米マイクロソフト(以下「MS」)が、メッセージングやショッピング、ウェブ検索、ニュースを1つのアプリに組み込んだ「スーパーアプリ」の開発を目指しており、アップルとグーグルが支配するモバイル検索に対抗しようとしていると報じられています。
独自の情報源を持つThe Informationの報道によると、MSはサティア・ナデラCEOの指示により「スーパーアプリ」開発の初期段階に入っているとのこと。その基礎作りとして、同社の検索エンジンBingをTeamsやOutlookなど自社サービスやアプリにうまく統合するようにナデラCEOは社内チームに指示したと伝えられています。
そのイメージは、例えば、TeamsやOutlookの中でBingを使って検索した結果を、メッセージ内で共有しやすくするという感じ。The InformationがMSの広報にコメントを求めたものの、返事はなかったそうです。
このアプリは「(中国の)テンセントが成功させたモバイル戦略を真似する」ものとのこと。テンセントのWeChatもメッセージングやショッピング、ニュース、ゲームなどを1つのアプリに統合し、エンタメから買い物まで幅広い分野を網羅しています。
MSの売上の多くはソフトウェアの販売や法人向け営業から来ていますが、今回の動きは、巨大ソフトウェア企業が消費者向けサービスにもっと進出する野心的なものだと、事情に詳しい関係者は述べています。
しかしながら、MSが最終的にスーパーアプリを発売するかどうかは不明とのこと。とはいえ社内で検討されていることは確かだと報じられています。
また、今回の報道では、これまでMSがiPhoneのデフォルト(標準)検索エンジンの座を勝ち取ろうとしているものの、毎回グーグルに競り負けているとも述べられています。ナデラ氏とアップルのトップ幹部は密室で交渉をしてきたが、不調に終わっている模様。
グーグルがアップル製品のデフォルト検索エンジンであり続けるために莫大な金額を支払っているのは公然の秘密であり、2021年には150億ドル(約2050億円※)に上ったとの推測もありました。それによりアップルは巨額の収入を、グーグルは数億人のユーザーと莫大な広告費を得ている一方、MSはモバイル検索の分野で遅れをとり続けてきたわけです。
※1ドル=約136.8円で換算(2022年12月8日現在)
ツイッターを買収したイーロン・マスク氏も、従業員に「10億人のユーザー数を獲得するためには、WeChatやTikTokのようになる必要がある」と述べたとの報道もありました。どのハイテク大手の経営者も、考えていることは似ているのかもしれません。
Source:The Information
via:9to5Mac