キングコングのYouTubeチャンネル『毎週キングコング』から生まれた、再生回数350万超えの伝説動画『下町ロレックス物語』が待望の書籍化! どん底を経験したインパルス・堤下敦さんが語る、下町ロレックスに対する共感、そしてYouTuberとして迎えた転機とは——。キングコングと旧知の仲だからこそ語れる、知られざるエピソードをお届けします。
下町ロレックスは「まったく関係ないけど、よく知ってる物語」だった
——今回は「下町ロレックス」書籍化ということで、ぜひ堤下さんにもお話を伺えればと思います。
堤下 えっ? マネージャーからは、僕がやってるYouTubeチャンネル「堤下食堂」の書籍化の話って聞いて来たんですけど、違うんですか?
——はい……申し訳ありません!
堤下 だったら僕、まったく関係ないっすよね? 下町ロレックス、出てねーし!
——でも、「毎週キングコング」は毎回観ていますよね?
堤下 観てますよ! だから「下町ロレックス」も当然知ってますけど……。
——カジサックチャンネル200万人登録達成記念で、チームカジサックのみんなでロレックスを買う話は、どう思いましたか?
堤下 カジ(梶原)らしいなと思いましたよ。あいつ、そうやって旗を振りたいタイプの人間なんで。ひとつの目標を掲げて、みんなでロレックス、ひとりオメガですけど(笑)、手に入れたのは本当に素晴らしいと思いますよ。まだ登録者数が100万人もいってない頃に僕もよく出させてもらっていて、それこそ当時のチームカジサックメンバーのトンボ、ヤスタケ、土橋、中野もよく知ってますから。
——堤下さんにとって「下町ロレックス」は、かなり近い存在だったんですね。
堤下 近いというか……カジが芸人引退しますみたいなこと言ってYouTubeの世界に飛び込んだときに、僕も、詳しくは言いませんが(笑)、いろいろあって一線から退いてたタイミングだったんですよ。動画配信の世界へ行くなら頑張ってほしいし、絶対に成功してほしいと思ってましたけど、カジは頑張りすぎて無理しちゃうタイプだから心配もしてて。スタッフを食わせていくだけでも相当大変だったはずですから、ひとつの目標達成の記念としてロレックス買おうって気持ちになるのはわかりますよ。まぁ、ロレックスと言い出したのはカジじゃないと思いますけど。

——その通りで、「みんなでロレックスを買おう!」と提案したのはヤスタケさんだそうです。
堤下 まぁそうですよね。カジは物欲ないですから。若手の頃、多分あいつ1年のうちの360日は同じ服着てたくらい、物欲のない人間なんで。ロレックスを買うってなるときまで、あいつの頭の中にロレックスっていう文字は刻まれてなかったと思いますよ、多分。

腕時計は芸人の“相棒”――堤下敦が語る、右手のオメガとロレックスへの憧れ
——ところで堤下さんは今日、Apple Watchを着けてますね。腕時計にはけっこうなこだわりがあると聞きましたが。
堤下 仕事のときはこれ(Apple Watch)なんですけど、実はオメガが好きなんすよ。マイケル・ジョーダンが好きで、彼の胸に唯一入っているタトゥーが『Ω』のマークなんです。そんな憧れもあって二十歳のときに死ぬほどバイトしてオメガを手に入れました。もう使い始めてから25年以上経ちますけど、しっかりオーバーホールしながら今も愛用してます。
——ご自宅に腕時計は、何本くらいあるんですか?
堤下 そのオメガ含めて、8本、9本は持ってますね。腕は2本しかないし、腕時計は1つあれば十分なことはわかってるんですけど、実は僕もロレックスは1本欲しいと思ってて。僕のYouTubeチャンネル「堤下食堂」の登録者数が100万人達成したときには、記念に「エクスプローラー」を買おうかなと思ったりもしてますね。
——腕時計に対するこだわりは、チームカジサックメンバーよりも遥かに深いですね。
堤下 一緒にしないでください(笑)。芸人にとって腕時計ってすごく大事なんすよ。例えば営業先でもネタ時間は5分とか10分って決まってて。僕は右利きだけど相方が左にいるので腕時計は右手につけて、いつも時間を見ながらネタをしてますからね。そういう意味でも僕にとって腕時計は、かなり大事な存在です。

