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2021/8/13 10:45

フィロソフィーのダンス・十束おとはの「家族」で「毎日磨いて語りかける」自作PCへの深すぎる愛!

「オフの日は1日12時間くらいパソコンの前に座っています。一度ゲームを始めると、ごはんを食べることも忘れちゃうんですよね」そう語るのはゲームが好きすぎて、自作PCの沼にハマってしまった十束おとはさん(フィロソフィーのダンス)。アイドルであると同時にガジェット女子でもある「おとはす」の特異なこだわりとは? 自分でパソコンを組むことのメリットと生活の変化について前のめりで語ってくれた。

(撮影・構成:丸山剛史/執筆:小野田衛)

 

■十束おとは(とつか・おとは)◎8月9日、神奈川県生まれ。2015年に結成されたアイドルグループ「フィロソフィーのダンス」のメンバー。趣味はコスプレとゲームで、4代目ファミ通ゲーマーズエンジェルに就任するほどのガチ勢。グループ自体もアーバンでファンキーなサウンドで人気急上昇している

 

2ちゃんねるにも書き込むデジタルネイティブ世代

──自作PC女子のトップランナーとして名高い十束さんですが、まずは今までのパソコン遍歴からお伺いします。最初に触ったマシンが何だったかは覚えています?

 

十束 う~ん、機種名まではわからないなぁ。でも、小さいころから家にはパソコンが置いてあったのは確かです。デジタル・ネイティブ世代って言うんですかね。小学校でもパソコンの授業があったし、インターネットを使ってよく調べものをしていました。なので最初は「パソコン=何かを調べるときに使う機械」という認識。ところが、中学に入ったくらいから私がオタクになったんですよ。

 

──そこでパソコンとの向き合い方が変わった?

 

十束 そう思います。思春期のとき、2ちゃんねる(現・5ちゃんねる)やニコニコ動画を見るようになったんです。それからは家に帰ったら速攻でパソコンの前にへばりつくような生活になりまして(笑)。すべてが新鮮だったし、自分がスレに参加できるということも楽しくて……。

 

──えっ、書き込んでもいたんですか!?

 

十束 はい、たまに(笑)。でも、当時は自分の好きなアニメ作品を熱く語り合える場所があることが貴重だったんですよ。「ここには自分の仲間がいる!」と感激しました。私は学校で友達があまりできなかったんですけど、2ちゃんのスレだったら馴染むことができましたし。今思うとだけど、2ちゃんもまだ牧歌的ではあったと思うんですよね。少なくても私が見ていた板に関しては。

 

──たしかに昔は2ちゃんねるに限らずBBS文化が花盛りでしたよね。

 

十束 そうですね。思春期にオタクになったことによって、パソコンは「会ったことがない人とも繋がることができる魔法の機械だ」と思うようになりました。実際、掲示板がきっかけで好きなアニメのイベントへ一緒に行ってくれるお姉さんと知り合えたりもしたんです。私がネットに救われていたことは親もきちんと理解してくれていて、携帯だけではなくPCも買ってくれました。あのときに怒らず見守ってくれた親には今でも感謝しています。

 

──そのころからPCゲームもガッツリと?

 

十束 いや、中高のころはまだでしたね。というのも、当時はまだPCゲームがそこまでメジャーな存在ではなかったんですよ。私は「メイプルストーリー」しか触っていませんでした。特に高いスペックが必要なゲームではなかったので、毎日パソコンは使っていたけど、性能にも特にこだわりはなかったんです。転機となったのは大学受験のタイミングで、ゲームセンターで格闘ゲームに出会ったことだと思います。「他の人とゲームで対戦する」という楽しさにそこで目覚めました。パソコンのオンラインゲームに傾倒していったのは、その流れの延長線上ということになります。

 

──時代的にもゲームの消費のされ方が変わりつつありました。

 

十束 そうですね。「eスポーツ」という言葉とともに、様々なオンラインゲームが世に出てくるようになりました。そしてPCゲームを本格的に遊ぶために高いスペックのマシンが欲しくなり、いろいろ試行錯誤しているうちに今の私になっちゃった……という感じです(笑)。

