「ゲーミングスマホ」って聞いたことはありますか? 文字通り、ゲームに特化して開発されたスマホです。具体的には、ディスプレイの表現力、タッチレンポンス、処理速度、バッテリー持続などが強化されています。これらの要素って、ゲームをするときだけでなく、普段の用途でも重視したいことですよね。というわけで、スマホでゲームをすることは少ないが、スマホ全般に関してはわりとヘヴィユーザーの筆者が「RedMagic 5」というゲーミングスマホを「普段使い」の視点で使ってみました。
RedMagic 5は、中国のNubia Technology(以下、Nubia)というメーカーが作ったモデルです。ZTEの子会社としてスタートし、現在は独立したスマホメーカーとして、デザインに凝ったゲーミングスマホや、腕時計型のスマホなど、尖ったモデルを続々とリリースし、世界市場での存在感を高めつつあります。このRedMagic 5は、日本で使用できる無線機であることを証明する「技適マーク」を取得した最初のモデルです。ただし、通信事業者は取り扱っておらず、家電量販店でも購入できません。メーカー公式サイトで注文すると、海外から製品が届く仕組みで、価格もドル建てです。当然、日本での知名度はまだ低いですが、人とは違うレアなスマホを使いたい! という人も要注目の端末です。
高速リフレッシュレートは普段使いでも重宝
ゲーミングスマホは、ディスプレイの大きさと解像度に加えて、「リフレッシュレート」という画面の更新速度も強化されています。通常は60Hz(1秒間に60回更新)のところが、ゲーミングスマホでは、90Hzや120Hzに切り替えられるようになっているのが一般的。RedMagic 5では、さらに速い144Hzに設定できます。素早いタッチレスポンスが求められるゲームをプレイする場合、144Hzに切り替えるとストレスを感じることなくゲームに没頭できるという趣向です。
デフォルトは90Hzに設定されていて、ゲームをしなくても快適なタッチレスポンスが得られます。また、ウェブページを素早くスクロールしたときの残像が少ないこともポイント。安定した高画質で見られるので、目にも優しいように感じられました。高精細な有機ELディスプレイを採用し、コントラストがはっきりした、メリハリが感じられる画質で表示されることも特徴です。YouTubeやサブスクの映画を観るにも適しているでしょう。
夜景も鮮明に撮れるトリプルカメラを搭載
Nubiaは、カメラにも力を入れているメーカーです。背面のトリプルカメラは、メイン(6400万画素)+超広角(800万画素)+マクロ(200万画素)という構成。メインカメラのイメージセンサーはソニー製の「IMX686」という、スマホ用としては大きめの1/1.7インチの撮像センサーを採用しています。
さまざまなシチュエーションで撮影してみましたが、安定してキレイな画質で撮れました。AIによる被写体・シーン認識にも対応し、それをオンにして撮ると、鮮やかさが増します。「ナイトモード」があり、夜景も鮮明に撮れるのも見逃せないポイント。画質は、他メーカーのフラッグシップモデルに勝るとも劣らずという印象です。
しかし、「カメラ」アプリのインターフェイスが独特で、操作に迷うことがありました。120°の画角で撮れる超広角カメラを搭載していますが、デフォルトの「PHOTO」では撮影できず、マニュアルの「PRO」モードに切り替えることで使えます。
まだ日本語化が不完全のようで、使用言語を日本語に設定していても、多くの項目が英語で表示されます。慣れないうちは、設定を変更したい項目が見つけられず、あたふたすることがあるかもしれません。
マルチタスク操作や動画編集も快適に行える
プロセッサーは「Snapdragon 865 5G」。主力メーカーがフラッグシップモデルに採用している最高峰のチップです。RAM(メインメモリ)は8GBと12GBのモデルがあり、筆者は12GBモデルを使っています。
筆者は国内で発売されたスマホは、ほとんどの機種に触れていますが、RedMagic 5のパフォーマンスはトップクラス。たくさんのアプリが起動したままの状態になっていたり、撮影した動画を編集しても、反応が鈍くなることはなく、スイスイと操作できます。
また、長時間ゲームをすることを想定して、独自の冷却システムを導入し、放熱効果を向上させていることも利点。例えば、充電時には、小さくウィ〜ンという音がするのですが、それはファンが回っている音で、それによって充電をしながら操作してもボディが熱くならないのだと思われます。
ゲーミングスマホの仕様は、ゲームに限らず、動画の編集や長時間の映画視聴など、負荷がかかる作業をすることが多い人にも有利でしょう。
標準的な使い方なら2日持つ大容量バッテリーが頼もしい
ゲームは電池の消耗が激しいので、一般的なスマホより多い4500mAhのバッテリーを内蔵しています。標準的な使い方であれば1日は余裕で持ち、省電力を意識すれば2日以上持つ容量です。
ヘヴィなスマホユーザーである筆者が使っても、1日で電池がなくなることはありませんでした。といっても、最近はコロナの影響で外出の機会が減っているので、電池持ちを心配する必要はないかもしれませんね。
斬新なデザインで “俺のスマホ” 感をアピールできる
ゲーミングスマホは、ターゲットが絞られているため、“攻めのデザイン” を採用している機種が多いように思います。RedMagic 5は「Hot Rod Red」と「Eclipse Black」の2色があり、筆者は「Eclipse Black」を使っています。背面パネルには、異なる模様を組み合わせた斬新なデザインを採用し、中央に配置したログは点灯し、その色はカスタマイズできます。
ディスプレイに表示される指紋センサーのマークや、充電中の表示も統一された世界観でデザインされています。画面デザインのカスタイズ性も高く、より “自分のスマホ” 感を強くすることもできます。
日本では5Gには接続できないので要注意!
RedMagic 5は、日本では今年の春に正式サービスが始まった「5G」にも対応しています。しかし、日本では5Gネットワークに接続できないので注意が必要です。なぜかと言えば、5Gの技適を取得していないからです。その理由について、Nubiaに聞いたところ、「日本の5G環境がとても限定的なため、もう少し日本の5Gが普及してから技適の取得を検討したい」という回答でした。
しかし、実際のところ、日本の5Gエリアはまだ超限定的なので、4Gにつながれば問題ないでしょう。4Gはドコモ、au、ソフトバンクのすべてのネットワークに対応しています。なお、海外渡航時は5Gに接続しても問題ありません。
パフォーマンス最重視のユーザーにはお買い得かも!?
ゲーミングスマホは、一見するとゲーマー向けで、フツーのスマホとしては使いづらい面があるように思われがちです。しかし、実際に使ってみると、ウェブを見たり、画像を編集したり、マルチタスク操作をしたりと、さまざまな用途で快適に使えます。あらためて「ハードウェアのスペックって大事だなぁ」と思うこと請け合いです。
RedMagic 5の価格は、8GB+128GBモデル(Hot Rod Red)が629ドル、12GB+128GBモデル(Eclipse Black)が649ドルですが、これらのモデルはすでに完売しています。9月3日から、基本仕様が共通で、冷却性能などを強化した後継モデル「RedMagic 5S」が発売されたからです。RedMagic 5Sの価格は、8GB+128GBモデル(Sonic Silver)が579ドル(約6万1500円)、12GB+256GBモデル(Pulse)が649ドル(約6万9000円)で、これらの価格には配送料と税金が含まれています。
大手キャリアが販売するモデルなら、このスペックなら10万円を超えてもおかしくはありません。マシンパフォーマンスに優れたスマホをお得に買いたいのであれば、チェックすべき端末でしょう。
今回のレビューではほとんど触れませんでしたが、ゲームが好きな人に超魅力的な端末であることは言うまでもありません。
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