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2020/2/20 18:00

カバー曲の醍醐味とは――ギャランティーク和恵が語る平山みき「昭和歌謡を唄う」の魅力

開店ガラガラガラ……久々にギャラン堂、オープンです!みなさんいかがお過ごしだったでしょうか。「ギャラン堂」は、歌手のギャランティーク和恵がオーナーを務める“架空”のレコードショップ。イメージとしては、小さな町の商店街に並んでいる、歌謡曲・演歌を専門に取り扱う老舗のレコードショップといった感じでしょうか。トップの写真は亀戸にある天盛堂さんをお借りして撮影しておりますが、天盛堂さんとギャラン堂は一切関係はございません!(ご迷惑をおかけしないよう一応お伝えしておきます)

↑ギャランティーク和恵さん(撮影:下村しのぶ)

 

この連載が始まって今回が4度目の開店となるのですが、いつ以来の開店だろうと調べてみたら、2019年の2月ですって。なんてやる気のないレコードショップだこと……。1年ものあいだずっとシャッターを下ろしたまま、よくもまぁ今日まで店を続けられたもんです(GetNavi webさんいつもすみません……)。そんな気ままに開店する「ギャラン堂」をこれからもどうか長い目でお付き合いくださればと思います。

 

気ままとは書きましたが、「ギャラン堂」をオープンする時はワタシがみなさんに紹介したいCDがある時だけ。どこかの誰かが「提灯記事書いてる」って悪い噂してたけど(エゴサの女)、ワタシは本当にお薦めできるものしか紹介しません。筒美京平センセーのコンピに岩崎宏美さんの復刻アルバム、そして天地真理さんのBOXと、いままで紹介した商品はすべてワタシが責任持ってプッシュできるものばかりなのです。そんな流れで今回ご紹介したい商品は、ワタシが愛して止まないディーバ、平山みきさんが昨年リリースしたカバーアルバム「昭和歌謡を唄う」です。

(提供:ソニー・ミュージックダイレクト)

「昭和歌謡を唄う」/平山みき

2019年11月13日発売
価格:2727円+税

形態:CD(高品質Blu-spec CD2仕様)

特設サイト:http://www.110107.com/s/oto/page/miki_hirayama

 

【収録曲】
01. プロローグ (ナレーション:横山 剣)
02. ブルーライト・ヨコハマ (オリジナル:いしだあゆみ)
03. 恋のバカンス(オリジナル:ザ・ピーナッツ)
04. 君に会いたい(オリジナル:ザ・ジャガーズ)
05. グッド・バイ・マイ・ラブ(オリジナル:アン・ルイス)
06. さらば恋人(オリジナル:堺 正章 )
07. 長い髪の少女(オリジナル:ザ・ゴールデン・カップス)
08. 喝采(オリジナル:ちあきなおみ)
09. 白い蝶のサンバ(オリジナル:森山加代子)
10. 時の過ぎゆくままに (オリジナル:沢田研二)
11. 愛の太陽 ※新曲
12. エピローグ (ナレーション:横山 剣)

 

「昭和歌謡」のカバーアルバムというのは近年いろんな歌手やミュージシャンが取り組んでいる、良くも悪くも“ベタ”な企画ではありますが、その醍醐味というのは、誰もが知ってる歌をこの人の歌声で聴くとどうなるのだろう、というところにあると思います。ただワタシにとっては、それがどんな素晴らしい歌手のカバーであろうが、 “カラオケBOXでお酒のついでにノリで歌ってくれた”くらいのありがたさにしか聴こえないのも本音。つまりあんまりありがたくない。むしろ逆に恥ずかしい気持ちにさえなります。

 

それでは何故平山みきさんのこのアルバムをプッシュするのか。それは一重に、平山みきさんが歌えばどんな歌でも平山みき色に変わる(もちろん黄色)という面白さを体験できる素晴らしいCDだからです。

↑平山みきさんのラッキーカラーはイエロー

 

平山みきさんは、平山三紀として1970年に日本コロムビアより『ビューティフル・ヨコハマ』でデビューするのですが、その前に銀座のジャズクラブで歌っていたところをスカウトされ、作詞家の橋本 淳センセーと作曲家の筒美京平センセーの事務所でレッスンを受けることとなります。

 

平山みきさんの声は、デビュー当初からすでに中低音域に落ち着いた大人の色気を漂わせ、さらにはどこか“不良”の香りも感じさせるつっぱねた歌唱法は唯一無二であり、「筒美京平の秘蔵っ子」と言われたくらい、京平センセーに愛された声の持ち主だったとのこと。その歌声は歌謡歌手のなかでもズバ抜けて個性的であり、しかもデビューから今に至るまでその魅力はまったく変わることがなく、現在も精力的に活動されています。

 

ほかにも郷ひろみさんだったり、森山良子さんだったり、前川 清さんだったり、個性的な歌声の歌謡歌手の方は沢山いらっしゃいますが、そんな方たちの歌マネをカラオケで、例えば「もしも森山良子が誰々の◎◎を歌ったら」みたいな遊びを皆さんもよくやりませんか?(ワタシはします)。「今日は全部『前川清』風に歌う」みたいなテーマを課してすべての歌を前川清さんの歌い方で歌うという遊びは非常に楽しいものです。

 

そんな遊びをまさにご本人がやってくれているようなこのCDは、親切にも誰でも知っているような歌謡曲を選んでくれているため、聴く前に一度アタマの中で平山みきさんがどのように歌っているかをイメージすることができます。そしてその予想通りに歌っているかどうかを、実際に聴きながら答え合わせができるというのがこのCDの醍醐味なのです。もし平山みきさんをご存知ないという方は、このCDをお聴きになる前にベストアルバムなどで彼女の個性的なボーカルを事前に聴いておくことをお勧めします。そうすることで2倍3倍もこのCDを楽しむことができるでしょう。

