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2019/3/1 21:45

全50曲一挙聴き! アカデミー賞「歌曲賞」「作曲賞」+記憶に残る映画の名曲プレイリスト

映画好き、洋画ファンにとってはたまらない、アメリカでもっとも権威のある映画の祭典「第91回アカデミー賞授与式」が今年も開催されました。気になる主要部門の受賞結果は以下の通りです。

・作品賞 「グリーンブック」
・監督賞 アルフォンソ・キュアロン「ROMA/ローマ」
・主演男優賞 ラミ・マレック「ボヘミアン・ラプソディ」
・主演女優賞 オリヴィア・コールマン「女王陛下のお気に入り」
・助演男優賞 マハーシャラ・アリ「グリーンブック」
・助演女優賞 レジーナ・キング「ビール・ストリートの恋人たち」

 

日本でも社会現象化した、フレディ・マーキュリーの伝記ドラマ「ボヘミアン・ラプソディ」は最多4部門を受賞し、マーベル・シネマティック・ユニバース作品「ブラックパンサー」もヒーロー映画としては初の3部門を獲得。ともにある意味で「マイノリティ」を扱った映画としても、その賞レースの行方は注目の的でした。

 

そもそも「ブラックパンサー」のようなヒーロー映画は、これまでアカデミー賞から疎外されてきた過去があります。今回、主要7部門でノミネートされ、かつ3部門受賞したことで、ハリウッド映画界の旧態依然とした体質からの脱却が、本格的に始まっていることを予感させます。

 

さらには、衣装デザイン賞は「ブラックパンサー」を手がけたルース・E・カーター。衣装デザイン賞を獲得したアフリカ系のアメリカ人女性としては史上初です。

 

「脚色賞」は黒人の人種差別を扱った「ブラック・クランズマン」が受賞。手がけたのは社会的・政治的な視点を持ち続ける鬼才スパイク・リー監督で、初オスカーとなりました。こちらはその後、彼のスピーチをめぐって人種論争が起きているのはご存知のとおり。

 

そして、気になる音楽部門ですが、「作曲賞」は前述した「ブラックパンサー」でスコアを手がけたルドウィグ・ゴランソンが、歌曲賞は主演のレディー・ガガ自らが歌う「アニー/スター誕生」の「シャロウ」がそれぞれ受賞しました。

 

アカデミー賞授賞式では、レディー・ガガは監督のブラッドリー・クーパーと一緒にステージで「シャロウ」を熱唱し、圧倒的な歌力を見せつけました。リアルな恋人同志かと錯覚してしまうほど、ドキドキさせる歌世界への入り込み方がすごかったですよね。

 

今回はアカデミー賞ということで、「アカデミー賞縛り」でセレクトしてみようと思ったのですが、知られていない(であろう)楽曲が意外と多かったので、割と知られている(であろう)「歌曲賞(主題歌賞)」と「作曲賞」以外に、それぞれの年に大ヒットした洋画のテーマ曲や主題歌もピックアップしてみました。

 

前回のグラミー賞と同じく、切りのいいところで「1970年」からのピックアップとさせていただきます。「Spotify」アプリをダウンロードすれば有料会員でなくても試聴ができますので、アカデミー賞を始めとする時代を彩った映画音楽に想いを馳せながら、楽しんでいただければうれしいです。

 

アカデミー賞「歌曲賞」「作曲賞」+記憶に残る映画の名曲・名主題歌50曲

1970年
Midnight Cowboy/ジョン・バリー

第42回アカデミー賞作品賞を受賞したアメリカン・ニューシネマの代表作「真夜中のカーボーイ」。本楽曲は哀愁を帯びた名曲として人気を誇る。トゥーツ・シルマンのハーモニカが印象的。

 

1971年
Melody Fair/ビー・ジーズ

少年少女のフレッシュな恋模様を描いた、鬼才アラン・パーカー監督の処女作「小さな恋のメロディ」。主題歌の「メロディ・フェア」は日本で大ヒットを記録しました。

 

1972年
Theme From Shaft/アイザック・ヘイズ

第44回アカデミー賞歌曲賞受賞
この当時、アメリカで連作されていたブラックムービーの代表作「黒いジャガー」のテーマソング。超絶に格好いいソウル/ファンクのクラシック中のクラシック!

