インターネットやIT機器、SNSサービスなどを安全に利用するために知っておきたいセキュリティ情報を、IT問題に詳しい識者が解説する連載企画「知っておきたいITセキュリティ」の第2回目は、SNSやスマートフォンなど身近なIT問題に詳しいITライター・スマホ安全アドバイザーの鈴木朋子さんによる「LINEのアカウントを守る設定」です。
LINEにまでスパムの魔の手が
皆さんは家族や友人と連絡を取るとき、みなさんはどんな手段を使いますか? メールや電話などは使わず、すべてLINEでまかなっている人も多いでしょう。MMD研究所が2018年12月に発表した「2018年版:スマートフォン利用者実態調査」によると、LINEで1日にメッセージを送信する回数は1~10回(54.9%)がもっとも多いとのこと。LINEがコミュニケーションインフラとして欠かせないツールになっていることを改めて実感します。
さて、そんなLINEですが、最近は知らないアカウントからメッセージが来て迷惑しているとの声も聞かれるようになりました。こうしたスパムアカウントは、出会い系サイトやアダルトサイト、海賊品と思われるブランド商品の販売サイトへと誘導します。キャリアメールやEメールで散々イヤな思いをしているのに、LINEにまでスパムが来るとうんざりしますよね。
なぜLINEアカウントを知られたか
そもそも、なぜスパムアカウントはあなたのLINEアカウントを知ったのでしょうか。理由は5つ考えられます。
1.電話番号
LINEは携帯電話番号に紐付いているため、ランダムに数字を組み合わせることで、LINEアカウントを探し出すことができます。
2.QRコード
LINEで友だち追加するとき、QRコードでアカウントを交換することができます。このQRコードの画像がどこかでスパム業者に渡ってしまうと、アカウントを知られることになります。
3.ID検索
LINEのアカウントには、LINE IDを付けることができます。IDは英数字の文字列なので、口頭でIDを伝えることもできて便利なのですが、スパム業者が簡単に推測できるデメリットもあります。
4.連絡先のシェア
「友だち」が「友だち」のアカウントを教えるとき、トークルームのメニューで「連絡先」をタップし、アカウントをシェアすることができます。「友だち」がスパム業者に連絡先を教えることはほぼ考えられませんが、「友だち」のアカウントが乗っ取りに合った場合は、繋がっているアカウントがすべて流出する可能性があります。
5.同じグループに参加しているアカウントを追加
同じグループにいるアカウントは、友だち追加ができます。ある人が「友だち」に追加し、そのアカウントが乗っ取られたら、同じグループにいるアカウントを次々と友だち追加し、スパム業者の間で広めることができてしまいます。
迷惑LINEを受け取らないために
自分のアカウントがスパム業者に知られてしまうと、相手の「友だち」から自分を削除することはできません。どうしても消したい場合は、自分のアカウントを作り直すしかないのです。それはあまりにも負担が大きいですよね。
ではせめて、これ以上流出しないように、自衛するための設定を行いましょう。まずは、電話番号で友だち追加されないように設定します。
次に、IDによる友だち追加を拒否します。続いて、友だち以外からメッセージを受信することも拒否します。さらに、QRコードも更新しましょう。QRコードを更新すると、以前のQRコードを読み取っても、あなたのアカウントが表示されることはなくなります。これらの設定はすべて「プライバシー管理」画面で行えるので、まとめて設定してしまいましょう。
「友だち」ではないアカウントからメッセージが来ると、トークルームの上部にメニューが表示され、「ブロック」や「通報」ができます。不快な思いをする人がこれ以上増えないように、「通報」しておくといいですね。通報は理由にチェックを付けて送るだけなので手間は掛かりませんし、誰が通報したかを相手に知られることはありません。指示に従って進むと、ブロックもできます。
通報されたアカウントは、LINEによって調査され、規約に違反していると判断されるとアカウント削除などの措置が取られます。迷惑な思いをしていても、対処の仕方がわからないユーザーもいるかもしれません。明らかにスパム業者とわかったときは、通報するようにしましょう。
(ITライター・スマホ安全アドバイザー/鈴木朋子)