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2020/2/8 20:00

依然、中国メーカーは強いーーモバイルライターが海外取材で確信した中国スマホの力

1月7日〜10日に、米ラスベラスで開催された、世界最大級のエレクトロニクスショー「CES 2020」。実は取材陣から、昨年よりも存在感が薄れたのでは……と言われていたのが中国メーカーです。米中貿易摩擦もあり、昨年のCESでは中国メーカーの出展が減っていたのですが、今年はさらに減って、中国人の来場者も減ったように感じました。とは言え、依然として中国メーカーの出展は多く、筆者の目には、むしろ「こんな状況にも関わらず、中国メーカーは強い」と映りました。

 

 

アメリカでは買えない5Gスマホを出展したファーウェイ

筆者はモバイル分野を取材していますが、今年のCESで、最も気になっていたのがファーウェイの動向です。ファーウェイの製品は、安全保障上の問題が指摘され、現在も、ほとんどの製品は米国では販売されていません。米国商務省がファーウェイへの禁輸措置を講じているため、ファーウェイは米国企業の部品やシステムなどを使えない状況にあります。

 

ファーウェイが昨年10月にドイツ・ミュンヘンで発表した最新フラッグシップモデル「HUAWEI Mate 30」シリーズは、AndroidをベースとするOSを搭載しているものの、「Google Mobile Service(以下、GMS)」は入っていません。つまり、Googleのアプリがプリインストールされておらず、ユーザーが「Google Playストア」からインストールすることもできません。そのため、中国および一部の国を除き、発売が見送られています。日本でも、まだ発売されていません。

 

そんな中、米国で開催される見本市に、ファーウェイが出展する意義はあるのか? と気になっていたのですが、ファーウェイのブースはありました。昨年と同じく、CESのメイン会場ともいえるラスベガスコンベンションセンター(LVCC)のセントラルホールにて出展。そこで最も目立つように展示されていたのは、「HUAWEI Mate 30」シリーズの5Gモデルです。もちろん、Googleアプリは入っていません。

 

↑昨年と同じ場所に出展したファーウェイ。多くの来場者で賑わっていた

 

↑出展のメインは5Gスマホ。ただし、Googleアプリは入っていない

 

↑最新フラッグシップ「HUAWEI Mate30 Pro」の5Gモデル

 

CESは、電子機器を取り扱う世界中の企業が出展するイベントです。新しい商取引を求めて、米国内のみならず世界中から人が集まります。ファーウェイは、GMSに代わる統合的サービスとして、Huawei Mobile Service(HMS)の整備に力を入れています。今回のCESは、ファーウェイにとって、HMSに参画してもらうディベロッパーやパートナーを募う意味でも重要なイベントだったと思われます。

 

↑出展されていたスマホの端末情報画面を確認すると「Android 10」は入っていた

 

なお、補足しておきますが、ファーウェイへの禁輸措置には猶予施策があり、すでにGMSを搭載して販売されている端末のアップデートなどに問題はありません。日本で、昨秋以降に発売されたHUAWEI P30 ProやHUAWEI nova 5Tを使っている人も、そのまま使い続けられるので心配ありません。

 

↑フレキシブルディスプレイを搭載した5Gスマホ「HUAWEI Mate X」も出展し、注目を集めていた。やはり、Googleアプリは入っていなかった

 

米国で5Gスマホを発売するOnePlusが、新提案モデルを出展

大きなブースを構えていなかったものの、モバイル分野を取材する世界のジャーナリストから注目を集めていたのがOnePlus。高機能スマホに特化して開発・製造する中国のメーカーで、ここ数年、世界市場で急速な成長を遂げています。

 

