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2022/2/5 19:00

バイきんぐ・小峠『革ジャン愛』を叫ぶ。「レザージャケットは“追い込み”が肝心です」 究極すぎる着こなし方とは!?

その奥深さから多くの愛好家が存在する「レザージャケット」いわゆる「革ジャン」。今回は、芸能界一の『革ジャンマニア』と言っても過言ではない、お笑いコンビ・バイきんぐの小峠英二氏が登場。特に、イギリス発祥のレザーブランド『ルイスレザー』がお気に入りという小峠氏に、その熱い“革ジャン愛”について語ってもらった。

(構成・撮影:丸山剛史/執筆:kitsune)

 

キングオブコント優勝後、最初に買ったのが革ジャン〟
「昔は、試着だけして帰ってたんで(笑)」

――まずは、小峠さんの革ジャンとの出会いを教えてください。

 

小峠 初めて買ったのは高校1年生の時だったかな。お年玉とバイト代を握りしめて福岡の地元から博多まで出て行って、5万円のジャケットを買ったんです。そのころからパンクだ、ロックだ聞きまくっていたので、好きなミュージシャンたちが着ているような革ジャンを自分も欲しいと思っていたんですよね。

 

――高校1年生で5万円はかなりの大金ですよね。どちらのブランドの革ジャンを購入したんですか?

 

小峠 ハーレー(ダビッドソン)のシングルタイプのライダースでした。それを相当長い間着ていましたね。なんなら、芸人になってからも、その1着だけしか持っていなかったんですよ。

 

――大切にされていたんですね。その後、2着目を買ったタイミングはいつごろなんでしょう?

 

小峠 2012年に『キングオブコント』で優勝してからです。当時36歳で、お金が入るようになって、すぐ買いに行きましたよ。それがルイスレザーの革ジャンでした。テレビに出始めてから、やっと買い集められるようになって。

 

――現在ではルイスレザーのジャケットを多数愛用されているとお聞きしました。そこからコレクションを始めたんですね。

 

小峠 そうですね。昔からずっと欲しいなと思っていた革ジャンが、ルイスレザーだったので。20代後半くらいの時なんですが、ルイスレザーの置いてあるショップに後輩と2人で行って、何着も試着だけして帰ってきたこともありましたね。店員さんが「どうですか?」と声をかけてくれて、それに対して「ん~考えます」とか返事するんですけど、財布の中には3000円くらいしか入ってないわけで(笑)。そのころは当然買えなかった。それで、いつか欲しいな、と考えていたんです。

 

――ルイスレザーを知ったきっかけは、あるんでしょうか?

 

小峠 20代前半の大阪時代に、バイト先に音楽が好きな子がいたんです。その子が古着でルイスレザーを買ったらしく、それがかっこよくて。その後、20代後半になって付き合っていた彼女が、たまたまルイスレザーを着ていたんですよ。そこで「あ、あの時の!」となって、これは欲しい!という気持ちが湧いてきました。

 

――再会を果たしたということですね。

 

小峠 そうなんです。渋谷に『ROLL』というバイカーズアイテムを扱うショップがあるんですが、当時そこにルイスレザーが置いてあって。彼女はそこの店員さんと友達だったんですよね。そこから、ルイスレザーが独立して原宿にショップを立ち上げたんですが、その時の店員さんが店長として就任したんです。今でも、彼とは仲良くて革ジャン仲間であり、バイク仲間でもあるんですよ。

 

――そうだったんですね。ちなみに、いちばん最初に買ったのは、どんなモデルだったんですか?

 

小峠 モデルはスタンダードな「ライトニング」という型で、カラーはブルーでしたね。

 

―― 一着目からブルーだったんですね。かっこいいです! 今もそれは着ているんですか?