 

さて、ここで注目すべきはその曲順です。プロローグとして平山みきさんを同じく愛してらっしゃるヨコハマのスター、クレイジーケンバンドの横山 剣さんによるナレーションが入り、いしだあゆみさんの「ブルーライト・ヨコハマ」でスタートします。まぁこのくらいなら彼女がどのように歌うのか、想像するに容易い曲です。しかもみなさんが想像する通りに歌ってくれるから期待を裏切りません。

 

そして次はザ・ピーナッツの「恋のバカンス」。これも平山みきさんの歌い方ならば相性もよく、イメージもしやすい。平山みきカバークイズとしては難易度も低いほうです。案の定、これもワタシたちの予想を全く裏切りません。むしろ平山みきさんの歌唱をこれでもかと堪能できる素晴らしい選曲です。さらにはザ・ジャガーズの「君に会いたい」やアン・ルイスさんの「グッド・バイ・マイ・ラブ」、堺 正章さんの「さらば恋人」にザ・ゴールデン・カップスの「長い髪の少女」と続きます。

 

大体この辺りまでは答え合わせとしてもイメージ通り、平山みき節を心置きなく堪能出来るのですが、この後に続く曲がなんとちあきなおみさんの「喝采」。突然難易度の高い曲が立ちはだかります。そう、いままでのカバーはこの「喝采」を聴くための準備運動だったといっても過言ではありません。さぁここからが本題。平山みき節でこの曲を果たしてどう歌うのか……しかし平山みきフリークのワタシでさえなかなか想像がつきません。そもそもこのCDを手にして収録曲に目を通した時に「喝采」の文字が見えた瞬間、正直困惑しました。さて、彼女はこの歌をどう歌うのか……はるか高き山脈に挑むが如く、胸の高鳴りとともに平山みき版「喝采」をいざ、視聴!(感想はみなさんに委ねます)

 

聴き終わった後にはなんだか清々しささえ感じ、もうどんな曲が立ちはだかろうが怖いものはありません。次曲の森山加代子さんの「白い蝶のサンバ」では平山みき節もスパーク。むしろもっと来い! という感じで全身全霊でみき節を堪能している自分に気づきます。

 

しかしそんな安心感も束の間、最後にまたひとつ大きな山がやってきます。沢田研二さんの「時の過ぎゆくままに」です。これもなかなか平山みき節では想像できないカバー。ただここで慄いてはいけません。これまで沢山の彼女のカバーを聴いてきた経験を活かし、この歌を平山みきさんがどのように歌うか、一度プレイヤーを止めて聴く前にイメージしてみてください。もし、あなたが平山みきだったらこの歌をどう歌いますか? ……そう、これは平山みきの歌唱(モノマネ)をマスターするための“卒業検定”のような曲なのです! さぁ、答え合わせをしましょう。心していざ、視聴!(こちらも感想はみなさんに委ねます)

 

最後の最後に現在進行形の彼女のオリジナル曲「愛の太陽」を堪能。カバーとは違って、やっぱり彼女の歌唱が一番しっくり来るのはオリジナル曲だということが揺るぎなく証明されるのであります。しかもいい歌。決して彼女のカバーがよくないと言いたいわけではありません。むしろそんな論議は無用。何よりもこのカバーアルバムはワタシたちに「カラオケで平山みき節でどんな歌も歌えるスキル」を知らぬ間に身につけさせてくれたのです。そのスキルこそが彼女のボーカルの最大の魅力を理解出来た証。さぁ、カラオケボックスであなたも平山みき節で「喝采」を歌ってみましょう! 昭和歌謡でなくてもいいんです。official髭男dismの「プリテンダー」でもKing Gnuの「白日」でもいいのです。どんな歌もすべて平山みき色に染めてしまいましょう! こんなに楽しいカラオケはありません。

 

撮影協力:天盛堂(亀戸)

 

【INFORMATION】

ギャランティーク和恵さんがメンバーを務める歌謡コーラスユニット・星屑スキャットのツアー「星屑スキャット TOUR 2020 『色、色々』」が5月よりスタートします。チケットの一般販売は2月29日(土)を予定しています。

開催日程

【大阪】5月23日(土) 岸和田市立浪切ホール

open 17:15 / start 18:00 全席指定 7000円(税込)

【宮城】 6月6日(土) 仙台PIT

open 17:30 / start 18:00 全席指定 6500円(税込・入場時別途ドリンク代)

【神奈川】7月4日(土) ハーモニーホール座間

open 17:30 / start 18:00 全席指定 7000円(税込)

【愛知】 7月5日(日) ウインクあいち 大ホール

open 17:30 / start 18:00 全席指定 7000円(税込)

【東京】 7月16日(木) 中野サンプラザホール

open 18:00 / start 19:00 全席指定 7000円 (税込)

…and more

 

また、3月18日(水)にはギャランティーク和恵さんのソロライブ「電撃的歌謡環嚠嬲Ⅲ」@www(渋谷)も開催されます。こちらはすでに指定席分は完売となり、残るはスタンディングのみ! まだ予約していない方は、急いでお申込みを!

日程:2020年3月18日(水)開場18:30/開演19:30

場所:渋谷WWW

チケット:4000円(スタンディング)※1D別

(チケットのお申込みの詳細は公式サイト:http://gallantica.com/をご確認ください)