Vol.81-4
スマートディスプレイで、AmazonとGoogleは激しく競争している。消費者としてはどちらを買うべきか、迷いどころである。
とはいえ実は、そんなに難しい話ではない。むしろ、同じ音声アシスタントを使った「スマートスピーカー」より、スマートディスプレイのほうが、プラットフォーマーによる機能差が大きく、選びやすい傾向にあるからだ。
つまるところ、AmazonのEcho ShowとGoogleのスマートディスプレイの違いは、「Amazonのサービスに特化」しているか、「Googleのサービスに特化」しているか、という部分に集約されるといっていい。
Echo Showでは、Amazonでの買物やPrime Videoの再生ができる。一方、Google Nest Hubは、Google Mapでの経路検索やYouTubeの再生ができる。ただし現状、Echo ShowでYouTubeは再生できないし、逆にGoogle Nest HubでPrime Videoは見られない。両社はスマートディスプレイ向けのサービスについて、お互いにサービスを提供しあっていないのだ。そのため、Echo ShowではAmazonのサービスは使えるがGoogleのサービスが使えず、Google Nest HubではGoogleのサービスは使えるものの、Amazonのサービスが使えないのである。
わかりやすくはあるが、これは消費者側から見れば、なんとも迷惑な話である。ちょっと前まで、両社の諍いはテレビにも及んでいた。GoogleのChromecastではAmazon Prime Videoを表示することはできず、AmazonのFire TVスティックではYouTubeアプリは使えなかった。
ただ、テレビにおいては、両社の関係は改善し、サービスの相互利用が可能になった。両社の間に雪解けムードがある、ということなのだろう。だからスマートディスプレイやスマートスピーカーについても、将来的に相互利用が可能になるかもしれない。だが少なくとも、原稿を執筆している7月下旬の段階では状況は変わっておらず、「Amazonのサービスを使いたいならEcho Show」、「Googleのサービスを使いたいならNest Hub」と考えるしかない。
また、現状のGoogle Nest Hubにはビデオカメラがなく、ビデオ通話の機能がない。遠隔地をつないでビデオ電話的に使いたい場合、Echo Showシリーズのほうを選ぶべきだ。
スマートディスプレイ用のサードパーティー製アプリについても、Echo Showの方が進んでいる。Amazonはディスプレイ付きデバイス(Echo Showだけでなく、タブレットやテレビも含まれる)向けにアプリを開発する情報を積極的に公開しており、日本でも多数のアプリが出ている。だがGoogleは、この点ではどちらかといえば消極的。Google自身が提供する機能に注力している印象が強い。
そういう意味では、今のところ、筆者は「GoogleのサービスにこだわらないならEcho Showのほうがいい」と思っている。だが、Googleマップを含め、Googleのサービスを使えることが魅力的なのも確か。両社の関係が早期に改善することを望んでいる。
ともあれ、冒頭で述べたように、現状では「Amazonのサービスか、Googleのサービスか」を選ぶことこそ「スマートディスプレイ選び」となっているのである。
週刊GetNavi、バックナンバーはこちら!