覗けば深い女のトンネルとは? 第26回「男女で身長に対する考えはかなり違う」
男の人は、「大きい」ってことにものすごーくこだわりがあるんだなあと思います。……身長の話ですよ。
先日、出会い系で知り合った男性が身長を10cmくらい詐称していましてね。「会ったらすぐにわかることを詐称するのか!」と衝撃を受けました。年収とか趣味とか、深く関わらなければわからないことならまだしも、「初めまして。ん?」ってタイミングでバレる嘘をなぜ……?
それほど「大きい」ことへの憧れって強いんでしょうか。『北斗の拳』なんか、ケンシロウだのトキだの、北斗神拳やってる人たちのでかいっぷりは山のごとしですものね。子どもとはいえリンを小鳥みたいに肩に乗っけちゃって、もうでかすぎて別の生き物です。一方でヨボヨボのおじいさんとかは通常サイズなのに。
じゃあ女も高身長の男性が好きなんでしょうか。確かに、少女マンガに登場する男子たちも、たいがい高身長です。180cmはマストみたいな。まあ好きなんでしょうね。
背が高いと確かに便利です。部屋の電球が切れたときに、やたら背の高い男子に付け替えてもらったことがあります。土台にする椅子を用意したら「いらない」と言って、直接天井に手を伸ばして、クリクリと電球を外していたのを見たときには衝撃でした。
「これは……ちょっとキュンとするなあ!」
と思った覚えがあります。「やだ……頼りになる……」って感じ。
ただ少女漫画的には、自分が椅子に乗り、電球を付け替えようとしてるときにバランスを崩して、彼のほうに倒れるって展開のほうが萌えますね。電球を握る手が触れあって、いや、それよりも押し倒したみたいな体勢になってお互い照れる、みたいな。パッと体を離して「で、電球、割れてないかな」「う、うん……大丈夫みたい」「……」「……俺がやるよ」といって彼が立ち上がる……みたいな。そこからお話1本書けそうな勢いだな。
個人的には、身長なんて個人の努力でどうなるものではないので、かなりどうでもいいです。その人を象徴する事柄のなかで、最も不可抗力な部分ですよね。だけど、性格を形作る大きなファクターではありそうです。
和久井の身長は162cm、高すぎも低すぎもないので、身長どうこうを意識したことはほとんどありませんでした。だけど自分とほぼ同じくらいの身長の男性と付き合っていたときのこと。高いヒールの靴を履けば「すごい高さの靴を履いてるね」、女のほうが高いのがいやなのかなと思って平らな靴を履けば「もうちょっと女性らしい靴を履けばいいのに」、挙げ句には「背、高いよね」。もう、どうすればいいんだか、結局気に入らないのは私の身長なんじゃないのか?!
男女の揉め事を避ける秘訣として「言ってもどうにもならないことは言わない」があります。背の高さをどーのこーの言われたところで、もうどうしようもありません。和久井と一緒にいてコンプレックスを刺激されるなら、もうそりゃほかの女にしたほうがお互い身のためなんじゃないでしょうか。
昔の知りあいに、身長160cmくらいの男子がいました。慶応ボーイでイケイケで、
「これ、女物のコートなんだけど、俺の身長だとそのほうが合うんだよね」
とケロッと言ってました。昔は、服のカットが割とユニセックスだったというのもあるかもしれません。とはいえ、この大らかさは魅力です。女物の服、てらいもなく買って着る男性ってそうそういないのでは。身長を理由に彼のことを断る女がいても、彼は「フーン、それは人の好みだからね」と笑い飛ばしそうです。
和久井は女子校育ちの少女漫画脳の持ち主なので、ケンシロウみたいにでかくてマッチョな男性はちょっと怖いです。ケンシロウがサカって押し倒してきたら、もう命を覚悟するレベルです。そもそも、いろんなものすべてがでかそうだし。
どちらかというと、モヤシみたいにひょろひょろした人とか、小動物みたいな男性に安心感を覚えます。男らしさを求めてひたすら筋肉鍛える男性がいますが、和久井からすると、やっきになって自ら魅力を消滅しにかかってる感じです。体格が大きくない男性は、どうぞそのままでいていただきたい。
知りあいの男子にモデルをお願いしたときのこと。「腕が細いので、大きく見える服を着てきた」と言うので、「チャームポイントをわざわざ隠蔽してどうするつもりだ!」と叫んでしまった。なんでもかんでも大きくて固けりゃいいと思うなよ!
乙女ゲームなどの逆ハーレムものでは、必ず小柄の男性キャラが登場します。彼の役目は、気さくで中性的で、いつでも主人公に寄り添うことです。で、たまーに男らしさを見せたりして、キュンとさせます。
というわけで、高身長の男性を好きな女は確かにいます。が、気にしない、もしくは小柄な男性が好みの女は間違いなくいっぱいいます。モテないのは背が低いからじゃななくて「背が低いことを気にしていて面倒くさい人」じゃないですかね。
仮に、優しくて物知りで、仕事一生懸命やっていて高身長の男性がいたとしましょう。奥さんかなんかに「僕のどこが好き?」とか余計なことを聞いて、「背が高いところ」って真っ先に言われたら、けっこうしょんぼりする気がします。