできます。

 

赤外線カメラを搭載した小型ドローンも企画中!?

スカイロボットはFLIR Systems社のBosonや先行発売されているVueなど、赤外線カメラモジュールをアジア地域で独占販売する代理店契約を結んでいます。貝應氏は「赤外線カメラを中心としたAI(人工知能)やIoTに関わるビジネスに大きな成長の期待を感じている。スカイスカウターについても可能性豊かな製品だと考えているので、あえてビジネスターゲットを限定せず、いろいろなお客様に価値を提案していきたい」と今後の期待を語りました。

 

スカイロボットは太陽光パネルのメンテナンスにドローンを活用したり、ドローンから取得したビッグデータの解析ソリューションなどを提供したりするドローン・ビジネスのスペシャリスト。そうした背景から、「今後、Bosonの赤外線カメラをビルトインした小型ドローンを開発する計画はないのか?」と、発表会に参加した記者から質問が投げかけられました。貝應氏は「もちろんプロジェクトはスタートしている。超小型モジュールの特徴を生かして、例えばインフラの配管設備の中を飛行できる超小型の赤外線カメラ搭載ドローンをつくるアイデアも描ける」と語り、具体的な計画も交えながら開発に対する積極的な姿勢をアピールしました。