エンタメ
2022/3/23 18:00

「全部無い。もういい?」実はシュプリーム愛に溢れていた宮戸フィルム(おミュータンツ)

老若男女を問わずに世界中で絶大なファンを獲得しているカリスマ的ストリートブランド「シュプリーム(Supreme)」。今回は、そのシュプリームショップスタッフのモノマネやあるあるネタ、もしもシリーズなどのYouTube動画で人気急上昇中のお笑いコンビ・おミュータンツの宮戸フィルムさんが登場。彼のシュプリームに対する熱い思いや愛、そして動画を制作するきっかけなどを聞いてみた。

 

友人から「俺らは買わせて頂いているんだよ」って言われました(笑)

――もともとファッションは好きだったのですか?

 

宮戸 はい、芸人になる前の大学生の頃から大好きで、たくさん買っていましたね、クレジットカードが止まるくらい(笑)。その当時は、ブランドでいうと「コム・デ・ギャルソン」や「サスクワァッチファブリックス」が大好きで、そこに「ディッキーズ」のパンツなどを合わせるコーディネートを好んでいました。もちろん「シュプリーム」も知ってはいましたけど、今みたいに熱中するほどではありませんでした。

 

――シュプリームを好きになったきっかけは何だったのですか?

 

宮戸 現在はおミュータンツというお笑いコンビを組んでいるのですが、その前に組んでいたコンビ時代は、渋谷や原宿あたりでネタ作っては洋服を漁りに行ってという日々を送っていました。シュプリームに関しては、ボックスロゴが人気だったり、人気商品が出る時には行列ができたり、転売されていたりという話はよく聞いていました。

 

そしたらある時、別の芸人から「一緒にシュプリーム並ぼうぜ」って誘われたんですよ。そう、2015年頃に「ザ・ノース・フェイス」とのコラボレーションモデルが発売された時です。まずは事前抽選に当たって、一晩中、雨の中で店頭からできた行列に並びました。その体験がシュプリームにどハマりするきっかけになったと思います。

 

――行列に並ぶ際のマナーなどはあるのでしょうか?

 

宮戸 僕もその時が初めてだったので、一緒に並んでいた知り合いがいろいろと教えてくれましたね。無駄話をしちゃいけない、その辺りでタバコを吸ったらセキュリティにブチギレられるとか。それはマナーとして、当たり前ですけど(笑)。

 

――シュプリームのショップに並んだことで、ブランドに対する見方が変わったと。

 

宮戸 はい、そうですね。雨が降って寒いなかオープン時間まで並んで、やっと入店出来た時の、店員さんのあまりにもな塩対応で、強烈なカルチャーショックを受けました。あれだけの寒さを乗り越えて、死にそうな思いをして、店内に入ったらスタッフさんに「どれ? 何?」って言われて「あ、あの〜」って言ったら「あの〜、じゃ分かんね」、って。

 

そして僕が「マウンテンパーカのMサイズありますか?」って聞いたらスタッフさんに「M無い」って言われたんですよね(笑)。だから僕は「Lサイズを下さい」って言ったら、マウンテンパーカのLサイズを渡されて「もういい?」って言われました。

 

その時に“この接客というか、塩対応というか、とにかくスゴいな〜”と感銘を受けました(笑)。そしたら一緒に並んだ知り合いから「これが良いんだよ。俺らは買わせて頂いているんだよ」って言われました。“普通の服屋じゃ無い、これは面白いな〜”って、感動すら覚えましたね。

 

――並ぶって、大変ですけど、重要ですね。

 

宮戸 僕の場合、WEB通販では欲しいアイテムは買えないと思っています、人気アイテムは数秒で即完売ですからね。だから僕は現場主義。当日整理券もらって、気合いで何時間も並んで買う。このセットが僕の休日の遊び方でしたね。一回で30時間以上並んだこともありますよ(笑)。

 

「大好きな週刊マンガ雑誌を追っかけている感覚ですね(笑)」

――シュプリームのアイテムのデザインでハマっている点はありますか?

