肌のpHに合わせて色が変わる「スマートTシャツ」が健康管理を容易に

ink_pen 2020/7/28
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肌のpHに合わせて色が変わる「スマートTシャツ」が健康管理を容易に
佐藤まきこ
さとうまきこ
佐藤まきこ

大学時代に細胞培養の研究を専攻した後、メディア・広告の世界へ。雑誌編集者や広告のプランナー、コピーライターとして長年経験を積み、フリーランスのプランナー、エディターとして活動中。ハワイ、オアフ島在住。Instagram: @hawaii_milestone

自分自身でも気づかないような身体のわずかな変化を検知できたら、体調管理にきっと役立てられるはず。そんなことを可能にしたのが、肌のpHに反応して色が変わるバイオアクティブインクを使ったTシャツです。スマートファブリックの最前線のアイテムをご紹介しましょう。

 

身体のpHに反応して色が変わる

身の回りのあらゆるものでIoT化が進み、心拍数や血圧、睡眠時間などの健康管理ができるウェアラブル機器も数多く生み出されています。それと同じように身体のさまざまな情報を管理できるのが「スマートファブリック」。繊維に金属線を巻き付けて導電性をもたせるなど、生体情報を取得できる機能素材が開発され、それを活用した衣類が作られているのです。そして今回ご紹介するTシャツも、そんなスマートファブリックのひとつと言えます。

↑身体のpHによってドットの色が変わり体調がわかる

 

簡単に言うと、これは「着ている人の健康状態がわかるTシャツ」。前面にあるドットのデザインに特殊なインクが使われ、その人の健康状態によって色が変わる仕組みです。このバイオインクはアメリカのタフツ大学の研究者が開発したもので、汗などに含まれる化学成分に反応して色が変化します。このシャツを着ている人の肌のpHによって、ドットの色が変わり、体調の変化を判断することができるというわけです。

 

このバイオインクは、一般的に使わているシルクスクリーン印刷にも使えるというのも特徴。特殊な製造方法ではなく、従来の製法でも利用できるという点で、このバイオインクの汎用性の高さがうかがえます。また、このバイオインクは今回発表されたTシャツなどの衣類のほか、靴やマスクなどに活用することもできるうえ、木材、プラスチック、紙などに印刷することも可能みたいです。

 

衣類だけでなく、いろいろな物に印刷できるこのバイオインク。健康に関するデータを解読するのは、専門的な知識がある程度必要かもしれませんが、色の識別だけなら老若男女だれでも簡単にできるもの。それで健康状態を判断できるのなら、健康管理や病気の予防にも役立てられることでしょう。

 

また同大学内のSilklab研究室では、このバイオインクをタペストリーに使ったアート作品の制作も実施したそう。色の変化が起きるアートとして楽しむなど、このバイオインク活用の期待はますます高まりそうです。

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