米国ではすでに5Gの商用サービスが始まっており、キャリアのお店に行けば、5Gのスマホを買えます。筆者がラスベガス滞在中に、T-Mobile(ヨーロッパと北米でサービスを提供するキャリア)のお店に行ったところ、目玉商品として鎮座していたのが、OnePlusの「7T Pro 5G McLaren」というモデルでした。米中関係は良くないとは言え、アメリカのキャリアにとって、中国メーカーは欠かせない存在なのでしょう。ファーウェイのスマホは扱えず、数年前までは一定のシェアを持っていたZTE製のスマホも見当たりませんでしたが、空いた穴を埋めるように、中国の新興メーカーが入り込んでいました。

 

OnePlusが出展していたのは「Concept One」というコンセプトモデル。米国で販売中の「7T Pro 5G McLaren」をベースとするモデルで、マクラーレンとのコラボレーションモデルです。背面にはトリプルカメラを搭載していますが、透明率は変化するカバーガラスを採用し、普段はレンズが隠れるという新しいギミックを採用しています。インカメラも使わない時は本体内に隠れる仕様で、カメラの存在はほとんど目立ちません。

 

↑OnePlusが出展した「Concept One」。約6.7インチの有機ELディスプレイを搭載し、メインが48メガピクセルのトリプルカメラを搭載。センサーはソニー製とのこと

 

↑レザーを用いた美しいデザインで、特殊なガラスによりレンズが見えにくくなることが特徴

 

↑インカメラは上部から出てくる仕様

 

ハイエンドスマホは、レンズが増える傾向にあります。丸いレンズが並ぶデザインを嫌う人も少なくないようですが、「Concept One」は多眼カメラとデザインを両立させる新しいデザインを提案するモデルと言えるでしょう。なお、OnePlusの日本進出の予定を聞くと、「まだない」という回答でした。

 

中国の大手家電メーカーも5Gスマホを出展

米国市場に最も積極的な姿勢を示していたのは、中国の大手家電メーカー・TCLです。CESに合わせて開催したプレスカンファレンスでは、今年の第2四半期に米国市場に「TCL」ブランドのスマートフォンを投入することを発表。さらに、発売時期は明言しなかったものの、5Gモデルを発売することも予告しました。しかも、500ドル以下で発売することを宣言し、会場を沸かせました。

 

↑4眼カメラを搭載する「TCL 10」シリーズの発売を予告

 

↑3モデルのいずれも500ドル以下で販売予定

 

TCLは、テレビの出荷台数では、すでに世界2位に達しており、今回のCESで発表した8K液晶テレビも注目を集めていました。スマホは、これまでBlackBerryとAlcatelの端末の製造を手掛けていましたが、2019年から自社ブランドの端末も開発。一部の国で発売した「TCL PLEX」は、12月に日本でも発売されました。

 

今回発表した「TCL 10」シリーズは、米国だけでなく世界市場で展開する予定。スペックなどの詳細は、2月下旬にスペイン・バルセロナで開催される世界最大級のモバイル展示会「MWC」で明らかにするとのこと。5G時代の幕開けを機に、スマホにも力を入れていくことを宣言したと捉えていいでしょう。

 

↑左がハイエンドモデル「TCL10 Pro」で、右が5G対応の「TCL 10 5G」

 

↑TCLのスマホは、「NXTVISION」という高画質化技術を導入していることがセールスポイント

 

同じく、中国の大手家電メーカーであるハイセンスもCES 2020に出展し、大きなブースを構えていました。ハイセンスは、従来からスマホを出展していますが、今年は5Gスマホと、ディスプレイにカラー電子ペーパーの用いたプロトタイプを出展。今のところ、米国での発売予定はないそうですが、5G時代のスマホ勢力図に欠かせないメーカーになるかもしれません。

 

↑ハイセンスも5Gスマホを出展していた

 

↑ハイセンスは従来から電子ペーパーを搭載したスマホをリリースしているが、初めてカラー電子ペーパーを採用した試作機を出展。4096色表示で、電池持ちはモノクロの電子ペーパーと同等のとこと

 

日本でも今春から5Gの商用サービスが始まります。新たな中国メーカーが参入してくることも期待できそうです。

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