1月より、カンテレ・フジテレビで放送、FODにて配信中のドラマ『未恋~かくれぼっちたち~』で、主人公・高坂健斗を演じている伊藤健太郎さん。本作で演じる高坂は、性格が真逆の2人の女性と向き合うことで、自分の気持ちとも向き合うようになっていく雑誌編集者という役どころ。これまで演じられた役から見る本作の高坂という人物像や、意気込みなどを伺いました。また、どうしても集めてしまうというあるモノについての話も。
【伊藤健太郎さん撮り下ろし写真】
彼が成長する様を話数が進みにつれて表現したかった
──本作で演じている高坂は、過去に『東京ラブストーリー』で演じられたカンチを想起させるキャラクターだと思いました。
伊藤 性格はちょっと違いますけれど、『東京ラブストーリー』のカンチと同じような会社勤めしている普通オブ普通なキャラクターというのは、かなり久しぶりだったので、すごくうれしかったですし、「とても、やりがいのある作品になるだろうな」と楽しみでした。ラブストーリーって、けんかした直後に仲良くなるシーンを撮ったり、とても喜怒哀楽が激しかったりするので、意外と体力使うんです(笑)。だから、気合も入りましたね。
──最近は『静かなるドン』など、アウトロー系の役どころも増えた伊藤さんですが、ラブコメは柏木由紀さんと共演された『この恋はツミなのか!?』などでも演じられていました。
伊藤 コメディは必然的に現場も明るくなるので、とても楽しいです。でも、あえて面白くしようとすると、そうならなくなっちゃう部分もあるので、計算しすぎても良くないんですよ。かといって、何もしなかったらしなかったで、何をやっているか分からなくなっちゃうし、そこの塩梅が難しくもあり、楽しいんですよ。それに見てくださるファンの方のイメージを裏切っていくことは、その作品でしかできないことでもあるので、とても面白い作業だと思います。
──まったくタイプの違う2人の女性に挟まれるところも、どこかカンチっぽいですが、そんな高坂をどのようなキャラクターと捉えましたか?
伊藤 自分の本心をなかなか他人に言えないし、表現できない。ちょっと億劫になってしまっている人間だと思っています。そんな彼が2人の女性との三角関係みたいな中で翻弄されていくことで、仕事に対しても、プライベートに対しても言いたいことをちゃんと言えるようになっていくんです。そういった彼が成長していく様は、話数が進んでいくごとにしっかりと表現したかったし、意識して演じさせてもらいました。
──出版社のコミック編集者という設定については?
伊藤 「先生に描いていただくためには、何でもします!」といったタイプの方もいますし、作家先生と編集の方の関係性がとても独特だと思いましたね。これまで自分は雑誌などに載せていただいたり、編集部にお邪魔するようなことはありましたけれど、さすがに編集作業に関わることはなかったので、まったく未知な世界すぎました。改めて、大変なお仕事だと思いました。
「こんな奴、いるいる!」とツッコみながら見てほしい
──『東京ラブストーリー』から4年近く経っていますが、心境の変化もありましたか?
伊藤 あのときは20代前半で、初めて社会人の役を演じたと思うんですよ。自分ではそんなに分からないですけれど、周りからは「顔つきが変わったね」「大人っぽくなったね」って言われるんです。また、今回のビジュアルが出たときに、ファンの方々からも「カンチが大人になったパターンじゃない?」みたいなことを言っていただく方々もいて、ちょっとうれしかったですし、そういう見方で楽しんでいただけるかもと思っています。
──三角関係になる2人のヒロインを演じられた女優さんについてもお聞きします。まずは高坂が担当する漫画家・ゆず役の弓木奈於さんについての印象は?
伊藤 不思議な世界観を持っている方で、例えば普通の会話をしているときのワードチョイスがとても独特なんですよ。突然、「お」を付けて丁寧語になったりするのが面白いし、会話の入口と出口が違う。しかも、最初にお会いしたときのあいさつが「私、人見知りなんですよ」という不思議さもありました。ただ、緊張されているようなところもあったので、それが理由でパフォーマンスが下がってほしくないなっていう部分もあったので、こちらから積極的にお話をさせてもらいました。それもあって、高坂がゆずに翻弄されるパワーバランスが出来上がったと思います。
──続いて、高坂にとって過去の意中の人である、みなみ役・愛希れいかさんについての印象は?
