大人同士の甘くじれったい秘密の関係を描き、数多くの共感を呼んだ原作漫画を実写化した『本命じゃなきゃよかったのに』(MBSほか)。かつての浮気相手との関係に溺れていく主人公を体当たりで演じる樋口日奈さんに、ドラマの見どころや撮影エピソードについてインタビュー。10年前と現在を描いた本作にちなみ、この10年間で自身の考え方が変わってきたことなどについても聞いた。

【樋口日奈さん撮り下ろし写真】
これ以上愛が深くなったらどうなるんだろう
──撮影現場の雰囲気はどうですか?
樋口 いま9日目ぐらい(取材時)ですが、スタッフさんもキャストの方々も、皆さんすてきな方ばかりで。もう1か月以上一緒にいるのではと思うぐらい、現場への愛がどんどん深まっています。W主演をさせていただくということもあって、チームの結束力をより感じるというか。皆さんと毎日楽しくコミュニケーションを取りながらできているので、これ以上愛が深くなったらどうなるんだろうと思うぐらいの雰囲気になっています。
──主演ということで、現場を引っ張っていこうという思いも?
樋口 私だけでなく池田(匡志)さんもいらっしゃるので、とても心強さを感じています。不安なところは頼らせていただき、お互いに補い合っていけたらいいなと思いました。私としては、W主演だからというよりは、あとでこの撮影期間を振り返ったときに楽しかったと思えるようにしたいというのが何よりの願いです。
──今回演じる実歩乃は、昔の浮気相手である栄成(池田)との関係に溺れていくという役どころです。樋口さん自身、彼女をどのようなキャラクターだと捉えていますか?
樋口 原作と脚本を読ませていただいたら、寄り添える役だなと感じました。栄成の沼にハマっていく過程に共感できる部分が多かったので、あまり違和感なくナチュラルに演じられるかもしれないと。栄成って、自分も沼っちゃいそうと感じる人と、クズだなと感じる人と、意見が分かれるキャラクターだと思っていて。実歩乃に共感できるかできないかで、自分が沼りやすいタイプなのかどうか、主導権を握るか握られるかが分かるんじゃないかな。
──樋口さんが共感した部分を具体的に挙げるなら?
樋口 10年ぶりに再会しても沼ってしまうということは、きっと栄成のことを頭のどこかで想い続けていたわけで。そういった、ずっと忘れられない、再び心をつかまれてしまう感覚は理解できるなと思いました。あとは、例えば「こういう人と付き合いたい」という自分の中に思い描いているものがあっても、実際に好きになる人はその理想とは違ったりすることがあるじゃないですか。分かっていても、なぜか本能でそちらに行ってしまうというか。
──栄成のミステリアスな部分も人を引きつけるんでしょうね。
樋口 沼って一度ハマってしまったら、抜け出そうと抗えば抗うほどどんどんハマっていくし、まさに栄成もそういう感じというか。流れに身を任せながら、行くところまで行かないと抜けられなくて、どんどん好きになっちゃうんだろうなと思います。どうしたら栄成みたいに人の心をつかんで離さない人間になれるんでしょうね。私自身、人に沼るよりも、沼らせる側の人間になりたいと思いました。

抜け出そうと抗えば抗うほどどんどんハマっていく
──そんな栄成を演じる池田さんの印象も聞かせてください。
樋口 撮影では、場面ごとに視線や声のトーン、表情などを変えて栄成を説得力のあるキャラクターにしてくださっていて、一緒にお芝居していて楽しいです。また、現場を明るく盛り上げてくださっていて、朝から元気なところはお互い似ていると思います(笑)。
──現場ではどんなお話をされているんですか?
樋口 私生活では3きょうだいの末っ子同士ということで、よく“末っ子あるある”を話しています。末っ子って意外と周りを見ていて、「いま同じところ見てたよね」という瞬間も多いです。お芝居についての会話も多く、「あの場面の実歩乃はこういう気持ちだったよ」「でも栄成はこう思っていたよ」みたいなディスカッションになりがちで。最後には言いくるめられてしまうので、そこは栄成と実歩乃の関係にも通ずるかなって(笑)。
──実歩乃を演じる上で難しさを感じたところはありますか?
