コスパの高いスマホを続々とリリースし、日本でもファンを増やしつつあるシャオミ。8月13日には、auから「Redmi Note 10 JE」が発売されました。「JE」とは「Japan Edition」の意。おサイフケータイと防水・防塵に対応させた日本専用モデルで、5G対応ながら端末価格は2万8765円とお手頃です。
このRedmi Note 10 JEはどんな人に向いているモデルなのか? そこそこ使う人でも満足できるのか? じっくり使って検証してみました。
エントリーモデルとしては十分に満足できる操作性
まずは操作性から見ていきましょう。Redmi Note 10 JEのプロセッサーはSnapdragon 480 5G。まだ採用する機種が少ない新しいチップで、クアルコムの5G向けチップの中では、最もグレードの低いエントリーモデル向けのものです。
また、メモリー(RAM)も4GBと、昨今のスマホの中では少なめ。カタログスペックだけ見ると、正直パフォーマンスにはさほど期待できません。
しかし、実際に使ってみると、アプリの起動速度やタッチレスポンスは十分実用性があります。サクサクと操作できるハイエンドモデルに比べると若干もたつく印象はあるものの、電話、メッセージ、カメラなど、基本アプリの操作で不便に感じることはありません。
試しにスマホの処理速度を比較するベンチマークテストも実行してみましたが、ミドルクラス並みのスコアを記録しました。
ただし、使い続けていると、タッチレスポンスにタイムラグを感じたり、カクカクした反応になったりすることもありました。処理負荷の大きいゲームをプレイすることや、マルチタスク操作などには不利と考えておいた方がいいでしょう。
バッテリー容量は4800mAh。電池持ちは非常に良く、ややヘヴィーに使っても余裕で1日持ち、使い方によっては2〜3日持続しそうな印象です。テストとして、フル充電にしてから「Netflix」の映画を2時間再生しても電池は9%しか減っていませんでした。
大画面ディスプレイは魅力だが、スピーカーの音質には不満も
ディスプレイは液晶で約6.5インチ。有機ELに比べると、明るさに劣る印象はありますが、普段使いで気になることはありませんでした。液晶の落ち着いた色調を好む人にとっては使いやすいはずです。また、解像度は2400×1080ドットなので、小さい文字もクッキリと表示されます。
ディスプレイサイズが大きいため、「YouTube」や「Netflix」などの動画をフリスクリーンに拡大して表示すると、字幕が読みやすいことも利点。
リフレッシュレートは最大90Hzで、コンテンツに合わせて自動でリフレッシュレートが切り替わる機能も備えています。この価格で90Hzに対応しているのは画期的。ただ、筆者が試した範囲では、初期設定の60Hzから90Hzに切り替えても、さほどの差を感じられなかったというのが本音です。
それでもエントリーモデルであることを考えたら、ディスプレイ部分は普段使いでも概ね満足できるでしょう。
一方で気になったのが内蔵スピーカーの音質です。シングルスピーカーが底部に搭載されていて、そこそこの音量は出せるのですが、モノラルなので、動画を見ていると少々物足りなさを感じました。
カメラの性能は価格相応。AIの使い分けが難しい
アウトカメラは3眼構成。メイン(約4800万画素/F値1.79)+マクロ(約200万画素/F値2.4)+深度カメラ(約200万画素/F値2.4)という構成です。
マクロカメラは最短で4cmの距離で撮れますが、200万画素なので、さほど鮮明に撮れるわけではありません。深度カメラは、被写界深度を測るためのセンサーのようなもの。つまり、実際には、ほとんどの状況で約4800万画素のメインカメラを使うことになります。
メインカメラで撮った画像は1200万画素(4000×3000)で記録されます。つまり、4つの画素を1つに結合して撮影する仕組みです。ただし、「48M」モードに切り替えて、4800万画素(8000×6000)で記録することもできます。
気になる画質ですが、やや色が濃く写り、シチュエーションによっては若干暗く写るように感じました。ただし、「夜景」モードは、かなり明るく写りました。2万円台のスマホで、ここまで撮れたら上々と評価したいところです。
AIによるシーン検出にも対応していて、オンにすると、わかりやすく色調が変わります。使いやすいのですが、シーンによっては色が不自然になってしまうこともあり、頻繁にオン・オフの切り替えが必要だと感じました。
【作例フォトギャラリー】※画像をタップすると閲覧できます。一部SNSからは閲覧できません。
インカメラはF値が2.0で約800万画素。画質はエントリーモデルとしてはかなり良く、AIによる補正や、背景をぼかすポートレートモードでも撮影できます。
おサイフケータイと防水への対応は素直に歓迎
この機種の最大のセールスポイントとなっているが日本独自仕様。シャオミのスマホとしては、ソフトバンク向けに発売した「Redmi Note 9T」に続いてFeliCaを搭載しており、おサイフケータイや、Google Payで電子マネーを利用できます。
さらに、シャオミのスマホでは初めて、IPX8の防水とIP6Xの防塵に対応しています。IPX8は一定時間水没させていても、端末内部に浸水しない性能を示します。プールにドボンと落としてしまったり、突然の大雨に濡れてしまったりしても、速やかに対処すれば、故障する心配はありません。
シャオミのスマホが気になっていたものの、おサイフケータイや防水に対応していないことを理由に選択肢から外していた人には朗報と言えるでしょう。
シャオミによると、今後日本で発売するすべてのモデルが、おサイフケータイや防水に対応するわけではないそうですが、キャリア向けモデルでは対応機種が増えることが期待できそうです。
SIMフリーだが、5GはauとUQモバイルに最適化
Redmi Note 10 JEは、エントリーモデルながらボディの質感も悪くありません。背面パネルは光沢が強めのグラデーションで、サラサラとした手触り。カラバリは、使用している「グラファイトグレー」のほかに「クロームシルバー」があります。ちょっと地味なのですが、飽きが来ない色とも言えます。
指紋センサーは、本体右側面の電源キーに搭載。また、フロントカメラによる顔認証にも対応しています。指紋センサーの認証速度は遅くもなく、速くもなくと言ったところ。顔認証はスピーディーにロックを解除できました。
なお、キャリアモデルということもあり、SIMは1枚しか挿せません。ただし、SIMロックはかけられていないので、他社のSIMを挿して使うことができます。
5Gの周波数はKDDIが使うn28、n77、n78に対応しています。ドコモやソフトバンクが独自に使う周波数には対応させていないそうなので、KDDIの5G回線に適した端末と言い切って差し支えないでしょう。
じっくり使い込んでわかった○と×、必要な性能はきっちり仕上がっている
最後に、Redmi Note 10 JEの気に入った点と、不満を感じた点をまとめてみました。
Redmi Note 10 JEの○
・Webや動画が見やすい大画面ディスプレイ
・おサイフケータイと防水・防塵に対応
・余裕で2日以上使い続けられるバッテリー
Redmi Note 10 JEの×
・カメラの画質がイマイチ
・内蔵スピーカーがモノラル
・シャオミのほかのモデルに比べるとデザインが地味
こうして見ると、スマホの使い勝手として必要な部分はしっかりと仕上げ、それ以外のところは多少性能を抑えることで、低価格を実現していることがわかります。気に入った点と不満を感じた点を見て、購入を検討してみるのがいいでしょう。
【フォトギャラリー】※画像をタップすると閲覧できます。一部SNSからは閲覧できません。