Apple Watchは、2016年発売のSeries 2以降は防水かつ水中ワークアウトにも対応しており、現在では水泳中の健康トラッカーとしても愛用されています。それとともに、このデバイスは命を守るライフガードとしても進化してきました。最近では、水中で身動きができなくなった女性が、Apple Watchで緊急電話をかけて救出されたと報じられています。
米オレゴン州ザ・ダレスの警察署によると、現地のコロンビア川で泳いでいた女性が足を岩に挟まれ、華氏56度(摂氏で約13度)の水中に閉じ込められているのを発見したそうです。救助された当初、女性は疲労困憊に近く、低体温症の兆しがあったとのこと。
警察が救助に駆けつける前、この女性は30分以上も川から出られず、Apple Watchから緊急通報したと伝えられています。Apple Watchには、サイドボタン(デジタルクラウンの下のボタン)を数秒間押し続けると緊急通報できるSOS機能が搭載されているのです。
ただし、Apple WatchだけでSOSや電話をかけるには、単体で通信できるセルラーモデルが必要です。モバイルデータ通信に対応していないモデルの場合は、iPhoneが近くにあることが前提となります。
さて、実際の救出活動はどうだったのでしょうか? まず足を挟んだ岩をこじ開けながら、遭難した女性にハシゴを差し出したものの失敗。そこで巡査は現場を見定め、水が濁って流れも速く、水上からの目視ではわかりにくいため、自ら水に入って挟まれた状況を確認しなければ救出できないと判断したそうです。
この巡査は防弾チョッキと職務用ベルトを岸に置き、下流から慎重に入りました。そして頭だけを水上に出した状態で手を伸ばすと、ちょうど女性の足に届いたため、岩から解放して岸に上げ、後は消防士に任せたとのことです。
ここ最近のiPhoneは防沫・耐水性能が改善されていますが、ふつうプールや海・川での水泳にiPhoneは持ち込みません。まさにApple Watchはそうしたシーンでの使用が推奨されており、いざというときに使いやすいわけです。
また「いきなり川に落ちた」場合でもApple Watchは頼もしいパートナーです。例えば、2021年3月にも、スケートの先生が凍った川の上を滑っていたら、氷が割れて転落し、低体温症のピンチに晒されながらも、Apple Watchで緊急電話をかけたおかげで救われた事件がありました。
Apple Watchは手首に巻くために、本人が転落しても外れたり急流に流される恐れも少なく、また緊急SOSの発信も「一つのボタンを押し続けるだけ」だけ。フィットネスだけでなく、命綱としても装着しておくといいかもしれません。