 

宮戸 シュプリームのコラボレーションやデザインのモチーフになっている物って、結構映画とかが多いんですよね。しかもめちゃくちゃマニアックだったり。“これ昔観た事ある、何だっけ?”とか。オタクカルチャーも入っているブランドという部分に惹かれますね。

 

――意外にキレイ目なアイテムも展開していますよね。

 

宮戸 スケーターの方たちって、スケートボードのためにボロボロになるまで洋服を消耗させるというイメージでしたが、シュープリームのスタイルはそうでは無い。コーディネートをスタイリッシュに決めた上でスケートボードに乗る。そんなカルチャーがあることも、シュプリームで知りました。それでますます好きになりましたね。

 

――今でもシュプリームのお店にマメに通っているとお聞きしました。

 

宮戸 はい、もちろん通っています。シュプリームは基本、毎週週末に新作が発売されるのですが、直前にならないとどんなアイテムが発売されるかは分かりません。さらにコラボレーションモデルも毎シーズン登場する。僕にとってはまるで、大好きな週刊マンガ雑誌を追っかけている感覚ですね(笑)。

 

そしてショップに行ったら行ったで、店員さんに塩対応かまされて、さらにハマっていく(笑)。でも塩対応というのは、僕がシュプリームにハマり始めた数年前のことの話で、今では店員さんの塩対応も無くなりましたよね(笑)。

 

――逆に、それが寂しいのでは?

 

宮戸 たしかに。接客が良くなったのは良いことなんですけれどね。以前はお会計の時にステッカーもたまにしか入れてもらえず、入っていた時はメチャクチャ嬉しかった! まるで惚れ込んだ恋人に振り回されているような気分ですよ(笑)。

 

シュプリームのビーニを被ったら閲覧数が一気に伸びました

――YouTubeでシュプリーム店員のネタをやり始めたのはいつ頃ですか?

 

宮戸 元々は、お笑いライブの一発芸コーナーみたいなのがあって、そこで入店時のリアクションをユニクロの場合、シュプリームの場合、って感じで披露していたんです。そしたら、シュプリーム店員が絶対と言っていいほど毎回ウケていたんですよね、スベッた事なかったんですよ。

 

――それでYouTubeでも披露するようになっていったのですね。

 

宮戸 最初はライブで披露するだけで、ほかの方法では特に何もすることは無かったのですが、2020年にコロナ禍が始まってしまい、ライブが一斉に中止になり、ステイホームになったんです。そしたら吉本興業で、家で出来る芸をYouTubeで公開して順位を決める「家-1 グランプリ」という企画が立ち上がりました。

 

それに僕も参加して、当初は髭を伸ばして、感染防止対策でライブが全部無くなったことで暇になったことをネタにアピールしたりしていました。さらにヘアスタイルをモヒカンにしたり、タトゥーシールを顔や体に貼っていかつい感じでバイカーズっぽく変身したり。でも全然バズりませんでしたね(笑)。

 

そしてたまたま手元にあったシュプリームのビーニーを被ってみたら、自分的に“シュプリームの店員みたいだな”って思ったんですよ。それで以前から行っていたシュプリーム店員モノマネをやってみたら、メチャメチャ閲覧数が伸び始めて、今に至りますね。

 

――実際にシュプリームのショップに長年通っている人が見たら、すごく分かりますね。

 

宮戸 やり始めの頃は、僕の動画の批判もあるのかな、と思っていたのですが、それが全然無い(笑)。むしろ“分かる分かる”って言ってくれる方がほとんどでしたね。

 

――以前は自前のスニーカーを解説したり、“裏原”のヒストリーを解説する動画もありましたよね。

 

宮戸 はい。でも僕は年齢的に、“裏原”カルチャー全盛の時代を通ってはいないんですよね。その時代にカルチャーのど真ん中にいた方が語るのとは、重みと言うか説得力が全然違います。もしタイムマシーンがあったら、90年代後半などにタイムスリップしてみたいですよ(笑)。だから今ではほとんどそういった動画は作っていません。それだったら、お笑いとファッションの融合って他の芸人もやっていなかったので、じゃあそっちに力を入れようって思いましたね。

