まだまだ半導体不足は続いているようにも見えますが、なんと世界最大のファウンドリー(半導体受託製造)である台湾TSMCのCEOが「過剰なチップ在庫が生じている」と述べています。
日経の英字メディアNikkei Asiaによると、TSMCは先週末に2022年4~6月期の純利益が過去最高を更新(前年同期比76.4%増)したものの、現在ではPCやスマートフォンなどの消費者向け分野の需要が低迷しており、「半導体サプライチェーンの過剰在庫」につながっていると明かしたそうです。この状況が好転するまでに「数四半期」かかると予想されています。
ここ2年ほどは行動制限やリモートワークのおかげでスマートフォンやPCの買い換えや新規購入が増えていましたが、すでに一通り買いそろえたためか、需要も減少しつつあります。
またチップ不足のもう1つの原因となっていたマイニング需要も、暗号通貨の価格がガタ落ちしたことで下火となりました。NVIDIAが次世代GPU「GeForce RTX 40」シリーズ用のウェハーを発注しすぎたため減らそうとしたところ、TSMCが応じなかったとの報道もあります。
ただし、チップ不足はまだ終わったわけではありません。最新スマートフォンやPCの向けハイエンドチップの在庫は積まれつつある一方で、データセンターや自動車など他の市場向けの需要は安定して高めであり、そちらの供給は相変わらず逼迫しているようです。
そのため、TSMCは(最先端チップから高度ではないチップ製造に)リソースを再配分する予定とのこと。とはいえ、そちらでは消費者のニーズが「当社の供給能力」を上回り続けるだろうと述べられており、自動車や家電製品などの納期遅れはしばらく続くことになりそうです。
それでもTSMCは長期的なチップ需要には前向きであり、主要な5nmおよび7nmチップ技術に対する需要が、年末に向けたビジネスを支えるだろうと述べています。これは主に、新型MacBook AirやMacBook Proに搭載されたM2チップや、今年秋の「iPhone 14 Pro」に搭載される「A16 Bionic」などアップルからの受注を指していると推測されます。
ですが「iPhone 14」シリーズは最上位モデルの「iPhone 14 Pro Max」が18万円以上になったり と、お高めになると噂されています。TSMCが続けてきた好調な成長も、そろそろブレーキが掛かるのかもしれません。
Source:Nikkei Asia
via:Gizmode(US)