解決策③「受信端末のアンテナの改良」
受信端末そのもののアンテナを改良する方法もあります。米クアルコムは死角で弱まった電波を拾えるアンテナモジュールを開発。このモジュールを搭載したサムスンの5Gスマホを18年12月に発表しています。
また、スウェーデンのエリクソンは、電波を受信するプラスチック製の柔軟でコンパクトな形状のアンテナの研究開発にも取り組んでおり(画像上)、布に埋め込んだ形状のものもあります(画像下)。実用化はまだ先とのことですが、景観を毀損することなく5Gに対応できる点が評価されそうですね。
一方、エリクソンはNTTドコモやAGCと「ガラス一体型5Gアンテナ」も共同開発しています。電波がガラスを通過する際に弱まってしまう前に、クルマや建物のガラス面に貼り付けたアンテナで電波を送受信。安定した5G通信を可能にします。
5Gの事例: バスが変わる
前述した中国電信と成都公交集団はバスターミナルに基地局を設置しています。乗客らはWi-Fi経由で5G通信を使って4Kや8Kの映像を楽しめます。しかし、5G導入の真の狙いは顔認証決済によるバス乗車。顔認証決済では高精細の画像データのやりとりを行うため大容量の通信環境が求められますが、そこで5Gが必須となります。
さらに、長期的にバスの運行管理を人工知能が補助する構想もあり、そこにおいても5Gは欠かせません。ターミナルの監視カメラの映像や決済端末のデータから乗客流通量を把握し、過剰な混雑を防ぐためにバスを増便するなどして運行を最適化します。監視カメラの映像や決済端末のデータを通信するうえでも5Gは欠かせないのです。
このように、これからの情報社会において5Gは大切な社会インフラの1つとなるでしょう。