 

――初期の動画だとモノマネが多いですが、今ではネタのバリエーションが豊富ですね。

 

宮戸 最初はシュプリーム店員あるあるから始まって、今では「もしも元シュプリーム店員が銀行員だったら」って感じの、もしもシリーズが多いですね(笑)。シュプリーム店員1000本ノック中で(笑)、どこまで行けるのかチャレンジしています。

 

――まさにネタのアウトプット中って感じですね。

 

宮戸 そうですね。今まで自分が見たり聞いたり、経験して得てきた引き出しを、シュプリーム店員でガンガンアウトプットしている真っ最中です。ほかにもお笑いネタを作らないといけないのに、大丈夫かな?(笑)。

 

「近いうちにショートムービーを撮影してみたいですね」

――初期の動画だと、いかにも自宅で撮影した感がありますが、ここ最近は背景の合成とか手が込んできましたね!

 

宮戸 はい。最初は動画合成で背景を切り抜くために、百均で買ったブルーシートをバックに垂らすシートとして使っていたのですが、やはり抜けがあまり良くなくて。それで2021年の夏頃には東急ハンズでグリーンのクロマキーを購入して、しっかりと合成しています。僕は元々、大学も映画学科を卒業しているので、映像制作をしてみたかったんですよね。

 

――映像とお笑い、ファッションと好きなモノが3つ揃った、とても良い環境なのでは?

 

宮戸 たしかに今までやってきたことで助かっていますね。とりあえずは今、YouTubeを頑張って資金を貯めて、ゆくゆくは映画を一本撮りたいと思っています、まずはショートフィルムから。芸名にもフィルムって付けちゃっていますからね(笑)。

 

――それは面白そう! 個人的には、シュプリームオープン前の行列のドキュメンタリーとか観てみたいですね!

 

宮戸 実際に並んでいると「全身シュプリームおじさん」とかいっぱいいますからね(笑)。俺のインタビューもういい?(笑)

 

宮戸フィルムの私物ちょっと見せてください!

宮戸フィルムさんのシュプリームコレクションの中から、特にお気に入りのアイテムを披露。意外なくらいにイージーに入手できたものや、激レアなアニバーサリーモデルなど、宮戸フィルムさんならではなセンスが光る逸品をご覧あれ!

 

宮戸 2019年にリリースされたものです。サイドのスウッシュがジュエル仕様なのがお気に入りですね。2019年はまだダンクの人気が今ほど高く無かったし、これは比較的買いやすくて、マイサイズをゲットできました。

↑シュプリーム×ナイキ SB ダンク ロー

 

宮戸 ビーニーはYouTubeでお馴染みの被っているモノです。サマーニット仕様なので、季節を問わずに着用できるし、かなり気に入っています。そして右はシュプリーム×アキラの伝説級コラボですね。実際に店頭に並んで購入しました。キャップと一緒にジャケットも購入しました。だけど当時、本当にお金が無くて、ジャケットの方は売っちゃいました……。マジで後悔しています(涙)。

↑左_シュプリームのビーニー、右_シュプリーム×アキラのキャップ

 

宮戸 左はシュプリームの20周年を記念したアニーバーサリーモデルです。シュプリーム第1号店がアメリカ・ニューヨークにできた当時、最初に発売されたTシャツの再販モデルです。映画タクシードライバーには僕もかなり影響を受けましたし、特別な一枚ですね。そして右は、WTAPSのディレクターである西山徹氏がデザインしたTシャツで、明確にいうとシュプリームとのコラボモデルでは無いのです。2008年にリリースされたもので、中古品を購入しました。チャールズ・ブロンソンとボックスロゴのコンビネーションが渋過ぎですね〜。

↑左_シュプリームのTシャツ、右_西山徹デザインのシュプリームのTシャツ

 

宮戸 私物紹介も、もういい?

 

撮影/大田浩樹

 

 

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