個性派アイドル集団「ハロー!プロジェクト」のメンバーが、趣味や大好きなものを徹底的に語り尽くす特別企画。第3弾はJuice=Juiceから、タコを愛してやまない工藤由愛が登場。見るのも、食べるのも、触るのも大好きだというタコフリークで、Tシャツ、アクセサリー、バッジなどのタコグッズ収集にも余念がない彼女に、溢れ出すタコへの思いを存分に語ってもらった。
(構成・撮影:丸山剛史/執筆:猪口貴裕)
自分で釣ったタコを食べて感涙
――まだ工藤さんがハロプロ研修生北海道だった2017年にインタビューさせていただいたとき、「北海道で好きなところは?」と質問したところ「タコの水揚げ量が全国で5割以上を占めるところ」と即答していたのが、すごく印象に残っています。
工藤 そうでしたか!
――また、工藤さんがアイドルを目指したきっかけとなったモーニング娘。の小田さくらさんに初めて会ったときのエピソードを聞いたら、「私はタコが大好きで、よくタコのTシャツを着るんですけど、モーニング娘。さんのオープニングアクトをやらせていただいたときも、タコのTシャツだったんです。そしたら小田さくらさんが目に止めてくださって、とてもうれしかったです」と、これもタコの話にすり替わったんです(笑)。
工藤 あのときは本当にうれしかったです。
――そこで今回は改めて工藤さんのタコ愛を深掘りしようと思います。まず、いつごろからタコが好きになったんですか?
工藤 小学5年生のときに、生タコを食べたことがきっかけでハマってしまいました。その日以来、世の中にある食べ物で一番おいしいのはタコなんじゃないかと自分の中で芽生えて、そこからタコの生態も調べるようになりました。
――それまで生タコを食べたことはなかったんですか?
工藤 たぶん生タコはのどに詰まって危険なので、親が食べさせないようにしていたと思うんです。ところが初めて生タコを食べた瞬間、ダイレクトに海を感じさせる風味、食感の良さに衝撃を受けました。ちなみに生タコがのどに詰まらないようにするコツとしては、タコの吸盤の端っこをハサミなどでチョンと切ってあげると、くっつきにくくなります。
――さっそく豆知識をありがとうございます!
工藤 最近、同期の松永里愛(Juice=Juice)ちゃんと一緒にタコの踊り食いを食べに行きました。口の中で命を感じるというか。タコの躍動感を実際に体感できて幸せでしたし、すごくおいしかったです。
――食べる以外で、生きているタコを触ったことはありますか?
工藤 お仕事でタコ釣りをさせていただいたことがあります。そのときも里愛ちゃんと一緒で、船釣りだったんですけど、私は可愛らしい小さなサイズから躍動感のある大きなサイズまで10匹ぐらい釣れました。
――なかなかの釣果ですね。
工藤 ずっと生きているタコを触ってみたかったので、1匹目を釣ったときに、「やっと生きたタコを私の手に宿したんだ」とうれしくなりました。タコって軽そうなイメージだったんですけど、釣るとなるとかなりの力が必要で、翌日の筋肉痛は忘れられません。その筋肉痛すら良い思い出です。
――釣ったタコはどうしたんですか?
工藤 茹でタコとタコ飯にして食べました。下処理も体験させていただいたんですが、早く食べたい気持ちでワクワクしました。
――下処理に抵抗はなかったんですか?
工藤 全然なかったです! ずっと触っていたかったぐらいでした。タコ飯を食べたときは、あまりのおいしさに感動して涙を流しました。釣れたての茹でタコを食べたのも初めてで食感も最高でしたし、自分で釣ったタコなのも格別で……。
タコのお母さんをリスペクト
――好きなタコの種類を教えてもらえますか。
工藤 まずは、この『世界で一番美しいイカとタコの図鑑』(エクスナレッジ刊)で実際の写真を見てほしいんですが、見た目が一番好きなのはスカシダコです。臓器が見えるんですよ! 海の中で透明なタコが泳いでいる姿を想像するだけで素敵だなと思います。
――ちょっとクラゲっぽいですね。
工藤 実はクラゲダコというタコもいます。カッコよさで言うと、コウモリダコも好きです。名前の通りコウモリっぽいビジュアルで、水族館でコウモリダコのバッジも買いました。あとムラサキダコもいいですね。足の部分がスカートみたいで、泳いでいる姿が空を飛んでいるようで魅力的です。
――『世界で一番美しいイカとタコの図鑑』は、タコよりもイカのほうが多くページを割いていますね。
工藤 そうなんですよ。イカは約400種類、タコは約200種類と言われていますからね。ただ最近の研究ではタコも400種類ぐらいいるという説もあって、日々研究も進化しています。
――味と見た目以外でタコの好きなところはどこですか?
