8月22日から全国公開の映画『隣のステラ』に八木勇征さんとW主演している福本莉子さん。今作では今をときめく芸能人になった幼なじみに恋をする女子高生を演じています。活発に意見が飛び交った現場のことや、アドリブシーンの裏話など、楽しいお話を聞かせてくれました。
※こちらは「GetNavi」2025年9・10月合併号に掲載された記事を再編集したものです。

【福本莉子さん撮り下ろし写真】
千明は明るく元気がみなぎる感じを大切に
――撮影が始まる前に監督とプロデューサーと本読みをして、ディスカッションを重ねられたそうですね。
福本 撮影前が始まる前に、台本を読みながら監督とプロデューサーさんと千明の心情を深掘りしました。例えば千明が思いを伝えるシーンでは、なぜあそこで千明は思いを伝えたのかを話し合ったり。撮影中も動きながら、みなさんとディスカッションをしてお芝居を作っていくような現場でした。
――福本さんは原作を読んで、千明をどんな女の子だと思ったのでしょうか?
福本 原作の中に千明は笑顔が素敵な女の子で、昂の一番星だという描写があるんです。だから映画でも昂にとっての千明は明るく彼を引っぱっていく存在で元気がみなぎる感じを大切にしていました。
――「私は普通だから」というセリフが何度も出てきて、自己肯定感がそれほど高くない部分もあるのかなと思いました。
福本 そういう部分も原作に描かれていて、映画でも「自分なんかつり合わないでしょ」ってセリフが何度かあるのですが、言い方によっては、自分を卑下しているように感じられてしまうので、そのあんばいは監督と話し合いました。普通の生活を送る千明から見ると、芸能界はすごくきらびやかで、夢に向かって頑張る昂に対して憧れる気持ちがあると思うんです。だから自分も新しいことに挑戦しようという気持ちに重きを置いて演じるようにしました。

視野をひろ〜くして捉えることが大事かな
――「私なんか」と思う千明の気持ちについてはどう感じましたか?
福本 人はないものねだりだったり、自分にないものを持っている人を羨ましく思うこともあると思います。今はSNSが普及しているので、余計にそう感じますよね。
――確かにSNSの普及で「私なんか」という気持ちを抱えている人は多いでしょうね。
福本 人それぞれ悩みがあって、人によっては小さい悩みでも、他の誰かにとってはすごく大きな悩みになっていることもあるので、視野をひろ〜くして捉えることが大事かなと思います。
――幼なじみとしての昂への親愛の情みたいなものと、恋心はどう演じ分けられたのでしょうか。
福本 千明は「ここは友情」「ここは恋愛」と分けているのではなく、昂のことがずっと好きなんです。千明が思いを伝えるシーンも、最初から告白しようと思っていたわけではなくて、昴と会話をしていくなかで、千明のなかに抑えきれない恋心が溢れてしまったシーンでした。でも「好き」という気持ちを隠して、諦めようとしている千明がいる。そういうグラデーションな心情として捉えて演じました。
――福本さんご自身が今作の中で最も千明になれたシーンはどこでしたか?
福本 千明と昂がじゃれ合うシーンは、アドリブも多いんです。海でふたりが楽しそうにするシーンや、あっちむいてホイもアドリブで、幼なじみならではの距離感を感じながらやっていました。
――アドリブは自然と出てきましたか?
福本 そうですね。海のシーンはリハーサルからスマホのビデオを回していて、そのときに撮れた動画や写真が実際に本編にも使われています。自分でいうのもなんですが、うまく撮れた自信があったので、本編に使われて嬉しかったです(笑)。
――八木さん、倉 悠貴さんとは特に共演シーンが多かったと思うのですが、おふたりの印象を教えてください。
福本 八木さんは私よりちょっとお兄さんなので、すごく話しやすい方でした。すごくストイックで、お話を聞いたら撮影前に筋トレされるそうなんです。そういう真っすぐなところが素敵だなと思いました。倉さんは同じ大阪出身なのもあって、関西弁で話しやすかったです。倉さんが演じた高橋くんはフラットな感じがすごく素敵で、距離感が心地よかったです。
――20代の松本花奈監督をはじめ、フレッシュなチームだったそうですが、撮影現場はどんな雰囲気でしたか?
福本 監督も年が近く、現場のスタッフさんも若い方が多かったので、各部署の皆さんがいろいろアイデアを出しながら、ひとつひとつのシーンを作っていきました。それがすごく新鮮でしたね。照明はこうしたい、撮影カメラはこうしたいって、みなさんからいろんな意見が出て、それを話し合うんです。だからみんなで作品を作り上げていく感じがすごくありました。