伊藤 とても現場を引っ張ってくださる方なので、とてもありがたかったですが、愛希さんもお会いするや「私、本当は変なんです」って言われるような方なんです(笑)。とても大人な女性で、役者としても僕よりも先輩ですけど、段取り中にセリフを噛んでしまったときとか、ところどころ少女の心というか、無邪気な感じが出てくるんですよ。でも、ご本人はそれを隠そうとされているのが、すごく面白いんですよ。そんな素敵なお二人との共演だったので、自分もリラックスした状態で、楽しくお芝居をやらせていただけました。
──劇中では、現在進行形の話と同時に、小説家志望だった高坂の6年前のエピソードも描かれています。
伊藤 6年前の回想シーンでは前髪を全部下ろして、ちょっとモサい感じにしています。学生服を着るような大きな変化はないですけれど、キャラクターとして高坂が抱えてしまうものをより誇張することを意識しました。最終的に後悔することが多いネガティブ思考な男なんですよ。その後の6年間で、彼が会社で働くようになって、みんなから“Mr.リスク回避”と言われるような人間になるわけですが、自分がやりたいことより、自分がやらなきゃいけないことを選んだということも意識しながら演じています。
──現在ドラマを見ている方にメッセージをお願いします。
伊藤 放送する時間帯がわりと深い深夜帯の30分枠なので、仕事終わって、家帰ってきてとか、育児終わって、お子さん寝かせた後とか、たまたまテレビつけたら、何も考えずに見られるほのぼのした笑えるドラマになっていると思うんです。だから、僕の希望も込めて、ちょっと寝酒とか飲みながら、「こんな奴、いるいる!」とツッコみながら見てもらえるようなドラマになってほしいです。
タンブラーとマグカップに対するこだわり
──小説家になりたかった高坂のように、伊藤さん自身がいまだ叶えていない夢は?
伊藤 本気で、秘密基地を作ることですね。分かりやすく言うと、いまだに地元の友達と仲良くてよく遊ぶんですが、彼らが結婚して、子どもが産まれたりとかしても、勝手に遊びに来ることができるような場所。海が近くて、庭でバーベキューもできて、いろいろ遊べる『アイアンマン』のトニー・スタークが住んでいるような秘密基地を40歳までには作りたいんです。
──GetNavi webにちなみ、モノやコトについてお聞かせください。思わず集めてしまうモノなどはありますか。
伊藤 例えば、ブーツとか皮ジャンとかジーパンといったものは、ヴィンテージものや新品ものとか、かなり集めていまいます。手に入れると飾るとかではなく、どれだけレアなモノでも、ボロボロになるまで使いますね。あと、「一人暮らしだから、もう使わないだろう」って思っているのに、それでも地元のホームセンターに行ったときに買っちゃうのがタンブラーとマグカップ。使いやすさもそうですけれど、大きいやつが好きですね(笑)。『ファイト・クラブ』でブラッド・ピットがコーヒーを飲んでいるシーンを見て、マグカップを集め出したんですが、Fire-Kingというブランドは好きで、今では50個ぐらいあります。タンブラーもYETIというブランドが好きで、数が増えすぎて、友だちにあげたりしたんですが、それでも今15個はありますね。
──現場にいつも持って行くモノはありますか?
伊藤 基本、財布と携帯とカギ以外のモノは持たない主義ですが、バンダナは絶対ポケットに入っています。頭に巻く以外に、何かを包むでもときもあるし、ハンカチ代わりになるし、ポケットから出ていると、ちょっとだけおしゃれに見えるんですよ。アメカジの定番なんですが、バンダナも集めがちですね(笑)。
未恋~かくれぼっちたち~
カンテレにて、毎週木曜24:25~放送中
フジテレビにて、毎週木曜26:25~放送中
カンテレドーガ、TVer、FODにて配信中
(STAFF&CAST)
プロデューサー・監督:木村淳(カンテレ)
監督:髙山浩児(メディアプルポ)、中村剛
脚本:吉田ウーロン太、石黒麻衣、木村淳、中林佳苗
出演:伊藤健太郎、愛希れいか、弓木奈於(乃木坂46)、鈴木大河(IMP.)、氏家恵、藤本悠輔、伊勢佳世、森永悠希、金井勇太
(STORY)
中堅出版社でコミック誌の編集者として働く主人公・高坂健斗(伊藤健太郎)は、仕事熱心で人当たりも良く、デキル男でその上にイケメン。自宅に帰ってからも残業するなど、20代にしてはイマドキ珍しい仕事人間。しかし、それは“暇な時間”ができてしまうことが怖いから。実は、健斗にはかつて小説家を志して挫折した過去がある。今でも「小説を書きたい」という思いを心の奥に秘めながらも、本当の気持ちから逃げている。そんな中、出版社の大黒柱で、売れっ子アイドル漫画家・深田ゆず(弓木奈於)を担当することになり……。
公式サイト:https://www.ktv.jp/miren/
公式Instagram:https://www.instagram.com/ktv_fod
撮影/映美 取材・文/くれい響 ヘアメイク/上野山聖菜 スタイリスト/宮崎辰二