 

1973年
Ben – Single Version/マイケル・ジャクソン

第45回アカデミー賞歌曲賞ノミネート
少年とネズミの友情を扱った「ベン」のエンディングで流れる「ベンのテーマ」が日本でも人気を呼びました。ジャクソン5を経たソロシングルとして、初の全米1位を記録。

 

1974年
Live and Let Die /ウイングス

第46回アカデミー賞歌曲賞ノミネート
ビートルズを解散したポール・マッカートニーの新バンド「ウイングス」が、007シリーズ「007死ぬのは奴らだ」の主題歌を担当。スリリングな展開に引き込まれます。

 

1975年
Main Title/The Immigrant/カーマイン・コッポラ

第47回アカデミー賞作曲賞受賞
イタリアンマフィアの抗争と家族愛を描いた「ゴッドファーザー」シリーズの続編「ゴッドファーザーPARTII」のあまりにも有名なメインテーマ。

 

1976年
Theme from Taxi Driver/デイヴ・ブルーム

マーティン・スコセッシ監督、ロバート・デニーロ主演の70年代を代表する後期アメリカン・ニューシネマの傑作。むせびなくサックス、アーバンでジャジーなタッチに涙。

 

1977年
Gonna Fly Now – Theme From Rocky/ビル・コンティ

第49回アカデミー賞歌曲賞ノミネート
人気シリーズ「ロッキー」の第1弾にしてシルベスター・スタローンの出世作。「ロッキーのテーマ」としてお馴染み。印象的なホーンはメイナード・ファーガソンによるもの。

 

1978年
More Than Woman/ビージーズ

世界的に大ヒットを記録し、ここ日本でもディスコ・ブームを巻き起こした「サタデー・ナイト・フィーバー」。ビージーズは3曲もの全米1位をサントラ盤から叩き出した。

 

1979年
Last Dance -12 Version/ドナ・サマー

第51回アカデミー賞歌曲賞受賞
青春ディスコムービー「イッツ・フライデー」に女優としても出演したディスコの女王。スローな始まりから徐々にディスコビートにヒートアップしていく流れがたまらない。

 

1980年
Call Me/ブロンディ

リチャード・ギアがセクシーなジゴロを演じた「アメリカン・ジゴロ」の主題歌。デボラ・ハリー率いるNYのニューウェーブ・バンド、ブロンディの全米ナンバーワン曲。

 

1981年
Fame/アイリーン・キャラ

第53回アカデミー賞歌曲賞受賞
スターを夢見る若者たちを描いた「フェーム」の主題歌で、アイリーン・キャラは歌手役でも出演。のちにピンク・レディーが「リメンバー(フェーム)」として名カバー。

 

1982年
Arthur’s Theme (Best That You Can Do)/クリストファー・クロス
第54回アカデミー賞歌曲賞受賞
ダドリー・ムーア主演のコメディ映画「ミスター・アーサー」の主題歌「ニューヨーク・シティ・セレナーデ」。NYの摩天楼を思わせる、アーバンなAORサウンドに昇天。

 

1983年
Up Where We Belong/ジョー・コッカー&ジェニファー・ウォーンズ

第55回アカデミー賞歌曲賞受賞
リチャード・ギア主演の不朽の名作「愛と青春の旅立ち」の主題歌。ジョーのしわがれ声と澄んだジェニファーの正反対の声質の拮抗がとにかく素晴らしい名バラード。

 

1984年
Flashdance…What A Feeling/アイリーン・キャラ

第56回アカデミー賞歌曲賞受賞
ストリートの目線を取り入れたダンス映画の火付け役「フラッシュダンス」の主題歌。サントラも特大ヒットを記録。日本では麻倉未稀と安室奈美恵のカヴァーが有名かも。

 

1985年
Against All Odds (Take a Look at Me Now)/フィル・コリンズ

第57回アカデミー賞歌曲賞ノミネート
男女の危険な恋を描いた「カリブの熱い夜」の主題歌を、当時飛ぶ鳥を落とす勢いだった世界の超売れっ子、フィル・コリンズが担当。邦題は「見つめて欲しい」。

 

1986年
Say You, Say Me/ライオネル・リッチー

第58回アカデミー賞作曲賞受賞
世界的なロシアのバレエ・ダンサー、ミハイル・バリシニコフが主演を務めた「ホワイトナイツ/白夜」の主題歌。静かな展開から急に転調する構成が新鮮です。

 

1987年
Take My Breath Away – Love Theme from Top Gun/ベルリン

第59回アカデミー賞歌曲賞受賞
当時イケイケのトム・クルーズが、アメリカ海軍のエリートパイロットを演じた「トップガン」。劇中のラブシーンで流れる印象的なナンバーで、邦題は「愛は吐息のように」。

 

1988年
The Last Emperor(Theme)/坂本龍一

第60回アカデミー賞作曲賞受賞
中華圏最期の皇帝、溥儀の生涯を描いたベルナルド・ベルトリッジ監督作品「ラストエンペラー」の官能的な名曲。「世界のサカモト」伝説はここから始まった。

