ロスアンジェルスの街角に建つ古びたホテル「ホテル・コルテス」。1920年代に建てられたアールデコ調の建物は、妖しいたたずまいのまま今日も営業中。そこで繰り広げられる、血なまぐさいけれど美しい時空を超えた物語の数々……。
ヒットドラマ「Glee」のクリエイタ―、ライアン・マーフィーが全く違うジャンルに挑んだ意欲作で、全編に漂うエクストリームなのに気品あふれる雰囲気はレディ・ガガにぴったりです。
ガガ様の妖艶さを見るだけでもじゅうぶん面白いですし、あらすじとキャラクターを把握しておけば最終話まで楽しめると思うので、ぜひチェックしてみてください。
レディ・ガガが初主演
開業以来ずっとこのホテルに暮らしている伯爵夫人(レディ・ガガ)は、血を吸うことで100年以上も美貌を保っている、いわゆるヴァンパイア。セックスも大切なエネルギー源で、セクシーな人間なら男性でも女性でも何でもOKというのがとてもガガ様っぽいです。圧倒的なカリスマ性を持ち、複数の部屋の鍵を持つミステリアスな女。ヘッドドレス&スーツや優雅に裾をひきずるドレスなど、華麗な装いでホテル内を優雅に闊歩する様子はまるでMVのように美しく、映像だけで楽しめます。
”スキンヘッドに濃いメイクのドラァグクイーン”という、ガガ様よりも目立つキャラクターはフロント担当のリズ・テイラー(デニス・オヘア)。地方都市で女装癖を隠しながら、普通のサラリーマンとして、夫・父親として、息が詰まる日々を送っていたある日、出張で泊まったこのホテルで伯爵夫人に出会い、救済されます。それにしても、慈愛に満ちた表情で見つめ「あなたの本来の姿、女神になるのよ」と彼にメイクを教え、「リズ・テイラー」という名前を与えたかと思うと、リズの女装を糾弾する同僚の喉を、眉ひとつ動かさず掻き切るガガ様、ステキ……。
ちょっと嬉しいのが、ホラーの名作「ミザリー」(1990年 スティーブン・キング原作/ロブ・ライナー監督)のキャシー・ベイツが、ホテルの使用人・アイリス役で出演していること。前作(シリーズ4)から続けての出演なのですが、サービス係なのにいつもおどおどしている陰気な老婆役で、ガガ様とはまた違った禍々しさを醸し出してくれているのがイイ感じです。伯爵夫人の恋人になった息子を追ってホテル・コルテスに入り込んだものの、自分もヴァンパイアになってしまい、途方に暮れている彼女ですが、後半での活躍に密かに期待してしまいます。
ホテルの住人のひとり、ロス市警殺人課の刑事・ジョン(ウェス・ベントリー)は、聖書の十戒をベースにした連続猟奇殺人事件の捜査で現場となった64号室を訪れます。妻で医師のアレックス(クロエ・セヴィニー)とは、誘拐された長男・ホールデンのことで溝ができてしまい避けるようにホテルに住むことに。アレックスはいなくなったはずの息子・ホールデンをホテル・コルテスで発見、伯爵夫人を「ママ」と呼び棺に自ら入っていく姿を見て、自らもヴァンパイアとして生きる道を選びます。美しい伯爵夫人の血を飲んで……。ただ、そのせいでホテルの外にまでヴァンパイアが拡散してしまうことになるのですが。
ホテル・コルテスでファッションショーを開いたことをきっかけに、ホテルを買い取ったデザイナーでゲイでシングルファーザーのドレイク(シャイアン・ジャクソン)。彼が虜になったのはホテルだけではなく、ミステリアスな伯爵夫人も、なのでした。美意識が高過ぎる者同士、伯爵夫人とは体の相性もピッタリですが、結果的にまた犠牲者が出てしまいます。
ほかにもゲスト(?)として、33人を殺した「殺人ピエロ」ジョン・ゲイシー(のそっくりさん)や、「ミルウォーキーの食人鬼」ジェフリー・ダーマー(のそっくりさん)、13人を殺した「ナイト・ウォーカー」リチャート・ラミレス(のそっくりさん)などが登場してサービス満点の本作。伯爵夫人が33号室に隠している子供は? 連続猟奇殺人事件の犯人は? など、まだまだ謎がいっぱいですが、「証拠を隠すためだけに建てられたホテル」という、創業者ミスター・マーチ(エヴァン・ピータース)の言葉にヒントが隠されているような気がするのですが、さて……!?
「アメリカン・ホラー・ストーリー:ホテル」
FOXチャンネルにて9月15日(木)放送スタート 毎週火曜~金曜 深夜0時 ほか
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