デジタル
2024/8/5 18:00

Vision ProにAIガジェット、2024年のデジタル製品を語る上で欠かすことができない3つのキーワード

前回は「2024年上半期ベストヒット」として、デジタルガジェットのトレンドやヒット製品を紹介しましたが、今回はその下半期版として、「次に何がくるのか?」というネクストトレンドを3つのキーワードでまとめました! デジタル編は、今回もガジェットライターの湯浅顕人さんに解説をしていただいています。

キーワード01【Apple Vision Pro】

2024年6月にAppleが“空間コンピュータ”というコンセプトで発売した新型デバイス「Apple Vision Pro」。湯浅さんはなぜこの製品をネクストトレンドにピックアップしたのでしょうか?

 

「自分が他メーカーのVRゴーグルを使用していて、すごく気に入っているんですよ。ゲームをしていても楽しいし、映像を見ても臨場感が高い。でも、VRゴーグルは魅力に対してあまり普及していないと感じています。

 

Appleってデジタルミュージックプレイヤーがそれほど普及していない時期にiPodを出したり、スマートウォッチもAppleが普及させたり、そうした成功体験があるんですね。このVision Proも使った人がすごいと思えるもので、VR全体を押し上げる力があると期待しています」(湯浅さん)

 

価格はおよそ60万円とまだまだ高価ですが、今後の普及には何が必要でしょうか?

 

「たった1つのネックが価格だと思っています。ですので、アミューズメント施設やショールーム的なところで使ってもらうなど、買わずに体験できる工夫が重要かなと思います。たとえば街や博物館でその場所をARで案内してくれるアプリを見かけますよね。Vision Proもそういったアプリが増えたらいいかなと」(湯浅さん)

キーワード02【AIデバイス】

業務や日常でAIの活用が当たり前の時代になってきました。とはいえ「AIデバイス」はまだ馴染みが薄い概念。湯浅さんに解説していただきました。

 

「AIデバイスは、AIを利用した機能を提供してくれる単体の機械のことを指します。たとえば翻訳機や、名刺を読み取って文字にしてくれるスキャナーなどですね。スマホでもできますが、それが単体であることで、アプリを立ち上げたりせず簡単に使えます」(湯浅さん)

 

ソースネクストが2022年1月に発売した「AutoMemo S」は、AIが音声を認識して文字に起こしてくれるという、AIデバイスのひとつの形です。今年前半話題になったアメリカのスタートアップrabbitのAIアシスタントデバイス「rabbit r1」や、アメリカのHumaneの「AI Pin」もAIデバイスに当たります。また、Metaの次世代スマートグラス「Ray-Ban Meta」もそうでしょう。

 

「Ray-Ban Metaは常時カメラが起動しているので、『今見ているものは何?』と聞いてスピーカーで教えてもらうこともできます。スマホカメラでもできますが、繁雑な起動が必要ですから、常に起動してるという点もAIデバイスのメリットです」(湯浅さん)

 

何気ない日用品にAIが組み込まれ、AIデバイスとして当たり前になる時代が来るかもしれません。

キーワード03 【スマートリングで指の奪い合い】

かざすだけでキャッシュレス決済ができる日本のスタートアップ・EVERINGの「EVERING」など、日常生活を便利にしてくれる指輪型デバイスが注目を集めています。今後、各メーカーによる”指の奪い合い”が起きそう、と湯浅さんは予測します。

 

「今、体の状態を記録するデバイスの主流はスマートウォッチですが、『スマートウォッチを使うと腕時計ができない』という不満を持っている方が多いですよね。スマートリングの場合、単純に指は10本あるので付けられる場所が多い」(湯浅さん)

 

腕や耳の穴と違い、指にはフロンティアが広がっています。スマートリングで今年下半期の本命モデルとして湯浅さんがイチオシなのは、この7月に発表されたサムスンの「Galaxy Ring」です。

 

「いまだ詳細なスペックは分かってないんですけど、出ることは確実でいろいろな情報が入ってきています。『Galaxy Ring』は、スマートウォッチという身体の状態を感知する器具において大きいシェアを占めるブランドが作ったというのが重要ですね。それによってスマートリングの認知も高まって、市場が活発化するのではないかと」(湯浅さん)

 

Galaxy Ringがヒットすれば、AppleやGoogle、ソニーといったノウハウがあるメーカーも黙っていないはず。まさに指の奪い合いが始まりそうです。

 

 

まとめ/柚木安津