長い暑い時期も体調を崩さないようにしっかり体を鍛えたい
――劇中で昂が何のためにモデルの仕事を始めたか振り返るシーンもあります。福本さんご自身も俳優として活躍して気持ちを新たに頑張ろうと思うようなときはありますか?
福本 デビューしたのが高校1年生の時なので、気づいたらもう8年。今年25歳になるので、それに驚いてばかりです(笑)。最初は右も左もわらない状態でお仕事を始めましたが、いろんな作品でお芝居をさせていただいて今はすごく楽しいです。一筋縄ではいかないことも多いし、まだまだ自分の理想からほど遠いけど、家族や仲の良い友達が日本アカデミー賞で新人俳優賞を受賞したときも、自分以上に喜んでくれました。そういう人が隣にいると、より頑張ろうと思います。
――タイトルに掛けて、福本さん自身が隣にいてくれたらいいなって思うのはどんな人ですか?
福本 一緒にいて落ち着くのは姉ですね。7つ上の姉がいて、大阪に帰ったら必ず会います。たまに姉が東京に来ることもあり、そういうときは私のお家に泊まって、一緒にゲームしたりします。一緒に何かしていても楽しいし、何もしなくても居心地が良いんです。お姉ちゃんだから頼りがいもあるので、何かあったときに助けてくれるので、隣にいてくれてたら安心です。
――千明は人生アップデートするために、ハンバーガーショップでアルバイトを始めます。福本さんがアップデートするためにしたいことは?
福本 体力をアップデートしたいです(笑)。ジムに通うと姿勢も良くなるし、長い暑い時期も体調を崩さないようにしっかり体を鍛えたいですね。
何事も口コミをすごく調べます。あとは直感です
――ではここからはモノ、コトに関する質問をさせてください。現場に必ず持っていくものはありますか?
福本 最近はセラバンドというストレッチで使うゴムを持っていきます。いろんな硬さがあって、私は一番柔らかい黄色を肩甲骨のストレッチに使っています。ちょっとした場所でも、すごく手軽にストレッチやトレーニングができるので、移動中や休憩時間に体を伸ばしています。
――ジムで購入したんですか?
福本 ジムで教えていただきネットで買いました。ラップみたいになっていて、自分の好きな長さに切れるんですよ。私は両手で伸ばせる長さにしています。伸びない硬さのゴムもあるので、それは結構負荷がかかると思います。
――その選び方もジムで教えてもらって?
福本 口コミを見ました(笑)。「これは硬いです」みたいなことが描いてあるので、いろいろ調べて、私は一番ゆるいストレッチ向きのものを使っています。
――口コミは参考になります?
福本 何事も口コミをすごく調べます。あとは直感ですね。
――口コミを一度じっくり調べないとなかなか買えないタイプですか?
福本 はい。気になります。食べ物にしても「これは絶対においしい」と確信できるものなら気軽に行きますが、新しいお店はみんながどう思っているのか口コミを調べちゃいます(笑)。
――では今ハマっているものはあります?
福本 お風呂でも使えるヘッドマッサージ器です。もともと誕生日プレゼントとして人に贈ったのですが、見に行ったときに自分も欲しくなって、後日ネットで買いました。それがすごく良くて! 気軽に使えるし、マッサージの動きとEMSの電気で一緒にほぐされるのがすごく良いんです。日常で知らないうちに頭が凝って、頭が硬くなっていることってあるじゃないですか。そういうときに使っています(笑)。私はシャンプーをした後、お風呂で使うことが多いです。

隣のステラ
8月22日(金)より全国東宝系にて公開
(STAFF&CAST)
原作:餡蜜『隣のステラ』(講談社「別冊フレンド」連載)
監督:松本花奈
脚本:川満佐和子
主題歌:FANTASTICS「いつも隣で」(rhythm zone)
出演:福本莉子、八木勇征、倉 悠貴、横田真悠、西垣 匠、田鍋梨々花/
清水美砂、宮崎吐夢、紺野まひる/野波麻帆、浜野謙太
(STROY)
隣同士の家に住む幼なじみの千明(福本)と昴(八木)。一番の仲良しだった2人だが、昴がスカウトされ、若手モデル&俳優として一躍注目を集める存在に。幼い頃からずっと昴に片想いしていた千明は、人気芸能人とフツーの女子高生という関係を気にして自分の気持ちを隠していたが、想いが溢れとうとう告白する。しかし昴からは「幼なじみとしてしか……見てない」と言われ玉砕。あくまで幼なじみとして昴を応援していくと決意するものの、好きな気持ちは簡単には吹っ切れず……。
撮影/干川 修 取材・文/佐久間裕子 ヘアメイク/伏屋陽子(ESPER) スタイリスト/武久真理江