 

 

自作機は家族も同然

──ゲームが好きなのはわかるんですけど、家庭用ゲーム機では満足できなかったんですか? ゲームのためだけに高いPCを買うのって躊躇しそうなものですが。

 

十束 単純に当時はPCでしかできないゲームに面白そうな作品が多かったんですよ。私は「PUBG」がPCゲームのきっかけで、その後、「LoL(リーグ・オブ・レジェンド)」にハマっていくんですけど、あのころはまだ「PUBG Mobile」もリリースされていなかったので遊ぶにはPCを買うしかなかったんです。

 

──LoLだったら、さほど高いスペックは要求されないのでは?

 

十束 一般的にはそう言われています。でもやっぱりスペックがある程度高い方が快適にプレイできるんです。当時の私は、どんなゲームでも快適にできるPCが欲しくて「だったら自分で作るか」という発想になりました。

 

──そこがすごいですよね、ゲームのためなら妥協しない姿勢が。高価なパソコンを購入するのではなく、なぜ自作にこだわったんですか?

 

十束 お店で買ってきたパソコンだと、壊れたときは修理に出さないといけませんよね。その間、パソコンに触れなくなる時間ができるのが嫌だったんです。休んでいる間にゲームの腕が落ちてしまいそうで……(笑)。自分で組み立てたパソコンだったら自分で修理もできるだろうから、そのあたりのストレスも感じないで済むかと思ったんです。何も知らない状態で作り始めたから苦労もありましたが、今思うとその苦労も楽しかったな。

 

──最初はどのへんで苦労しました?

 

十束 そもそもパソコンの基本的な構造を理解していないと、何を買っていいのかもわからないんです。よく焼肉屋さんに、牛のイラストで「ハラミ」「レバー」「タン」など部位の解説が書かれているやつがあるじゃないですか。ああいう感じで「マザーボード」「CPU」「ファン」などそれぞれの役割を知っておく必要があるんです。店員さんに尋ねようにも、名称を知らないと質問すらできないですし。

 

──たしかにそうかもしれない。自作PCに興味があっても、「何から始めればいいのかがわからない」という人は多いはずです。

 

十束 PCパーツが家に届いても、何をどう組めばいいか最初はまったくわからなかったですね。メモリを挿すときに失敗して、メモリを壊してしまったこともありました。途方に暮れかけていたんですけど、Twitterで「こうすればいいんだよ」とファンのみんながアドバイスをくれまして、なんとか最後まで完成させることができました。

 

──ズバリ、自分でPCを作ることのメリットは?

 

十束 一番は愛着が湧くということ。もう本当に家族と同じですよ。PCは家族の一員です。あとはコスパの面。PCの構造を把握できていれば、どこかの調子が悪かったときも、その該当箇所だけを自分で修理すればいいということになるんです。つまり、全体を買い替えなくて済むんですね。日割り計算したら、自作PCはとてもお得だと思いますよ。

 

──そこは非常に重要なポイントです。

 

十束 自分でPCを組んでから4年が経ちますが、その間はメモリを増設したくらいで、他は何もいじっていないんです。3年から5年くらいでPCを買い替える方が多いと思うのですが、私のPCはまだまだ全然元気です。処理能力もまったく問題ないです。

 

──使用頻度や使用目的によるのかもしれませんが、パソコンって購入してから3年くらい経つと処理が重くなる気がするんですよね。

 

十束 今のところ、そういった問題は一切ないです。私の場合はゲームが主な使用目的なので、処理スピードが遅くて画面がカクカクするようでは勝負にならないんですよ。なので組むときは『ドスパラ』さん(秋葉原に本店があるカスタマイズ系パソコン専門ショップ)で店員さんに相談しました。「私は、こういうゲームがやりたい。そのためには、このくらいのスペックが必要だと思うのですがお薦めのパーツはありますか?」といった感じで。結果、トータル20万円くらいで組むことができました。

 

──それと同じスペックのPCを市販品で買う場合、どれくらい値段がするんですか?

