デジタル
2023/5/1 20:45

スマホの写真、実家のアルバム…たまった写真を “生かす” 整理・管理術と習慣化のコツ

スマホで撮影するのが当たり前になった今、日常の何気ないシーンも、特別な日の思い出も、いつでも気軽に写真に残せるようになりました。一方で、いつのまにか写真フォルダの中が写真で溢れていたり、せっかく撮ったお気に入りの写真が埋もれてしまったと、整理できずに悩むことも多くなったのではないでしょうか。

 

写真整理アドバイザーの中村愛子さんに、スマホ写真を整理する方法や習慣にするためのポイント、さらには紙焼き写真の整理術について教えていただきました。

 

スマホ写真の整理は “部屋の片づけ” と似ている

スマホ写真を整理したいと思っても、そもそも何から手を付けたらいいのかわからないかもしれません。中村さんによると、写真の整理は部屋の片づけと同じように考えるのがいいそう。具体的にどのような手順で整理していけばいいのでしょうか?

 

1.写真フォルダを見返す

「最初に行うべきなのは、写真フォルダを見返すことです」と中村さん。まずは自分のスマホにどんな写真が入っているのか、あらためて確認してみましょう。

 

「写真フォルダを見返してみると、旅先で撮った写真、日常生活で撮った写真、メモ代わりに撮ったスクリーンショット、SNSなどからダウンロードした写真……など、さまざまな写真が混ざっている方が多いと思います。このように、写真フォルダの中がごちゃごちゃしているのは、部屋が散らかっている状態とよく似ています。そのため、部屋を片付けるときに、あちこちに散らばった雑多なものを用途別に分けていくように、フォルダの中にある写真もまずは分類することが大切です。分け方は人それぞれですが、例えば、家族や友達との写真、ペットの写真、 “推し” の写真、スクリーンショットやメモとして撮った写真……というように分けてみてください」(写真整理アドバイザー・中村愛子さん、以下同)

 

2.写真の “収納場所” を決める

写真の種類や用途を自分の中で分類したら、次はそれぞれの写真をまとめて置いておく収納場所をつくっていきます。

 

「もっとも手軽につくれる収納場所は、スマホの写真フォルダのアルバムです。『家族との写真』『ペットの写真』『推しの写真』など、それぞれアルバムを作っておけば、そこに写真を入れていくだけで、後から見返しやすくなります。そのほか、私が活用している写真の収納場所のアイデアをご紹介します」

 

■(iPhoneユーザー向け)共有アルバム
「私は、溜まってしまいがちなスクリーンショットやメモとして撮った写真は、iPhoneにある『共有アルバム』の中に入れています。ただし他の人には共有せず、自分だけが見られるように設定しています。共有アルバムに入れると画質が少し落ちるのですが、スクリーンショットなどは高画質で保存しておく必要がないのでちょうど良いんですよね。iPhoneの容量を圧迫せずに写真を保存できますし、カメラロールから共有アルバムに写真を移動させるのも簡単なので、ぜひ活用してみてください」

 

■フォトストレージサービス
「GoogleフォトやAmazonフォトといったフォトストレージサービスも写真の収納場所の一つ。パソコンやタブレットなど、他のデバイスから写真を見返したりすることが多い場合は、こうしたサービスを活用するのも選択肢の一つだと思います。私も仕事で使用する写真はGoogleフォトにまとめています。

 

ただし、外部のサービスを使用するときには注意すべき点もあります。それは、サービス自体がなくなったり、これまで無料で使えていたのに有料になったりする可能性もあるということ。そのため、利用する前に『どんな写真を預けるか』をよく検討しましょう。消えたら困る写真は入れない、一時的なメモとして撮った写真やダウンロードした写真だけを入れるなど、自分の中でルールを決めておきましょう」

 

3.写真整理を習慣にする

写真を分類して収納場所を決めた後は、それをうまく活用して写真整理を習慣にしていくことが大切です。

 

「例えば、家族や友達と出かけてたくさん写真を撮ったら、その日に撮った写真を後から皆で共有しますよね。大切なのは、こうしたタイミングで何かしらのアクションを起こしておくこと。不要な写真を削除したり、気に入った写真があれば別のアルバムに移したりしておくだけで、写真整理の第一歩になると思います。また、自分が映っていない、友達同士を撮影した写真なども、共有した後はある意味『役目を終えた写真』と言えますよね。共有したらすぐに削除する必要はありませんが、分類しておくと後の整理が楽になると思います。

 

さらに、スマホ写真の良いところは、外出先での空き時間など、すきまの時間に整理ができるところ。一気にやろうせず、最近撮ったものから少しずつ整理していくのが、無理なく続けていくためのポイントです」

 

お気に入りの写真は埋もれてしまわないように「見せる形」にして残す

スマホ写真の整理が習慣になったとしても、残しておきたい写真はどうしても増えていくもの。そこで、スマホの中に10万枚以上の写真を保持している中村さんに、せっかく撮ったお気に入りの写真を埋もれさせないためのアドバイスを伺いました。

 

「数ある写真の中でも、私がとくに残しておきたいと考えているのが子どもの写真です。そのためお気に入りの子どもの写真は、定期的にアルバムサービスなどを活用して、形にして残すようにしています。ここからは、私が活用しているおすすめのアルバムサービスをご紹介します」

 

・シンプルなフォトブックが手軽につくれる「しまうまプリント」

しまうまプリント フォトブックサービス

 

文庫サイズ、A5スクエア、A5、A4など、さまざまなサイズのフォトブックを手軽につくることができる「しまうまプリント」。スマートフォンやPCから簡単に注文することができて、仕上がりが早いのも特徴です。