 

小峠 いや~それが、先輩にあげちゃったんですよね~。当時、今よりもワンサイズ小さいものを買ったんですが、そのうち身体が大きくなったのか、いつのまにかビタビタサイズになってしまったんですよ。それで、バイトやってたころの先輩にあげたんですけど……若干後悔してるんだよな~(笑)

 

――1着目ですから、思い入れなどもありそうです。

 

小峠 今でも仲の良い先輩で、一緒にツーリングに出かけるんですけど、ちゃんと着てくれてはいるんです。でも見るたびに、やっぱりあげなくても良かったかもな~って思っちゃう(笑)。しかも、それが今いい味出してるんですよ!

 

――10年ほど経過して、かなり馴染んできている時期ですね。

 

小峠 そうなんすよ~。なんなら、それが今は取り扱ってない牛の皮で仕立てられていて、もう手に入らない!

 

――おお、それはレアなモデル……!

 

小峠 うわぁ……話せば話すほど、あげなきゃよかったなって!(笑) まあでも、今さら返してくれって言うのも男らしくないんでね。先輩には大事に着てほしいですよ。

 

ビタッと着た方がいいと言われるけど……
「ジャストサイズで買うのが自分的にはベスト」

――オーダーする際のこだわりについてお聞きしたいです。まず、ルイスレザーの中でも、モデルのバリエーションがいくつかありますよね。気に入っているモデルはありますか?

↑携帯がちょうど入る胸ポケットが意外に重宝

 

↑小峠さんがライダースでお気に入りのポイント

 

小峠 いちばん持っているのが、今も着ている「サイクロン」という種類ですかね。さきほど話した定番の「ライトニング」やシングルタイプの「ドミネーター」なども、もちろん持ってはいるんですが、結局「サイクロン」に落ち着きます(笑)。バランスがよくて、気に入っていますね。ちなみに、全部合わせると、10着ちょっとくらい持っています。

 

↑小峠さんのコレクション

 

――すごい! しかも、カラーに関してもいろいろ着ていらっしゃる印象がありますが。

 

小峠 そうですね。ノーマルな黒ばかり持っててもな、と思ってね。でも、最近は着たい色のレパートリーがなくなってきてね(笑)。赤なんかは、60歳の還暦になったら買おうと思っていたんですけど、カラーに困って「ドミネーター」の赤を昨年ついに購入してしまった。なので、60になったらサイクロンの赤を買おうかな、とは思っていますね。

 

――買ったことないカラーもあるんですか?

 

小峠 持っていないのは白とかですかね。かっこいいとは思うんですけど、なかなか欲しいとまではいかなくて。今のところ、欲しいカラーについては、けっこう揃いました。

 

――さすがです! あと、ルイスレザーはカラーに加えて、革がいろいろ選べるのも特徴的ですよね。牛や馬、羊などの種類がありますが、着心地は違いますか?

 

小峠 全然違います。いちばん柔らかいのは、羊ですね。シープスキンが滑らかで動きやすい感じはあります。でも、しばらくすれば、どの革も馴染んで動きやすくなるんで、全然差は気にならないです。なので、革に関してはその時々で、いろいろ選んでいる感じです。

 

――サイズ選びについてはどうでしょう。わりとタイトめに着てらっしゃる印象があるのですが。

 

小峠 そうですね。ただ、ビタビタすぎるのもあんまり好きじゃなくて。ジャストサイズを選んでいます。中にはいるんですよ、もうちょっとビタッと着た方がいいって言ってくる人が(笑)

 

――たしかに、パンク系の方だとぴったりめに着る方もいますよね。

 

小峠 僕的には、ちょうどいい感じがいちばんカッコいいと思ってるんで。このサイズ感がベストです。

 

ボトムはゆるっとしたものをセレクト
「コテコテにならないようにね(笑)」

――続いて、小峠さんの革ジャンの着こなしのポイントや、合わせるアイテムのこだわりをお聞きできればと思います。

 

小峠 着こなしでいうと、基本的に前のジッパーは開けずに着ていますね。いつもキュッと閉めています。でも逆に、そこに合わせるボトムは、あまりタイトなものを選ばないようにしているんですよ。スキニーとか細めのタイプを履いちゃうと、あまりにもゴリゴリな感じになっちゃうというかね(笑)。