工藤 頭が良いところですね。タコは無脊椎動物に属する生き物なんですけど、最も頭の良い無脊椎動物と言われているんです。脳みそが9個あるんですけど、足の付け根に8個と、主要の脳が眉間あたりに1個あって。だから漁師さんがタコを締めるときは、急所の眉間にプスッと刺すんです。タコはルービックキューブを吸盤で回すことができますし、ガラス瓶に閉じ込めてフタをしたら、フタを回す方向を覚えて吸盤で内側から逆方向に回して脱出したりできるんです。その辺の知識は、『タコの教科書 その驚くべき生態と人間との関わり』(エクスナレッジ刊)で学びました。
――2冊目の文献の登場ですね。
工藤 この本はタコの基礎知識から、深い部分まで書かれていて私のバイブルです。あとタコの吸盤って本当に奥深くて、タコの吸盤を研究して作られたロボットもあるんです。もう一つ、タコで素晴らしいなと思うのは、お母さんの子どもに対する愛情です。テレビのドキュメンタリー番組で観たんですが、タコのお母さんは産卵したら、自分は飲まず食わずで、ずっと卵を守り続けるんです。もう皮もボロボロになるんですよ。それで無事に卵が孵化したら、安心して死んじゃうんですよ。その姿がカッコよかったです。
――タコは海の生物の中でも強いことで知られていますよね。
工藤 そうなんです! ただ唯一の弱点は体力がないことで……。確か時速40キロぐらいで泳ぐんですけど、そこまで長く泳ぐことができないんです。ウツボが天敵なんですけど、逃げ続けられないから、墨を出して隠れたり、岩などに変色したりするんです。
タコのTシャツを着ると気合いが入る
――水族館は行きますか?
工藤 大好きです。最近はこの状況で行けてないんですけどね。思い出に残っているのが私の出身地である北海道のおたる水族館で、2019年に「蛸(たこ)その驚くべき能力を探る」という特別展を開催したんです。実際に生きたタコを触ることができましたし、三重県の水族館から借りて来た、枝みたいに足が何十本にも分かれた多足タコの展示もあって面白かったです。その日は、「I LOVE TAKO」と書かれたTシャツを着て行ってタコ好きをアピールしました(笑)。リハーサルなどでもタコのTシャツを着ると気合いが入ります。
――工藤さんはブログでもタコのTシャツを着た写真をよく上げていますが、今日は自慢のタコグッズも持ってきてくれたんですよね。
工藤 家にあるタコグッズの2割程度なので、ほんの一部ですが、ヘアピンなどのアクセサリーやネックレス、タコのアイマスク、おたる水族館で買ったコウモリダコのバッジなどを持ってきました。サンプル屋さんで買ったリアルなタコのアクセサリーは、ここぞというときに身に付けます。タコグッズではメンダコ関連のものが一番好きなんですけど、文房具店で見つけたメンダコのマジカルペンは、もったいなくて使ってません。タコグッズの中にはハロー!プロジェクトのメンバーさんからプレゼントされたものもあります。よく持ち歩いているものだと稲場愛香(Juice=Juice)さんからタコのポーチをいただきました。
――最後にタコが好きで良かったことは何でしょうか?
工藤 タコという熱心になれるものがあることで、知識が広がっていくのが楽しいですし、こうやってタコのお話をする機会がいただけるのもうれしいです。ただ私の知識なんて、ほんの一部にしか過ぎないので、もっともっと勉強して、いつかタコの研究者の方から、いろんなお話を聞きたいです。
工藤由愛(クドウ ユメ)
2004年9月28日北海道生まれ。趣味はピアノ、タコグッズ整備。座右の銘は「夢は逃げない、逃げるのはいつも自分だ」