先日、慶応義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)にて、ドローンセミナーと体験会が開催されました。前回は実際にドローンを飛ばす体験フライトについてレポートしましたが、今回はセミナーの様子をお届けします。
前回の記事
“ドローン=危険”はもう古い? 安全性を大幅に高めたDJIの最新ドローン「Phantom 4」を体験
安全操縦の心がけや飛行前の準備は「クルマ」とそっくり
セミナーでは、慶応義塾大学の古谷教授やDJIでドローンパイロットを務める中村佳晴氏が登壇し、操縦者の心得や事前の機体チェック方法など、ドローンを運転するうえでの基本について解説が行われました。
基本的にドローンといえど、人間が操縦するものなので、クルマを運転をする人にとってはどれも当たり前のもの。ただ、当たり前だからこそ、疎かにしてしまいがちでもあるので、毎回確認してしっかりと心に留めておきたいところです。心得の4番は、自動車でも同様のことをいわれますが、たぶん大丈夫だろう、ぶつからないだろうの「だろう」操縦ではなく、危ないかもしれない、ぶつかるかもしれないの「かもしれない」操縦をこころがけることが大事となります。
操縦者の心得の5番目「機体の特性を把握」では、ドローンの飛行能力について把握する重要性について説明。クルマと同様、どのくらいのスピードが出るのかなど、あらかじめ自分の操縦する機体の特性を知っていれば、より安全に飛行することができます。また、操縦する前には必ず機体の状態もチェック。フライト計画も重要で、クルマでいえば遠出をする前に、ある程度地図を見てドライブ計画をたてるのと同様です。
また、昨年12月より施行された改正航空法についても説明が行われました。不慣れな操縦者が、イベントの会場や人口密集地域でドローンの墜落事故を起こし、社会問題にまで発展したのは記憶に新しいところ。その後の航空法改正により、ドローンを飛ばせる場所や時間に制限が設けられました。空港の周辺や人工集中地区、150メートル以上の上空、また夜間の時間帯などは、基本的に事前申請が必要。ドローンを飛ばす際には、このようなルールの順守が求められます。
ドローン操作の基礎
今回、体験で使用したPhantom 4の場合は、GPSだけでなく、ビジョンポジショニングにより位置情報を把握します。運転前にキャリブレーション(位置やコンパス情報の調整)を行い、位置情報を登録。これによりGPSが入りにくい屋内での飛行も可能にし、安定したホバリングができるようになります。Phantom 4は、操作していない状態だと必ず同じ場所に留まろうとするので、何か不測の事態が起きた場合、指を離して操作レバーをニュートラルにすると、自動で安定した体勢に戻ってくれます。
次にいよいよドローンの操作についての解説となります。電源を入れる時は、①プロポ→②機体の順番で入れます。もし、機体から電源を入れてしまうと、なんらかの電波で誤作動を起こした場合に、プロポから操作ができなくなってしまう場合があるからです。
操作はプロポの左右のレバーで行います。プロポの操作は日本のラジコンヘリなどで採用されているモード1と、世界標準であるモード2の2種類が用意されています。Phantom 4はデフォルトでモード2になっていますが、今回は日本で主流となっているモード1での操作を学びました。
モード1では、左のレバーの左右で左右の旋回、上下で上昇下降をします。右のレバーは左右で左右の移動、上下で前進後退をします。先ほども言いましたが、なにか操作がわからなくなったり、ご操作してしまった場合は、レバーから手を離すことで自動的に安定飛行を行えます。着陸する場合は、完全に着地するまで左レバーを下まで押し込みます。地上より低い位置に埋め込むようなイメージで行うとしっかり着地できます。
ドローンは様々な分野で活躍が見込まれる
最後に、慶応義塾大学ドローン社会共創コンソーシアム事務局長を務める南 政樹氏が、同大の取り組みについて説明してくれました。慶應義塾大学では、ドローンのある社会や産業について研究をすすめるとともに、自動車の自動運転や農業分野への展開、遠隔医療や在宅医療サービスなどさまざまな分野への転用を考察しています。
近い将来、私たちの生活の一部となりそうなドローン技術について、いまのうちに知識を深めておくとよいかもしれません。
【URL】
DJI http://www.dji.com/jp
製品情報ページ http://www.dji.com/jp/product/phantom-4