 

――かなりパンク寄りなスタイルになってしまうこともありそうです。

 

小峠 そうなんです。若けりゃいいんでしょうけどね。なので、僕はいつもゆるっとしたシルエットのボトムを合わせるようにしています。今日も履いているような、ボリューム感のあるパンツが多いです。

 

――上下でバランスを取ることで、日常に馴染むようなスタイルになると。

 

小峠 はい。あ、それでいうと、帽子もそうです。普段はキャスケットなんかを合わせることが多くて、ハットとかはかぶらないですね。それも、コテコテな雰囲気が出ちゃうんでね(笑)

 

――合わせるアイテム選びも重要なんですね。

 

野性爆弾・くっきーと鋲ジャン制作
「文句言いながらも、しっかり打ってくれてましたよ(笑)」

――小峠さんは、イギリスのルイスレザーの本店にも行ったことがあるとお聞きしました。

 

小峠 3年前にロンドンに旅行して、本店に行ったんですよ。日本でも売っているのですが、ボディの部分に模様が入っているデザインのものを1着買いましたね。いや~、あれは行って良かったな。興奮しましたね。

 

――それは良い思い出ですね!

 

小峠 現地に直接行って買うことに、ずっと憧れてましたから。それに、ロンドンはパンクの生まれた街なんで、一度は行ってみたいと思っていたのもあって。ルイスレザーだけでなく『ドクターマーチン』の本店に行ったり、老舗ライブハウスの『100 Club』でライブを見たりして。ここで『セックス・ピストルズ』や『ダムド』が演奏していたのかと思うと感動しましたね。落ち着いたら、また行きたいですよ。

 

――そうですよね。もう、本店の雰囲気まで実際に体験された小峠さんですが、今後楽しみにしていることや、新たに欲しいモデルとかはあるんですか?

 

小峠 今はちょうど予約しているモデルがあって、それが来るのを楽しみに待っているところです。スタッズアクセサリーで有名な『ウルフズヘッド』とルイスレザーのコラボで、どちらかというとウエスタンっぽい雰囲気のデザインでいいんですよね。短いフリンジがついていたり、ウルフズヘッド製のスタッズがついていたり。

 

――いいですね。装飾はもちろん、モデルとしても珍しい感じがします。

 

小峠 はい。今まであまりなかったデザインなので、新しいタイプを着られるのは楽しみですね。変わったデザインにも挑戦していきたいな、とは思っています。

 

――ちなみに昨年は、YouTubeで野性爆弾のくっきーさんと、ルイスレザーで鋲ジャン制作に挑戦されてましたよね。

 

小峠 そうなんですよ。カスタム欲とかはあまりなかったんですが、以前から鋲ジャンは欲しいなと思っていたんでね。どこかで良い鋲ジャンを見つけられたら……と思っていたんですが、結局この年齢まで出会うことができなくて。そしたら、くっきーさんが作ろうよって誘ってくれたんですよ。

 

――作ってみてどうでしたか?

 

小峠 いや~けっこう大変でしたね!6時間くらいはかかったんじゃなかな。でも、くっきーさんが、文句言いながらも、しっかり打ってくれて(笑)。やっぱり芸術肌ですから、妥協がない。おかげで、かっこいい鋲ジャンにしてもらいました。ありがたいっすね。

 

家でも革ジャンは脱がない”が鉄則
「革は買ったら
追い込む”!嫌でも毎日着るんですよ」

――もう小峠さんといえば、すっかり革ジャンのイメージが定着していますよね。

 

小峠 そう、よく言われるんですよ。街で声かけられるときも「革ジャンでわかりました!」って言われたりとか。そう考えると、革ジャンですぐバレちゃうの面倒くせーなって(笑)。でも、だからといって着ないのも違うよな……と思いつつ。

 

――皆さん、革ジャンで気づかれるんですね。革ジャンを着ていないタイミングは、あまりないんでしょうか?