 

1989年賞
Calling You – Bagdad Cafe/ジェベッタ・スティール

第61回アカデミー賞歌曲賞ノミネート
80年代のミニシアターブームの象徴的な西ドイツの作品で、日本でも大ヒットを記録した。テーマ曲「コーリング・ユー」はとにかく流行りました。

 

1990年
Unchaind Melody/ライチャス・ブラザーズ

日本中を涙に濡らしたラブロマンスの名作「ゴースト/ニューヨークの幻」。劇中を彩った往年の名曲「アンチェインド・メロディ」(1965年発売)は大ヒットを記録。

 

1991年
Sooner or Later/マドンナ

第63回アカデミー賞歌曲賞受賞
人気コミック「ディック・トレイシー」の実写映画化で、マドンナが世紀の女たらし、ウォーレン・ベイティと共演したことで話題に。ジャジーなタッチが耳に残ります。

 

1992年
Questions In A World Of Blue/ジュリー・クルーズ

大ヒットドラマ「ツイン・ピークス」を映画化した「ツイン・ピークス/ローラ・パーマー最期の七日間」もヒットを記録。ジュリー・クルーズの美しい歌声に癒されます。

 

1993年
I Have Nothing/ホイットニー・ヒューストン

第65回アカデミー賞歌曲賞受賞
本人出演の映画「ボディガード」で有名な「I Will Always Love You」は実はアカデミー賞にノミネートされていませんでした。この曲の方が好きという人も多いのだとか。

 

1994年
Again/ジャネット・ジャクソン

第66回アカデミー賞歌曲賞ノミネート
ジャネットの初主演で話題を呼んだ青春映画「ポエティック・ジャスティス/愛するということ」。しっとりと染み入るバラードの名曲です。

 

1995年
夢中人/フェイ・ウォン

ウォン・カーウァイ監督の出世作「恋する惑星」の主題歌。クランベリーズの「ドリームス」をアジアの歌姫フェイ・ウォンが広東語でカバー。異常に流行ったおしゃれ映画でした。

 

1996年
Born Slippy -NUXX/アンダーワールド

カルチャー好きのあいだでヒットした青春映画「トレインスポッティング」。劇中を象徴するアンセムで、映画のヒットを経てアンダーワールドも世界的なアーティストへと昇りつめていきます。

 

1997年
You Must Love Me/マドンナ

第69回アカデミー賞歌曲賞受賞
アルゼンチン大統領夫人になった「聖母エビータ」の激動の人生を描いたマドンナ主演の映画「エビータ」の感動的な主題歌。

 

1998年
My Heart Will Go On/セリーヌ・ディオン

第70回アカデミー賞歌曲賞受賞
日本でも大ヒットを記録した、レオナルド・ディカプリオ主演の「タイタニック」を彩るあまりにも有名な主題歌。彼女が当初、この曲を歌いたくなかったのは有名な話。

 

1999年
I Don’t Want to Miss a Thing/エアロスミス

第71回アカデミー賞歌曲賞ノミネート

ブルース・ウィルス主演のSF映画「アルマゲドン」を必要以上に盛り上げるバラード曲。観終わってみたら、この歌しか印象に残っていないといっても過言ではありません。

 

2000年
Charlie’s Angels 2000/Apollo 44

キャメロン・ディアス、ドリュー・バリモア、ルーシー・リュー出演の人気アクション映画「チャーリーズ・エンジェル」のビッグビート仕様にアレンジされたメインテーマ。

 

2001年
I’ve Seen It All/ビョーク&トム・ヨーク

第73回アカデミー賞歌曲賞ノミネート
アイスランドの歌姫ビョークが初めてスクリーンで演じた「ダンサー・イン・ザ・ダーク」の主題歌。レディオヘッドのトム・ヨークとの夢の共演で話題を呼びました。

 

2002年
Boobytrappin/デヴィッド・ホルムズ

天才犯罪集団の活躍を描いた大ヒット映画「オーシャンズ」シリーズのはじまり。「オーシャンズ11」の劇中で印象的なテーマ曲。スタイリッシュなサウンドが印象的。

 

2003年
Lose Yourself/エミネム

第75回アカデミー賞歌曲賞受賞
黒人もそのスキルを認めた白人ラッパー、エミネムの自伝的映画「8マイル」の主題歌。全米シングルチャートで12週間連続1位を記録しました。

 

2004年
The Return of the King/ハワード・ショア、ルネ、フレミング

第76回アカデミー賞作曲賞受賞
「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズの最終章、「ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還」の壮大なテーマ曲。10分超えの大作です。

 

