元FacebookのMeta社はVR(仮想現実)プラットフォーム「Horizon Worlds」について、ポリシーを改訂し、これまで禁止されていた成人向けコンテンツを提供できるようにしました。「成熟した視聴者」を対象とした新たなレーティングシステムが導入され、各クリエイターが作成したワールドに「18歳以上(Mature)」というタグが付けられるようになります。
MetaがHorizonユーザーに送ったメールによれば、クリエイターは自分のワールドが全年齢向けか、それとも18歳以上向けかを意思表示しなければならないそうです。もし何もしない場合は、自動的に18歳以上に制限されるとのことです。
今年4月時点でのポリシーと更新後のそれを見比べると、禁止されていた成人向けコンテンツが許されるようになったとわかります。
以前のHorizonでは、裸に近い状態など性的なものを示唆する内容や、マリファナやアルコール、タバコや賭博など年齢制限のある活動、血のりなどを含む暴力的な表現は禁止されていました。しかし今では「18歳以上」とマークすれば、それらを含めても問題ありません。
ただし完全なポルノはダメで、「ヌードや露骨な状態の描写、性的に挑発的だったり暗示的な内容や世界観」はやはり禁止されています。また「違法薬物や処方箋薬の乱用」を勧めることもできません。また、激しいまたは過度に暴力的な「フィクション」はOKですが、現実の暴力を見せることもNGです。
とはいえ、性的に“示唆する”ものと“挑発的”な表現の違いはどこにあるのか。また米国ではマリファナも違法薬物とされている地域が多く、どこで線引きするかについてMetaとクリエイターが議論する余地は残されていそうです。
Metaは、Horizonが「誰にとっても安全で歓迎される環境」にするために、さまざまな工夫を重ねています。たとえばベータ版でセクハラまがいの行為があったと苦情を受けて、VRアバター同士が近づきすぎないようにするシステムを導入。またフレンドではない人の声を聞こえなくして、バーチャルな公共空間での嫌がらせを封じたというぐあいです。
そもそもVRヘッドセットが広まり始めたのも、アダルトVRが充実してきたからとの声もあります。個人で楽しむ分には問題なさそうですが、現実の人と人とが交流するメタバース空間では困ったトラブルが起きないよう、運営側がひどく苦労することになりそうです。