デジタル
2021/5/4 6:00

Twitterの音声会話機能「スペース」、Clubhouseと比べてどう?

Twitterの音声会話機能「スペース(Spaces)」が、本日5月4日に正式に発表されました。2020年12月から米国でベータテストを開始し、日本では2021年2月から一部のユーザーにテスト権限が付与されていました。もしかしたら、スペースが開催されている様子をすでに見たことがある人もいるかもしれませんね。

 

 

音声SNSといえばClubhouse。文字や画像、動画、ライブ放送と様々なスタイルでオンラインによる交流をしてきた私たちに、Clubhouseは音声の魅力を教えてくれました。

 

音声交流が人々のニーズに応えることがわかり、他のプラットフォームも急ピッチで音声チャットの開発を行っています。Facebookは「Live Audio Rooms(ライブオーディオルーム)」を今夏までにリリース予定。掲示板サイト「Reddit(レディット)」も音声チャット機能「Reddit Talk」のプレビューを開始しています。

 

「スペース」は参加者が絵文字で感情を表現できる

スペースは、Twitterアプリ上で利用する音声チャット機能です。iOS、Android両対応なので、Clubhouseで音声体験をし損ねたAndroidユーザーも楽しめます。

 

スペースの機能を説明しましょう。スペースを開始するには、Twitterアプリのホーム画面右下にある「作成」ボタンを長押しします。すると、紫色の「スペース」ボタンが表示されるのでタップします。フォロワー数が600人未満のアカウントなど、このボタンが表示されないユーザーはスペースを開始することはできませんが、参加することはできます。

↑作成ボタンを長押しして、スペースボタンをタップすると開始される

 

スペースはすべてのユーザーに公開されます。スペースが開始されると、スペースに参加しているユーザーをフォローしているユーザーが、アプリ上部に表示される紫色の表示で開催中であることに気づきます。また、スペースのリンクをDMで送ったり、ツイートなどで共有することでユーザーを招待できます。

 

「スピーカー」として話をすることができる人は、ホストを含めて最大11人です。スペースを開催したら、スペース内の「設定」でスピーカーになれる人を選択しておくこともできます。「全員」、「フォローしているアカウント」、「スピーカーとして招待したアカウントのみ」の3つです。

 

ユーザーはその設定により、「リスナー」として入室するか、「スピーカー」か「リスナー」を選択してから入室します。「リスナー」が発言したい場合は「リクエスト」を送り、ホストに承認されるとスピーカーになれます。リスナーを含めた参加者は、自分のアイコン上に絵文字を表示することができるので、音声を発さなくても自分の感情を参加ユーザーに示すことができます。また、字幕(英語のみ)をオンにすると、聴覚障害を持つ人のために会話がテキスト表示されます。

↑絵文字を自分のアイコン上に表示できる

 

スペースの開催画面が表示されたら、スペースに「名前」を付けます。Clubhouseでは入室前にルームのタイトルから話題がわかりますが、スペースでは入室してみないと、この名前を確認することができません。どんなスペースなのかわからず、入ることをためらう人もいそうです。ただ、この名前はいつでも変更できるので、後から入室した人への説明として、「今はこのテーマで話している」とリアルタイムで更新してもいいですね。また、ツイートをスペース内に表示できるので、ツイートされた画像や動画を見ながら話すこともできます。

↑開始するときにスペースに名前を付けられる

 

 

 

今後、スペースを事前に予定しておく「スケジュール」機能とリマインダー機能、共同ホスト機能がサポートされる予定です。またキャプション機能は現在英語にのみ正式対応しており、日本語については今後精度を上げていくとのことです。

 

スペースは「音声による配信」に近い

「Clubhouse対抗」とも言われるスペースですが、その設計思想には違いがあります。スペースはTwitterという既存のプラットフォーム上に作られた機能なので、これまでツイートなどで交流してきたフォロー・フォロワー関係を重視しています。フォローしているユーザーがスペースを開催するとすぐ気づくことができますし、どんな話題で話しているかは二の次で、その人の話を聞くために入室するからです。

 

Clubhouseは、開催中、またはスケジュールされたルームのテーマを見て、興味を持ったら入室します。フォローしているユーザーがルームを開催したら通知を受け取ることもできますが、テーマで選択する人がほとんどでしょう。

 

そしてClubhouseは限定公開でルームを作成できるので、知り合いとの雑談やセミナーの打ち合わせなどにも利用できます。一方スペースは、公開範囲を限定することができません。スペースの開催は参加メンバーのフォロワーに知られる上に、誰でもリスナーとして参加できてしまいます。非公開アカウントにすれば、とも考えましたが、ヘルプによると非公開アカウントはスペースを作成することができないとのこと。

 

スペースはTwitterユーザーが聞けるコンテンツを配信してほしい、Clubhouseは音声交流を自由な形でしてほしい、という違いだと考えます。

 

投げ銭を始めたClubhouseに続いてTwitterも課金制実施の予定

なぜスペースはフォロー・フォロワー関係を重視し、音声チャットではなく配信に近い形式にしているのか、それはTwitterが将来考えている月額課金制「Super Follow(スーパーフォロー)」の一機能として捉えているからです。

 

Super Followは米国時間2月25日、投資家向けのイベントにおいて発表された計画です。月額課金(例示は月額4.99ドル)により、ファンがクリエイターを支援することができます。クリエイターはサポーターバッジ、独占コンテンツやニュースレター、コミュニティへのアクセス権などを提供できるほか、ツイートやフリート、そしてスペースの一部を有料で公開できるようになります。

 

今回、スペースに関しては、今後数か月のうちに限られたグループがチケット制のスペースを開催できるようになるとの発表がありました。ホストは、チケットの価格や販売数を設定することができ、チケット販売による収益の大部分はホストが得ますが、Twitterも少額の売上を得ます。

↑月額課金制「Super Follow(スーパーフォロー)」

 

Twitterが課金制に乗り出すことは大きな反響を呼びましたが、Clubhouseも4月5日、“投げ銭”機能である「Clubhouse Payments」を開始しました。こちらはクリエイターに対して、ファンが任意の金額を送金できる機能です。魅力的なイベントを開催することで、クリエイターがどんどん収益を上げられる仕組みです。

 

すでにTwitterで多くのフォロワーを集めている人は、Super Followでファンとの交流がますます盛んになるでしょう。Clubhouseは音声での魅力的なコンテンツ作りが収益のカギとなります。

 

YouTubeの「スーパーチャット」や、TikTokの「TikTok LIVE Gifting(ティックトックライブギフティング)」のように、ウェブサービスのトレンドはクリエイターが直接稼げる「クリエイターエコノミー」へと動いています。コロナ禍で思うように活動できないクリエイターでも、ネットを使って才能を活かせる世界がやって来ましたね。