デジタル
2020/6/13 7:00

【西田宗千佳連載】「先進サービス」アピールで、次世代ゲーム機戦争を生き抜くマイクロソフト

Vol.91-4

 

本連載では、ジャーナリスト・西田宗千佳氏がデジタル業界の最新動向をレポートする。今回のテーマは、「次世代ゲーム機」。徐々に姿を現しつつある新型ゲーム機に共通する“次なるトレンド”とは何なのか?

 

マイクロソフトはXboxで「Xbox Live」というネットワークサービスを使っている。ゲームの購入・対戦などはすべてこのサービスのIDで管理されている。ちなみに、これがソニーの場合であれば「PlayStation Network(PSN)」が、任天堂の場合なら「ニンテンドーネットワーク」が同じような役割を持っている。

 

こうしたネットワークサービスは、現在のゲーム機には必須のものだが、今後、さらに重要な役割を果たすことになる。

 

マイクロソフトは同社プラットフォーム向けゲームで「Smart Delivery」という仕組みを導入する。現行の「Xbox One」向けゲームを買った場合でも、「Smart Delivery」対応作品であるならば、Xbox Series Xで再ダウンロードするだけで「Series X用」が手に入るというのがこの仕組みの特徴。上位機種版を買い直す必要がないわけだ。もともと同社は、Xbox版を買うとPC版も遊べる「Xbox Play Anywhere」という仕組みを持っている。こうした仕組みを俗に「クロスバイ」というのだが、機種の違いだけでなく世代の違いを跨いだクロスバイも実現しようとしているのである。「好きなゲームだが、ゲーム機が変わるたびに買い替えないといけない」ということが減るメリットは大きいだろう。また、クラウドを使った「Project xCloud」というストリーミングゲームサービスも計画されている。これを用いると、購入したXbox用ゲームが、AndroidやiOS端末でそのまま動く。ゲーム機がないときでもクラウドを活用して遊べるわけだ。

 

リビングで最高の体験を求める人にはXbox Series Xを提供しつつ、もっと安価にゲームを楽しむ方法や、場所を選ばずにゲームを楽しむ方法を用意し、「ネットワークサービス」が産む安心感と付加価値でユーザーを長く引き付けたい……。これがマイクロソフトの戦略だ。

 

クラウドゲーミングなどについては、ソニーはすでに「PlayStation Now」というサービスを提供済みだが、現在の位置づけはマイクロソフトのものとは異なる。PS4とPS5の「クロスバイ」のような仕組みを導入するかについても、この原稿を執筆している5月末の段階では公開されていない。

 

Xbox Series X

 

ゲームはすでにテレビの前だけでプレイされるものではない。かと言って、スマホとゲーム機とPCで分かれた世界、という形でもなくなりつつある。いかに長く、いかに安心してプラットフォームを使ってもらえるか、ということが、ゲームプラットフォームとしての大きな価値の一つになってきている。この点では、マイクロソフトが一足先に明確なポリシーを打ち出しており、そこを同社もアピールしているのだ。

 

もちろん、「面白く、人気のあるゲーム」こそが最大の価値ではある。本稿では、ほとんど名前の挙がらなかった任天堂の強みはココにある。一方で、任天堂のクラウド対応や先進的なゲーム機の提供といった技術面でのビジョンは不透明。そのため、ソニーやマイクロソフトとは別の市場を構成し、共存するような位置づけにいると言える。

 

次世代ゲーム機については、まだまだ未公表の情報が多い。これから発売までの半年ほどの間に発表される施策で、各社の戦略の見え方やゲーム機への注目度も変わってきそうだ。

 

 

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