最近目にすることが増えてきた、心を落ち着かせるとされるメンタルヘルス(ウェルネス、ウェルビーイング)系アプリ。こちらについて、プライバシー保護に大きな問題があるとの報告をMozillaの研究者が寄せています。
メンタルヘルス系のアプリではユーザーの精神状態を分析して表示したり、あるいは睡眠や瞑想のガイドを提供します。新型コロナウイルスによるパンデミックにより自宅での滞在時間が増えたことも、同様のアプリの躍進の原動力となっています。
一方で研究者の報告によれば、ほとんどのメンタルヘルスアプリではユーザーの気分や精神状態、生体データのような個人の生体データを収集しているにも関わらず、十分なプライバシー保護を打ち出していないと警告しています。報告では29ものメンタルヘルスアプリに対して連絡をとったものの、回答があったのは3社だけでした。
さらにAIチャットボットの「Woebot」ではユーザーの情報を収集し、広告目的で共有しているとのこと。またセラピーアプリの「Talkspace」でも、ユーザーのチャットを記録していると報告されているのです。
メンタルヘルスアプリが収集する広域な個人情報や生体データは、ターゲット広告などにおいて大きな価値を持つのも確か。ストレスを減らすはずのメンタルヘルスアプリでストレスが増えてしまうのはなんとも皮肉ですが、同様のアプリを利用する際には、個人情報の取扱に気をつけたいものです。