「どん底でも、どこかで誰かが拾ってくれる」。だから僕も書籍化を諦めない
――今回の取材をYouTubeチャンネル「堤下食堂」の書籍化の話と勘違いしていたそうですが、実際どんな本を想定していたんですか?
堤下 レシピ本にするにしても、他とは違う内容にしたいですよね。僕が作る料理の味に関しては絶対的な自信があるんですけど、盛り付けはめっちゃヘタなんすよ。色彩感覚もないんで、超ヘタ。だから、盛り付けが汚い料理本ってのもありですね。普通、料理本ってきれいに盛り付けて写真撮るじゃないですか。でも、堤下食堂の本はカメラマンさんが「何だよ、これ……」と思いながら撮るという(笑)。
――お皿からはみ出ていたり、こぼれちゃっててもいいかもしれません。
堤下 そうそう。そういうナチュラルというか、自然な感じで。盛り付けが汚い料理本が今までなかったということは、誰も怖くて手を出してないわけじゃないですか。だから、それやるってのはちょっとおもしれーなと思ってるんですけどね。
――実際、自分で料理を作ったらプロの盛り付けみたいにはならないですからね。
堤下 僕が届けたいのは「安心していいよ」ってメッセージ。冒頭で「この料理本は私のナチュラルな料理を掲載しているので、盛り付けはまったく気にしておりません。ただ、味はめちゃくちゃ美味いのでぜひぜひ作ってみてください」と前書きしたいですね。
――リアルでいいですね!
堤下 だって、女性の部屋がきれいだとか、女性は常にいい匂いがするとか、男性は筋肉隆々だとか、そんなの夢物語だし、決め付けじゃないですか。やっぱりね、現実を見せないとダメですよ。

――堤下さんが料理に目覚めたのは、いつ頃なんですか?
堤下 幼少期に母から「あなたも料理をしておきなさい」ってレクチャーされてて。母は当時から女性が家庭に入って料理も家事もやる時代じゃなくなることを予測していたみたいなんです。だから幼稚園生の頃から包丁を握ってましたし、母が作るおいしい料理を毎日食べさせてもらってたので、食にはだいぶ小さな頃に目覚めていた感じですね。でも、自分が料理を作って喋るYouTubeチャンネルをやる日が来るとは思ってなかったですよ。もともとは、カジサックのチャンネルで料理を作ってほしいと頼まれたのが始まりなので。
――それは知りませんでした! では、YouTubeチャンネル「堤下食堂」を始めたのも、梶原さんきっかけなんですか?
堤下 カジサックチャンネルで僕が料理作るのが定着してきた頃に、カジから「つっつんも料理の動画配信やればいいやん」って言われて。それが7年くらい前ですかね。
――とてもいい話なんですけど……このインタビューは「堤下食堂」ではなく書籍「下町ロレックス」のためにやってることを思い出しました! 堤下さん、このインタビューを読んでくれた方々が「下町ロレックス」を買いたいと思うコメントを最後にお願いします。
堤下 例えどん底でも必ずどっかで誰かが拾ってくれるって、お守りとして読める本だと思います。頑張れば何かが叶うってことが、この本には描かれてますからね。小さい子から大人の方まで、何かに悩んでいる人に勇気を与える本だと思うので、この本を買った皆さんは、ぜひ周りにも薦めてください! 底に落ちた僕も元気でましたから(笑)。この「下町ロレックス」が売れたら、僕の「堤下食堂」の書籍化を検討してくれるそうなので、ぜひ買って応援よろしくお願いします!!
■堤下敦/プロフィール
お笑いコンビ「インパルス」のツッコミ担当。食品衛生責任者の資格を持ち、YouTubeチャンネル「堤下食堂」では自慢の料理を披露。キングコングとはデビュー当時からの長い仲で知られている。
