7月14日(米現地時間)、米動画配信サービスNetflixは、予告していた広告入り低価格プランについてマイクロソフト(以下「MS」)と提携し、同社と共に広告技術を開発し、広告プランを販売していくことを発表しました。Netflixは、MSがお手ごろ価格プランの広告に関するすべてのニーズを支えることができると述べています。
この広告付き低価格プランは、Netflixが4月に発表していたもの。当時は「今後1〜2年」でとコメントしていましたが、その後に2022年内に前倒しにするとの噂が報じられていました。
今回の発表でNetflixは、「MSはテクノロジーと販売の両面で、時間をかけて革新していく柔軟性と、会員のための強力なプライバシー保護を提供してくれた」と述べています。一方、MSは公式ブログで「両社にとって重要な1日だ」と述べ、「Netflixがより多くの選択肢を顧客に与えることができるように協力しつつ、私たちのエコシステムのさらなる高付加価値化をマーケターやパートナーに提供することを楽しみにしている」と述べています。
日本でのNetflix料金は、ベーシックプランは月額990円(税込/以下同じ)でSD画質(解像度480p)のストリーミングを提供。スタンダードプランは月額1490円でHD画質(1080p)が楽しめます。最も高価なプレミアムプランは月額1980円で、唯一UHD 4K+HDRのストリーミングを提供するコースとなっています。
つまりNetflixは、ストリーミング画質に応じて追加料金を課しており、おそらく広告付き低価格プランも、ベーシックプランのようなSD画質となりそうです。
かつてNetflixは、広告入りの低価格プランを提供するつもりはないと言っていたものの、2022年第1四半期の決算が期待外れに終わったことを受けて方針転換を余儀なくされました。同社は10年ぶりに会員数が減少し、収益の伸びも大幅に鈍化したと明かしつつ、「多くの世帯がアカウントを共有しているためだ」など非難していました 。
広告付きの低価格プランは、これまでNetflixがリーチできなかった客層を開拓できる可能性もあります。同社は新たなプランと、アカウントを共有している世帯から追加料金を取ることで、成長路線に戻れると述べていました。
競合する各社のストリーミングサービスにも、すでに広告付き低価格プランが追加されているところがあります。しかし、年内に導入を発表しているDisney+は「広告ありプランのCMは1時間に4分以下」「小さな子どもが見ていると判断された場合、CMを出さない」との噂も報じられていました 。
NetflixとMSも、なるべくユーザーを不快にせず、広告主を満足させるシステム作りに努力しているのかもしれません。