2005年
Al otro lado del Rio/ホルヘ・ドレクスラー

第77回アカデミー賞歌曲賞受賞
キューバの革命家、チェ・ゲバラの若い頃を描いた「モーターサイクル・ダイアリーズ」のエンディングで流れていた名曲。ウルグアイ出身のシンガーソングライターの手によるもの。

 

2006年
Mission:Impossible Theme/マイケル・ジアッキーノ

トム・クルーズ主演の「ミッション・インポッシブル」シリーズの第3作目「M:i:III」。そのお馴染みのテーマ曲。毎回アレンジを変えているのにご注目を。

 

2007年
Love You I Do/ジェニファー・ハドソン

第79回アカデミー賞歌曲賞ノミネート
モータウンレーベルの伝説のガールズ・グループ「スプリームス」をモデルにしたビヨンセ主演の「ドリームズガールズ」。ジェニファー・ハドソンは本作で大ブレイク。

 

2008年
The Red Cliff/岩代太郎、三船優子

「三国志」の赤壁の戦いをジョン・ウー監督が指揮した中国・香港・日本・韓国・台湾合作映画「レッド・クリフ」。劇中を彩る壮大なメインテーマに胸が高ぶります。

 

2009年
Jai Ho!(You Are My Destiny)/A・R・ラフマン、ザ・プッシーキャット・ドールズ

第81回アカデミー賞歌曲賞受賞
アカデミー賞8部門を制覇したダニー・ボイル監督作品「スラムドッグ$ミリオネア」のエンディング曲。本作はA・R・ラフマンを招いて、ザ・プッシーキャット・ドールズがカバー。

 

2010年
Stand Up/プロディジー

ちょっとエグいヒーロー映画「キック・アス」の序盤で流れる印象的な楽曲は、デジロックのプロディジー! ヒット・ガールを演じたクロエ・グレース・モレッツの出世作。

 

2011年
If I Rise/ダイド、 A・R・ラフマン

第83回アカデミー賞歌曲賞ノミネート
ダニー・ボイル監督作品「127時間」の主題歌をダイドが担当。楽曲製作はインドの売れっ子A・R・ラフマンによるもので、幻想的なサウンドが印象的。

 

2012年
The Avengers/アラン・シルヴェストリ

驚異的な世界興行収入を上書きし続ける「マーベル・シネマティック・ユニバース」シリーズの超人気作品「アベンジャーズ」のテーマ曲。重厚なスコアに胸アツです。

 

2013年
Skyfall/アデル

第85回アカデミー賞歌曲賞受賞
ジェームズ・ボンドを演じるダニエル・クレイグ版「007」シリーズの世界観を見事に具現化した「007 スカイフォール」の主題歌。いまをときめくアデルが熱唱。

 

2014年
Let It Go/イディナ・メンゼル

第86回アカデミー賞歌曲賞受賞
ここ日本でも大ヒットしたディズニーアニメ映画「アナと雪の女王」の主題歌。イディナ・メンゼルは王女エルサ役でも声優出演しています。

 

2015年
Glory(from the Motion Picture Selma)/コモン、ジョン・レジェンド

第87回アカデミー賞歌曲賞受賞
黒人の公民権獲得のために奔走した活動家、マーティン・ルーサー・キング・Jr牧師の闘争を描いた「グローリー/明日への行進」の主題歌。コモンとジョンの最高の組み合わせ!

 

2016年
Writing On The Wall/サム・スミス

第88回アカデミー賞歌曲賞受賞
「007スペクター」の主題歌を、007好きのサム・スミス自らが監督に逆オファーする形でゲットしたのは有名なエピソード。ボンドの複雑な心情に迫った歌世界がいい。

 

2017年
Another Day Of Sun/ラ・ラ・ランド キャスト

第89回アカデミー賞作曲賞受賞
日本でも大ヒットしたミュージカル映画「ラ・ラ・ランド」は、第89回アカデミー賞で6部門受賞。本作はダイナミックなオープニングを飾った印象的な楽曲です。

 

2018年
The Shape Of Water/アレクサンドル・デスプラット

第90回アカデミー賞作曲賞受賞
半魚人と人間の異形の愛の形を描いた、ギレルモ・デル・トロ監督作品「シェイプ・オブ・ウォーター」。切なさをなぞった美しい旋律とバンドネオンの音色が幻想的。

 

2019年
Shallow/レディー・ガガ、ブラッドリー・クーパー

第91回アカデミー賞歌曲賞受賞
ブラッドリー・クーパーが初監督し、レディー・ガガが初主演を飾った「アリー/スター誕生」でひと際耳に残るデュエット曲。見事本年度のアカデミー賞歌曲賞を獲得!