iPadを片手にワークショップで講演するじゅえき太郎さん。ゆるふわな昆虫のイラストを得意とする彼が、iPadとApple Pencilがあれば家庭でもできる描きかたのコツを教えてくれた。奇抜でユニークな題材も、真似してみると面白いぞ。
じゅえき太郎さんとは?
じゅえき太郎さんは、1988年生まれで東京出身。「ゆるふわ昆虫図鑑」シリーズの作者であり、イラストレーター、画家、漫画家という肩書きを持つ。彼の代表作とも言える昆虫のイラスト・漫画は、まるで着ぐるみを着ているかのように、二本脚で直立し、人の顔がついたゆるーい作風が特徴的。Twitterのタイムラインなどで彼の作品を目にしたことがある人は、その印象的な作風が記憶に残っているかもしれない。こうした昆虫に顔が付く作風は、岡本太郎の影響を受けたという。
「太陽の塔が作られたときのエピソードが好きなんです。本来、小さくされてしまいそうだった塔でしたが、そんなのは嫌だと貫いて、70m級の作品になったといいます。僕も本を作るときなどに、出版社相手にビビって飲まれてしまうときはある。でも、彼のようにわがままにはならない範囲で、しっかり自分を貫きたいという想いがあるんです」
8月11日に川崎市岡本太郎美術館で開催された「じゅえき太郎とゆるふわ昆虫戯画」なるワークショップで、じゅえき太郎さんは、参加者にこう語った。
「ーー今日は、皆さんに自分を貫いた作品を作って欲しいと思います」
全ての基礎であるデッサンが、iPadなら簡単に
同ワークショップの対象は小学校3年生以上〜中学生。大人も参加していたが、大部分は子どもたちだ。
使用するアプリはiPad版の「Tayasui Sketches School」。多様なブラシが揃い、切り抜き処理なども簡単に行える。「スケッチは基本。絵が苦手でもiPadだったら少し得意になります。上手い人はもっと上手くなれます」、とじゅえき太郎さん。キャラクターの形にデフォルトする場合も、ツノの形や、脚の跗節(ふせつ)などがしっかり描けていれば、特徴が伝わる。イラストを描く上でも、普段の観察とスケッチは重要とのこと。
ワークショップでは、iPadで昆虫の写真を取り込み、不透明度を下げて、輪郭をなぞっていくので、難易度はさほど高くない。どんな線があるのかを意識しながら、写真をなぞることで、観察する眼も養われる。
ここから一気にシュールな作品へ
輪郭が描けたら、ペンで色付けをしていく。写真の色を忠実に再現する子がいる一方で、独創的な色を重ねていく子もいた。じゅえき太郎さんは、「僕の癖としては、凹凸に応じて色を変えています。けど、こうした場で子どもたちに描いてもらう時には、とにかく自由に描いてもらうのが良いですね。それに、その方が完成した時にシュールさが出て面白くなる」と話す。
続いて、インカメラで自撮りして、先ほどと同様にトレースしながら自画像を描いていく。参加者はイラストに合わせ、思い思いの角度で撮影を試みる。
iPadを使ったデジタルお絵かきでは、色の塗り方や、写真の角度など、もっとこうすればよかったと気づいたときに、すぐにやり直せるのが良い。似顔絵が完成したら、カッターのツールを選択して、それを囲みコピーする。ライブラリの一覧から先ほど描いた昆虫の絵を開き、インポートのメニューからペースト操作を行う。あとは、サイズや配置を調整して、整えて完成だ。
なお、完成した作品はポストカードに出力して、参加者に手渡され、美術館の入り口にも展示された。今回のワークショップで使われた「Tayasui Sketches School」はApp Storeで無料で提供されているアプリだ。iPadとApple Pencilを持っていれば家でも試せる。老若男女問わず、夏らしい作品作りにぜひ挑戦してみてほしい。
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