 

「お気に入りの写真を選ぶだけで、シンプルなフォトブックがつくれる便利なサービスです。とくに、旅行のときの写真を一冊にまとめたいときなどにおすすめ。ページ数を選べるところや、手軽な価格でつくれるところもうれしいポイントです」

 

・大量の写真を一冊にまとめられる「PhotoZINE(フォトジン)」

PhotoZINE(フォトジン)

 

富士フイルムのフォトブックサービスの一つ「PhotoZINE」。本のようなフォトブックがつくれる「BOOKタイプ」、店頭で即日つくることもできる「MAGAZINEタイプ」、たくさんの画像を一覧にできる「SLIMタイプ」の3種類があり、用途にあわせて選べます。

 

「私のおすすめは『SLIMタイプ』。1冊に最大1100枚の写真をまとめることができて、『Lサイズの写真にするほどではないけど形にして残しておきたい』という写真にぴったりです。例えば、お弁当や趣味で作ったものの写真をずらりと並べるのも良さそうですよね。フォトブック自体も薄いので、省スペースで収納することができます」

 

・毎月8枚、無料でプリントできる「ALBUS(アルバス)」

ALBUS(アルバス)

 

ALBUS(アルバス)は、毎月8枚の写真を無料でプリントできるサービスです。スマホでアプリをダウンロードし、写真を選択するだけで、「ましかく」の形にプリントされた写真が自宅に届きます。かかる費用は基本的に送料だけなので、気軽に続けることができます。

 

「私もこのサービスを毎月利用しています。月末になると前月に撮った写真を見返し、その中からお気に入りの8枚を選ぶので、定期的に写真整理ができる良い機会にもなるんですよね。また、専用設計されたアルバムも販売されていて、別売りのリフィルを使えば台紙の数を増やすこともできるので、写真をたっぷり収納したい方にもおすすめです」

 

「フォトブックだけでも種類はさまざまなので、写真の種類や用途によってサービスを使い分けてみると良いと思います。もちろん、形にする方法はフォトブックだけではありません。グッズを作ったり、動画にしたりと、自分に合った方法でお気に入りの写真を埋もれさせない工夫をしてみてください」

 

紙焼き写真はどう整理する?

続いては、紙焼き写真の整理術。スマホ写真が主流になったとはいえ、子どもの頃の写真など、昔の紙焼き写真が押し入れや実家に大量に眠っている方も多いはず。紙焼き写真はどのように整理していくのが良いのか、中村さんに教えていただきました。

 

「紙焼き写真が大量にある場合、まずはそれらをどうしたいのかを考えることから始めましょう。例えば、定期的に見返していて、きちんと収納場所も確保できているのであれば、無理に処分する必要はありませんよね。でも何年も見ていない、引っ越すたびに持ち運んで保管し続けるのが難しいと感じるなら、処分したりデータ化したりして整理する必要があると思います。

 

とくに紙焼き写真のデータ化は、『整理したいけど、捨ててしまうのは気が引ける』という方におすすめです。データ化することで物理的に減らせるのはもちろん、劣化も防げるという利点もあります。データ化にはいくつかの方法がありますが、手軽なのは、スマホで紙焼き写真を撮影してスキャンしたり、コンビニのプリンターにあるスキャン機能を活用したりすること。枚数が少ない場合にはこうした方法が良いと思います。

 

一方、アルバム一冊を丸ごとデータ化したい場合などは、カメラ専門店などのデータ化サービスを利用すると便利です。サービスの中には、アルバムごと預けると、アルバム内の写真をデータ化して、写真をそのまま引き取ってくれるものもあります。私自身も最近、自分の学生時代の写真を『節目写真館』というサービスを活用してすべてデータ化しました。

 

私の場合、『もし自分がいなくなったときに、家族に見られたら恥ずかしい』と思う紙焼き写真を、データ化して自分だけが見られる状態にしています。紙焼き写真は放っておくとずっと残り続けてしまうものなので、自分の中で処分する基準を決めたり、どうしたいのかを明確にしたりしておく必要があると思います」

 

お気に入りの写真を “見せる” ことを楽しめば、写真整理ももっと楽しくなる!

最後に中村さんから、写真整理を楽しむためのアドバイスをいただきました。

 

「私は、写真整理のモチベーションを上げるポイントの一つは、お気に入りの写真を誰かに見てもらうことだと思っています。SNSにアップしたり、アルバムサービスを利用したり、自分の思い入れのある見せたい写真は、どんな形であれ『見せること』を楽しむ。そうすると、写真整理も自然と楽しく続けられると思います。

 

さらに、誰にも見せたくない、自分だけで楽しみたい写真も、写真整理をすることでもっと楽しめるようになります。アルバムなどを作って一か所にまとめておくと、そこが『自分だけの宝箱』のようになり、見返しやすくなりますよね。いずれにしても、写真整理ができるようになると、良いことしかありません(笑)! 『何枚減らさないといけない』とか『1年分のアルバムにまとめないといけない』と意気込む必要はなく、自分に合った方法で、写真整理を楽しんでもらえたらと思います」

 

プロフィール

写真整理アドバイザー / 中村愛子

撮りためた写真の活用術を紹介するブログ「さくっとふぉとらいふ」を運営。これまでに利用したサービス・製品は600以上。200冊以上のフォトブックを製作。写真整理に試行錯誤してきた経験を活かし、セミナーの講師や写真アプリの監修も務める。

 


提供元:心地よい暮らしをサポートするウェブマガジン「@Living」