なぜかWindows 8(2012年発売)では、20年以上も伝統になっていた起動音が消えていました。Windows 11では復活し、実はWindows 10でも設定を変更して鳴らすことができます。
では、Windows 8の起動音はどうなるはずだったのか? どうして消されてしまったのか? その開発に当たった元マイクロソフト(以下、MS)の社員が、YouTube動画ですべてを明かしています。
このJensen Harris氏は、かつてWindowsユーザーエクスペリエンスチームでプログラム管理ディレクターを務めていたことがあり、Windows 8開発の舞台裏にいた人。新たな動画でHarris氏が明かした「消えたWindows 8の起動音」は、実はWindows 10や11と同じく初期設定では鳴らないだけで、データとしてはWindows内に残されていました。
なぜMSは起動音を消してしまったのか? Harris氏によると、当時はWindows on ARMでモバイルPCをもっと広めようとしており、さまざまな場所で邪魔にならないように配慮されたからとのこと。特にコーヒーショップでノートPCを起動するときに、気が散る音を減らすための工夫だったと語られています。
のちにHarris氏は起動音を削除したことを悔やんだものの、その頃にはデフォルトで有効に戻すには遅すぎたとか。特にARMチップ向けWindows 8は、大幅に最適化するために、サウンドをRAMに読み込んだり、起動プロセスの早い段階で音を鳴らすコードもすべて削除したりする必要があったとのことです。もしも起動音を追加すると、起動は1秒長くなり、RAMの使用量も増えて、ストレスが大きくなってしまった模様。
そのため表向きはオフにしておき、サウンドのデータは残しておいたそうです。お手元にWindows 10や11のPCがある場合、C:\windows\media内にあるWindows Logon.wavファイルを開けば、この隠しサウンドを聴くことができます。
そもそも某コーヒーチェーン店にノートPCを持ち込むときは、サウンドをオフにしておくもので、起動音への気配りはあまり必要ではなかったはず。とはいえ、Windows 8の当時はさほど性能が高くなかったWindows ARM PCを1秒でも早く起動するためには、些細な要素も削らざるを得なかったのかもしれません。
Source:Jensen Harris(YouTube)
via:The Verge