樋口 現場で池田さんが演じられる栄成を目の前にしたら、自然と実歩乃になれるんじゃないかなと思いました。ただ2人の出会いは、お互いに恋人がいながらの、いけない関係から始まっているわけで。当時付き合っていた恋人がいるなかで栄成に吸い寄せられてしまう、その一線を超える瞬間も丁寧に演じなければと思いました。実歩乃の心がただフラフラ揺れ動いているだけに見えないように、相手が栄成だからこそ惹かれてしまうという。ためらいがありつつも進んでみたいという気持ちを、現在とのコントラストという意味でもしっかり演じなければと。そこがちょっと難しかったです。
──では、演じていて楽しいと感じる部分は?
樋口 今回は監督が3人いらっしゃるんですけど、皆さん「自由に演じていいよ」と言ってくださっていて。カットをかけずに長回しする場面も多く、そういうときは役のままお芝居を続けるんですけど。そんなアドリブから生まれる空気感が楽しいです。親友のマキちゃん(日比美思)とのシーンでも、なかなかカットがかからない中でほっぺをムギュッとされたりして(笑)、わちゃわちゃしている空気感を表現できたかなと思います。美思ちゃんとは今回初共演なのですが、昔から知り合いのように仲良く演じられていてうれしいです。実歩乃って、栄成だけに見せる顔もあれば、マキちゃんだけに見せる顔もあるんですよね。関わる人それぞれに向ける顔が違うところは人間らしくていいなと思います。
──実歩乃は10年前の栄成との出会いを引きずったまま生きてきたわけですが、樋口さん自身、過去を引きずったりすることはありますか?
樋口 あまりないかもしれません。乃木坂46に在籍していたとき、学校生活との両立が大変な時期があって。一日中仕事をして夜に試験勉強をして、睡眠時間がほとんど確保できない日々を過ごしていました。でも私はうまく記憶の清算ができるタイプなのか、その一番きつかった時期の記憶をごっそり頭からなくせているんです。それでも、悔しかった思いは忘れないです。お仕事がなかなか思うようにいかなかったときに、「もう少しここをこうしていれば……」「もう少し早めに決断していたら……」と反省することも多くて。今の自分から過去の自分にアドバイスしたいことはたくさんあります。
──本作は、実穂乃と栄成の10年前そして現在の気持ちの変化を描いた作品です。樋口さんが悩んでいたその時期は、今からちょうど10年ぐらい前だと思うのでリンクしますね。
樋口 同じ人間ですが、やっぱり10年もたつと価値観は変わりますよね。好きなものだったり、思い描く未来だったり。きっと10年前の実歩乃も、違う考え方をしていたんだろうなと思うんです。それでも変わらない信念のようなものはあると思うので、気持ちの微妙なさじ加減についてはスタッフの方々とも話し合いつつ演じています。自分自身と重ねることはなかなか難しい題材ではあるけど、きっと現実の世界でもこういうことってあるんだろうなと。10年の変化というものをすごく身近に、リアルに感じた作品です。
【関連記事】
樋口日奈インタビュー後編「おにぎりとおみそ汁が一番、心も体もすこやかになれる気がします」
ドラマフィル「本命じゃなきゃよかったのに」
1月8日(木)よりMBSにて毎週木曜日深夜1時29分~放送中
tvk 1月8日(木)深夜1時00分~放送
テレ玉 1月12日(月)深夜0時00分~放送
群馬テレビ 1月13日(火)深夜0時30分~放送
とちテレ 1月14日(水)午後11時30分~放送
チバテレ 1月15日(木)午後11時00分~放送
TVer、MBS 動画イズムで⾒逃し配信、FOD見放題にて独占配信
公式サイト:https://www.mbs.jp/honmei/
TVer:https://tver.jp/series/sr67bgqs0w
(STAFF&CAST)
原作:水谷愛「本命じゃなきゃよかったのに」(小学館「フラワーコミックススペシャル」刊)監督:上村奈帆、吉川鮎太、⾼階貴法
脚本:上村奈帆
出演:樋口日奈、池⽥匡志、草川直弥、水戸由菜、日比美思ほか
(C)水谷愛/⼩学館/「本命じゃなきゃよかったのに」製作委員会・MBS
撮影/中村 功 取材・文/橋本吾郎 ヘアメイク/林万希子 スタイリスト/コバヤシリョウコ 衣装協力/LEJA、Jouete
