エンタメ
2016/8/28 20:00

【8月31日放送】リオに負けない感動に出会える――“鳥人間コンテスト”制作プロデューサーが語る、飛ぶことのロマンとは?【前編】

お手製の人力飛行機で飛行距離やタイムを競う番組、「鳥人間コンテスト」。テレビで大会の様子を一度見たことがある、という方もいるでしょう。この番組、なんと40年間にわたって、空を飛ぶことのロマンを発信し続けている長寿番組なのです。

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最近では、「鳥人間コンテスト」を題材にした映画で、女優の土屋太凰さんが主演する「トリガール!」の公開が決定(公開は2017年予定)するなど、番組にまつわる話題は尽きません。

 

今年も7月30日・31日に琵琶湖の松原水泳場にて第39回大会が行われ、その模様が「Iwataniスペシャル 鳥人間コンテスト2016」として8月31日に放映されます! そこでGetNavi編集部は番組の制作を統括する、読売テレビチーフプロデューサーの太田 匡隆さんを直撃。1999年より「鳥人間コンテスト」の番組制作に参加されている太田さんに、番組制作の裏側や印象的だったエピソード、そして、今年度の大会のみどころについてたっぷり語ってもらいました!

 

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太田 匡隆(おおた まさたか)

讀賣テレビ放送株式会社 制作局 チーフプロデューサー。1992年に同社に入社後、「あさパラ! 」「上方お笑い大賞」などの番組制作を経て、99年より「鳥人間コンテスト」の制作に参加。2006 年より現職。他の制作担当番組には「グッと!地球便」「土曜はダメよ!」「ベストヒット歌謡祭」「旅ぷら」などがある。

 

そもそも、鳥人間コンテストって何?

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1977年、視聴者参加型スポーツバラエティ番組「びっくり日本新記録」のなかの一つの競技としてスタート。お手製の人力飛行機にパイロットが乗り込み、高さ10mの離陸台より飛び立って飛行距離を競います。

 

当初はハンググライダー型の滑空機が主流で、飛行距離も100mに届きませんでした。しかし、人力プロペラ飛行機が登場し、現在は40kmの飛行を目指すチームも存在するようになりました。2006年(第30回大会)より、飛行距離を競う滑空機部門、人力プロペラ機ディスタンス部門、特定の経路を飛んでタイムを競う、人力プロペラ機タイムトライアル部門の計3部門で競技が行われています。

 

“鳥人間”の熱量に圧倒! その感動はオリンピックに匹敵!?

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ーー本日はよろしくお願いします。まず最初に、太田さんが考える「鳥人間コンテスト(以下、鳥コン)」の魅力はどこにあるのでしょう?

太田さん(以下、太田) 大会の魅力は、とにかく参加者の「熱量」が高いこと。素人さんが参加する形式の番組は色々ありますが、これだけ参加者の思い入れが高い番組はほかにありません。大学を留年してしまったという学生や、会社を辞めて大会に臨む人がいるくらいで……(笑)。これだけ思い入れが強いからこそ、予想しない笑いや、涙や、感動が生まれるんです。特にパイロットの姿は印象的ですよね。選手生命とか考えず、その一瞬にすべてを懸けているので、オリンピックにも負けないシーンが撮れることだってあると思いますよ。

 

ーー特に印象に残っている出来事やチームはありますか?

太田 はじめてディレクターとして参加した、1999年-2000年(第23-24回大会)に出場していた、東京工業大学のMeisterというチームが忘れられないですね。当時、スポーツキャスターの荻原次晴さんがチームのパイロットとして参加されていたんですが、最初の出場のときは惨敗(44.08m)。満を持してリベンジに挑むのですが、大会直前に飛行機の翼の部分が壊れてしまって……。誰もがもう出場は無理だなって思うなか、なんと学生たちの頑張りで機体を修復して出場。そして好記録(380.54mで4位入賞)を出してきたんです。はじめて「鳥コン」の制作に参加した、という要因もありますが、「不可能を可能にすること」、これが鳥人間の底力なんだ、スゴさなんだ、と実感できた体験でした。いまでも鮮明に記憶しています。

 

↑高さ10mの離陸台(プラットホーム)。ここから鳥人間たちは大空に飛び立つ
↑高さ10mの離陸台(プラットホーム)。ここから鳥人間たちは大空に飛び立つ

 

これって飛ぶの? 参加者の発想力にもビックリ!

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↑2016年(第39回大会)に出場した九州大学鳥人間チームの機体。“左右非対称機”という特殊な機体設計で空に挑む

 

ーー「鳥コン」では、毎年30~40機ほどのチームが参加しますが、忘れられないようなインパクトのある機体・飛行機はありますか?

太田  2001~03年(第25-27回大会)にて実施されていた、「人力ヘリコプター部門」の機体は忘れられないです。滞空時間を競うのですが、ノウハウが確立されていない部門だったのでどの機体もとにかく奇抜で。多様な形の機体がエントリーしていて毎年ワクワクしていたのを覚えています。「鳥コン」の黎明期もそうでしたが、「これが飛ぶの!?」っていう、びっくりしたアプローチで飛ぶチームがでてくるといまでも嬉しいですね。

 

ーー近年は各チームとも技術が洗練されてきて、記録の勝負がクローズアップされる部分が多いように思いますが……。

太田  記録を出すことはもちろん素晴らしいですが、こだわりの形で飛んでみたいというチャレンジもどんどんしてもらいたいと個人的には思います。プロペラ機の場合はダイダロス型(※1)の形状に近いものが多くなってしまいますが、プロペラが2つある双発機とか、2人乗り機とか、もっと“飛び方”にこだわるチームがでてきてほしいなと。「鳥コン」はルールを極力少なくしようと努力しているのですが、それは参加者のみなさんの発想力に期待しているから。本当に参加者のみなさんはよく勉強されているので、力のあるチームにこそ、こだわりの飛び方を研究して、新しいチャレンジを見せてほしいですね。

※1)ダイダロス型とは、1988年にマサチューセッツ工科大学が開発した人力飛行機の名称。人力飛行機の飛行距離・滞空時間の世界記録を保有する機体だ。
↑2016年(第39回大会)に出場した筑波大学 つくば鳥人間の会の機体。この機体をはじめ、多くのプロペラ機が“ダイダロス型”をベースとした設計を採用し、参加している
↑2016年(第39回大会)に出場した筑波大学 つくば鳥人間の会の機体。この機体をはじめ、多くのプロペラ機が“ダイダロス型”をベースとした設計を採用し、参加している

 

後編では、「鳥人間コンテスト」の番組制作の裏側に迫ります! 「Iwataniスペシャル 鳥人間コンテスト2016」は、読売テレビ・日本テレビ系全国ネットにて、8月31日(水)19:00より放送。

 

【URL】

鳥人間コンテスト http://www.ytv.co.jp/birdman/