 

小峠 僕ね、普段革ジャンを一切脱がないんですよ、どこでも。革ジャンは中でも外でも着ていて問題ないんでね。例えば、ダウンとかコートだとメシ食う時には必ず脱ぐと思うんですけど、革ジャンは脱がなくてもメシが食えるんですよ。なんなら、着脱せずになんでもイケる!それがラクだし、良いところなわけで。

 

――たしかに他のアウターと比べて、あまり邪魔にならないかもしれません。

 

小峠 そのまま全部の動作ができるんですよ。買ったばかりだと、もちろん硬いですが、一週間もすれば馴染んできちゃいますし。ずっと着ていられます。

 

――ちなみに周りの方から「脱がないの?」とか聞かれないんですか?

 

小峠 言われますよ。「脱がない」って言うと「なんで?」って聞かれるけど、そんなの、なんでもへったくれもないですよ。まず脱ぐっていう発想が、こっちにはないですから! あと、買ったばかりの革ジャンは、家でも着ています。寝る直前までね。

 

――ええ! それはすごいです。

 

小峠 まあそれは、なんでかっていうと、革を“追い込む”ためにやってるんですよね。

 

――お、追い込む……とは?

 

小峠 馴染ませる行為です。それを僕は“追い込む”と呼んでいるんですよ。

 

――おお、なるほど!(笑)

 

小峠 最初のうち、馴染ませるために何日も同じ革ジャンを着て過ごすんです。だけど、今日は着たくないなって日があるじゃないですか……。でもやっぱり、追い込むためには、そういう日も嫌でも着なきゃいけないんすよ。

 

――革ジャンとの戦いですね……。

 

小峠 そうなんです。しかも僕らの仕事だと、現場に行ったら衣装に着替えないといけないので、実質着ていられる時間が少ないんですよね。だから、家で着るしかない。それで、毎日着ようと必死になってると、知らず知らずのうちに、こっちが逆に革ジャンに追い込まれていたりね……。だけど、それでも着続けなければいけないんすよ。

 

――つまり、新しい革ジャンは、早めに馴染ませたほうがいいということですね。

 

小峠 はい。サラリーマンの方なんかは、週末しか着れないわけですから、家の中でも着て、追い込んだほうがいいですよ。そうしないと、いつまでも柔らかくならないですから。僕なんか、家でも着ていて、風呂入って、風呂あがりにまた着ていますね。たまに、何やってんだろうって頭によぎるんですけど、それは無視です(笑)

 

――ちなみに、革ジャンを愛好している方々は、みなさん‶追い込む〟行為を実行されてるんですか?

 

小峠 人によっていろんな‶追い込み方〟があるんですよ。さきほど話した、ルイスレーザーの店長は、昔はバイクで轢いてたらしいです。

 

――え? 新しい革ジャンを……!?

 

小峠 そうです。着ている革ジャンをバッて投げて、それを単車で轢くんですって。タイヤの跡がついて味が出るらしいんですよね(笑)。あとは、革ジャン着て風呂入る奴なんかもいて。追い込むためにはそれくらいしないといけないという。

 

――す、すごい……。奥が深いです。

 

小峠 いつか僕も革ジャン着たまま風呂に入ってみたいですね。面白そうなんで、そのうち挑戦しようと思っています(笑)。みなさんも革ジャン買ったら、追い込みから始めてほしいですね。

 

――“追い込む”ことが革ジャンを着こなす第一歩ですね。大変勉強になりました……!本日はありがとうございました。

 

 

【PROFILE】

小峠英二(ことうげ・えいじ)

1976年6月6日生まれ。福岡県出身。西村瑞樹とともに、お笑いコンビ・バイきんぐを1996年5月結成。ソニー・ミュージック・アーティスト所属。2012年『キングオブコント』優勝。

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