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2019/8/23 18:30

ゆるふわ昆虫絵師「じゅえき太郎」氏に学ぶ、夏休みの宿題をiPadお絵描きでアートにするひと手間

iPadを片手にワークショップで講演するじゅえき太郎さん。ゆるふわな昆虫のイラストを得意とする彼が、iPadとApple Pencilがあれば家庭でもできる描きかたのコツを教えてくれた。奇抜でユニークな題材も、真似してみると面白いぞ。

 

じゅえき太郎さんとは?

じゅえき太郎さんは、1988年生まれで東京出身。「ゆるふわ昆虫図鑑」シリーズの作者であり、イラストレーター、画家、漫画家という肩書きを持つ。彼の代表作とも言える昆虫のイラスト・漫画は、まるで着ぐるみを着ているかのように、二本脚で直立し、人の顔がついたゆるーい作風が特徴的。Twitterのタイムラインなどで彼の作品を目にしたことがある人は、その印象的な作風が記憶に残っているかもしれない。こうした昆虫に顔が付く作風は、岡本太郎の影響を受けたという。

↑じゅえき太郎さん。第19回岡本太郎現代芸術賞に入選。彼の作風はTwitter(@juekitaro)にて

 

 

「太陽の塔が作られたときのエピソードが好きなんです。本来、小さくされてしまいそうだった塔でしたが、そんなのは嫌だと貫いて、70m級の作品になったといいます。僕も本を作るときなどに、出版社相手にビビって飲まれてしまうときはある。でも、彼のようにわがままにはならない範囲で、しっかり自分を貫きたいという想いがあるんです」

 

8月11日に川崎市岡本太郎美術館で開催された「じゅえき太郎とゆるふわ昆虫戯画」なるワークショップで、じゅえき太郎さんは、参加者にこう語った。

 

「ーー今日は、皆さんに自分を貫いた作品を作って欲しいと思います」

 

全ての基礎であるデッサンが、iPadなら簡単に

同ワークショップの対象は小学校3年生以上〜中学生。大人も参加していたが、大部分は子どもたちだ。

↑アプリを起動して、ブラシを試す様子。タップやApple Pencilを駆使した操作説明が続くも、iPad世代は飲み込みが早い

 

使用するアプリはiPad版の「Tayasui Sketches School」。多様なブラシが揃い、切り抜き処理なども簡単に行える。「スケッチは基本。絵が苦手でもiPadだったら少し得意になります。上手い人はもっと上手くなれます」、とじゅえき太郎さん。キャラクターの形にデフォルトする場合も、ツノの形や、脚の跗節(ふせつ)などがしっかり描けていれば、特徴が伝わる。イラストを描く上でも、普段の観察とスケッチは重要とのこと。

↑じゅえき太郎さんは、普段は第1世代のiPad Proを使っているというが、取材日は持ちやすいiPadを使用。「元々はアナログだったけれど、2年前くらいに編集部からデジタルを勧められて、そこからiPadで描くようになった」といい、一切滞ることなくテキパキと操作を解説

 

ワークショップでは、iPadで昆虫の写真を取り込み、不透明度を下げて、輪郭をなぞっていくので、難易度はさほど高くない。どんな線があるのかを意識しながら、写真をなぞることで、観察する眼も養われる。

↑写真の昆虫の輪郭をトレースする参加者の様子

 

ここから一気にシュールな作品へ

輪郭が描けたら、ペンで色付けをしていく。写真の色を忠実に再現する子がいる一方で、独創的な色を重ねていく子もいた。じゅえき太郎さんは、「僕の癖としては、凹凸に応じて色を変えています。けど、こうした場で子どもたちに描いてもらう時には、とにかく自由に描いてもらうのが良いですね。それに、その方が完成した時にシュールさが出て面白くなる」と話す。

↑じゅえき太郎先生は立ったまま描いちゃう。さすがはプロ。ちなまに、昆虫好きになったきっかけは、小学校低学年のときに母の実家の岩手で、地元の子どもたちと行った昆虫採取だそう

 

↑色付けによって、独創的な昆虫の絵が仕上がっていく

 

続いて、インカメラで自撮りして、先ほどと同様にトレースしながら自画像を描いていく。参加者はイラストに合わせ、思い思いの角度で撮影を試みる。

↑顔を撮影したら、それをトレース似顔絵を仕上げていく

 

iPadを使ったデジタルお絵かきでは、色の塗り方や、写真の角度など、もっとこうすればよかったと気づいたときに、すぐにやり直せるのが良い。似顔絵が完成したら、カッターのツールを選択して、それを囲みコピーする。ライブラリの一覧から先ほど描いた昆虫の絵を開き、インポートのメニューからペースト操作を行う。あとは、サイズや配置を調整して、整えて完成だ。

↑デッサンと似顔絵を合体した先生のお手本をどーーーん。かなりシュールだが、それが授業の題材として非常におもしろい。グリーンをベースにアメリカンアート風の配色を心がけたとのこと

 

↑最後に参加者の作品もお披露目。「本来の眼とは違うところに顔がある。普段から昆虫を描いている僕では思いつかない発想になるので、面白い」、とじゅえき太郎さん

 

なお、完成した作品はポストカードに出力して、参加者に手渡され、美術館の入り口にも展示された。今回のワークショップで使われた「Tayasui Sketches School」はApp Storeで無料で提供されているアプリだ。iPadとApple Pencilを持っていれば家でも試せる。老若男女問わず、夏らしい作品作りにぜひ挑戦してみてほしい。

 

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