 

十束 まったく同じ商品はこの世に存在しないので、そこは何とも言えない部分ではあります。しかしハイスペックなゲーミングPCということで考えてみると、通常のPCよりだいぶ値がが張ってしまうので、やっぱり自作のほうがお得なのかなと思っています。

 

──ゲーミング用のPCは40万円とかザラにしますからね。ただ一方で、パソコンはネットを見ることとワードやエクセルだけ動かせれば十分という考えの人もいるはずです。

 

十束 もちろんその考え方はまったく否定しません。しかし、せっかくPCがあるならいろいろできたほうが便利かなと思います。たとえば私の場合はゲームに特化したPCを組みましたが、最近は動画編集する機会もあり、そこでもかなり役立っています。動画や画像、それに音源などを扱うとなると、ある程度のスペックがあるほうが快適にお仕事できるので昔の自分に感謝です。

 

──なるほど。パソコンは毎日のように使う人も多いでしょうから、ストレスなく動かせるメリットは大きいかもしれませんね。

 

十束 とはいえ使用目的によって構成が変わってくるので、ある程度ネットなどで知識を入れたら店員さんに相談することをお薦めします。店員さんはその道のプロじゃないですか。説明もすごくわかりやすいし、とても親身に相談に乗ってくれて、私もだいぶ助けていただきました。「パソコンを作るなんてすごいね」って言われることも多いですが、自分1人だけでは不可能だったと思います。店員さんのサポートがなかったら厳しいですよね。

 

 

自作機には毎日磨いて、話しかけている

──実際に店に出向くことが求められるとしたら、自作PCは地方組には障壁が高い?

 

十束 いや、そんなこともないですよ。今はリモートアクセスを使って教えてくれるサービスや、パーツさえ選べばお店側が組み立てて発送してくれるところもあります。自作PCを取り巻く環境は年々よくなっていると感じますね。PCに関する知識がさほどなくても、そのようなサービスを活用すれば問題なく組めると思いますよ。

 

──自作PCのカジュアル化が進んでいるわけですね。

 

十束 特にコロナ禍に入ってからは、在宅勤務やリモートで会議する機会が多くなっていると思います。仕事の効率を上げるために、PCや周辺機器の性能にこだわる方が増えていると聞きました。それに加えてSNSの「映え」文化がキラキラ光る自作PCを後押ししている部分もあるのかなと思うので、今はガジェット業界全体が盛り上がっているいい時期では、と思っています。

 

──先ほど「PCは家族と同じ」とおっしゃっていましたが、自作したPCに名前はつけないんですか?

 

十束 名前をつけてしまったら、壊れたときに本当に悲しくなってしまいそうで……。なにしろ毎日磨いてあげていますし、気づいたら話しかけているレベルですから(笑)。

 

──Twitterの固定ツイートにあるマシンが、その自作した可愛い子ですか?

 

十束 いや、あれは「初号機ちゃん」とは別の「アイドルちゃん」です。この呼び方は名前ではなくて暫定上のものですが(笑)。あの子は「世界一可愛いパソコンを作ろう!」というコンセプトのもと、『ドスパラ』さんとコラボして完成させたんです。このデスクトップ2台が現在の私の所有PCということになります。

↑初号機ちゃん

 

↑アイドルちゃん

 

──「可愛くデコレーションする」というのは女性ならではの視点かもしれませんね。

 

十束 女性というよりは、ゲーマーとしての血じゃないかな。ゲーマーって光らせることがとにかく大好きなイメージがあります。ゲーセンで光る筐体の雰囲気を家でも求めちゃうんでしょうね。

 

──思想的にはデコトラと近いんですかね。

 

十束 否定はしません(笑)。ヤン車にも近いものは感じますね。私もアイドルちゃんだけじゃなく、初号機ちゃんもキラキラ光らせていますし。最初はPC本体の四隅をLEDで光らせていたんですけど、これじゃ地味だなと途中で反省して、ファンやメモリも光らせるようになりました。

 

──十束さんの自作PCライフにおいて、今後のビジョンはありますか?

