電子ペーパーはスケッチボードに
電子ペーパーディスプレイでは、キーボードのほかに、「手書きノート」と「PDF表示」という2つの機能が使えます。特に使い勝手が良さそうなのが手書きメモ機能の「E-Ink ノート」。電子ペーパーディスプレイがシンプルなノートになり、付属のペンでメモを残せます。付属のタッチペンの書き味は、まるで本物の紙に書いているようになめらか。まるでスケッチボードにメモを書いているかのように錯覚しそうです。
ノートに書いた内容は、本体の専用領域に自動で保存されます。コピー&ペースト機能を使って、Windowsでも画像データとして活用できます。電子ペーパー側には文字認識機能などはなく、あまり描き込むというよりは、サッと書いたものを記録するくらいの使い方がちょうど良さそう。タブレットスタイルで電子ペーパー側だけを表示すれば、自動保存付きメモボードとして重宝しそうです。
文字認識やイラストの色塗りなど、凝った機能を使いたいなら、Windowsの画面(カラーディスプレイ)にそのまま描き込む方が手っ取り早いかもしれません。カラーディスプレイ側もタッチパネル搭載で、ペンも使えます。
電子書籍にはもう一工夫ほしい
ところで、電子ペーパーといえば、電子書籍リーダーではおなじみの素材です。光らないため長時間読んでいても目を傷めない、バッテリーの消費量が少ないといった特性があり、まさに電子書籍のような動きが少ないものを表示するのに適しています。
YogaBook C930にも、PDF形式に書類を表示する機能があります。表示だけでなく、書き込んで記録するといった用途にも使えます。GetNaviのような雑誌の編集者なら、原稿に修正指示を書く「校正」にも使えそうですね。
少しもったいないなと思ったのが、表示できるのはPDF形式の書類に限られていること。Amazon Kindleの電子書籍や、電子書籍ファイルで主流となっている「ePub形式」には対応していません。PDF形式の電子書籍もありますが、メジャーとはいえません。表示できるファイルの種類がもう少し多ければ、それこそKindleの代わりにバシバシ使えるのにな、と残念に思います。
キーボードさえ慣れればガッツリ使える
YogaBook C930を使う前は、正直、最初は「イロモノ」だと思ってあなどっていました。「画面に表示したキーボードなんて、使い物になるのだろうか……」と。
ところが、バイブレーション機能をオンにすると、実物のキーボードを打っているような感覚に! しっかりとダマされてしまいました。1週間も使い込んだ今は、画面を見ないタッチタイピングもふつうのキーボードと変わらない精度でできるようになりました(この原稿もYogaBookで書いています)。
キーボードさえ慣れてしまえば、良いところがたくさん見えてきます。たとえば、持ち運びのしやすさ。ちょうどA4に近いサイズで、ファイルケースやクリップボードのようにサッと持ち運んでパッと開けるのは魅力の1つです。電子ペーパーを使ったメモ機能も、たとえば展示会取材のような、立ったままメモを取るシーンでは重宝しそうです。
使い込み次第で、唯一無二の相棒になりそう。YogaBook C930は、そう思わせるポテンシャルを秘めたモバイルPCでした。
撮影/我妻慶一