 

十束 ゆくゆくはゲーミング部屋を作りたいと考えているんですよ。そのときは部屋全体をピカピカ光らせたいんです。家でも楽しいゲーセン気分を味わえたら最高ですよね。より良い環境でゲームをやるためには、PCだけでなく部屋全体も整えたいなという発想に行きついてしまいました。どうせならQOL(クオリティ・オブ・ライフ)爆上がりの中でプレイしたいですから。

 

──そこまで行くと、もはやパソコンだけの話じゃなくなってきますね。

 

十束 パソコンに絞って言うなら、ノートパソコンも作ってみたいですね。というのも私が熱心に自作PCの素晴らしさを説いていると、「でも持ち運びできないんでしょ?」って言われることがすごく多くて。それが悔しいんです(笑)。あまりやっている方を見たことがないのですがいつかは挑戦してみたいです!

 

十束おとはのPCスペック

【CPU】Core i7 7700K BOX

【CPUファン】SCBYK-1000I(白虎)

【マザーボード】Z270 Extreme4(ASRock)

【グラフィックボード】GTX1070-O8G(Palit)

【SSD】Ultimate SU800 512GB(ADATA)

【メモリ】Premier DDR4 8GB×2(ADATA)

【光学ドライブ】DRW-24D5MT(ASUS)

【電源】ERX650AWT(ENERMAX)

【ケース】FOCUS G(fractaLdesign)
〜組み立てるときは店員さんに相談しながらパーツを決めていったから、基本的な部分は私のこだわりというよりもアドバイスに従った結果なんです。その道のプロが選んだだけあって、使い勝手は申し分ないですね。パーツとパーツの相性とかもあるので、店員さんに相談するに越したことはないですよ。

【LEDライト】RGB350
〜最初は本体のケースを光らせるだけでしたが、気づいたらどんどんエスカレートしていきましたね。やっぱりゲーマーはキラキラ光らせることに異常なこだわりがあるので(笑)。

【モニター】XL2411(BenQ)
〜モニターは複数ではなく1台だけ接続しています。カーブがついているタイプのモニターを試したこともあるんですけど、結局、この平面タイプのモニターが自分には合っていましたね。

【キーボード】G913-TKL-LNBK(Logicool)

飛行機でも使われるアルミ素材なので、とにかく頑丈で壊れないんです。キーボードで一番大事なのは軸(押し心地)だと思うんですよ。ゲームのパフォーマンスに大きく影響してきますからね。個人的には浅くて軽いタッチのキーボードが好きで、このG913にたどり着きました。もちろんこのキーボードもキラキラ光ります。光り方は何十種類もあるから、気分が上がりますよね。

【ヘッドフォン】RZ04-02980100-R3M1(Razer)

ご覧の通り、可愛い猫耳デザインが最大の特徴になっています。メーカーが出している専用のアプリをインストールすると、光る色を自分の好きなものに変えることができるんです。ゲームの世界観に合わせたカラーにすることも可能だから、テンションが自然に上がってきますよね。そもそもゲーマーにとってヘッドフォンというのは非常に重要。こだわっておきたいポイントではあるんです。敵の位置を正確に把握するためには、スピーカーだと厳しいですから。

【ウェブカメラ】C922n(Logicool)

私は配信するときのためにこれを買ったんですけど、フィロソフィーのダンス動画班のスタッフさんも同じものを使っていたんですよね。つまりプロの目から見ても信用できる商品ということだと思います。スタッフさんとリモートで打ち合わせするときも「おとはすは画像も綺麗だし、声も聞き取りやすいよね」って褒められることが多いんです。コロナ禍でリモート会議も増えているでしょうから、社会人の方にもお薦めです。

【マウス】Logicool「G502」

すでに3年くらい使っていますかね。「マウスなんて何を使っても同じ」と考えている人は多いんですけど、ゲーマーにとっては勝負の分かれ道になる部分。指の長さや手のカーブは人によって違うわけだから、ちゃんと自分に合ったものを探すべきなんですよね。クリックするときの感触やスライドするときの滑らかさも商品ごとに癖があるので、購入前にお店で触ったほうがいいんじゃないかな。ゲームのときはマウスのサイドボタンもよく使うのですが、G502はサイドボタンがたくさん備わっているのもポイント高いです。