24時間365日、最新の気象・防災情報を発信し続ける「ウェザーニュースLiVE」。YouTubeの登録者数は93万人を超え、日々の生活を支えるコンテンツとしてますます多くの人に愛されています。この番組を毎日生放送でお届けしているのが気象キャスターたち。GetNavi webではそんな皆さんの活動を紹介するとともに、それぞれのプライベートな一面に迫った連載「夕虹は晴れ! ウェザーニュースキャスター」を展開中! 第10回に登場していただくのは江川清音キャスター。厚い信頼で後輩から慕われている“さーやん”さんに、これまでの思い出を振り返っていただきながら、大好きなお天気のこと、そして番組を応援してくれるサポーターの皆さんへの思いをたっぷりとうかがいました。
<ウェザーニュースLiVE×GetNavi web連載>
第10回・江川清音キャスター
【江川清音さん撮り下ろし写真】
キャスターはサポーターさんたちの代表だと思っています
──前回の山口剛央解説員、白井ゆかりキャスターによる特別対談を経ての江川清音キャスターのご登場になります。最初に江川さんから見たお2人の魅力についてお聞かせいただけますか?
江川 山口さんとはお酒友達なんです(笑)。と言っても、一緒に飲んだことほとんどなく、よくお酒の話をするので、勝手にそんな印象を持っているというだけなんですけどね。山口さんは、ひと言でいえば貫いている方ですね。気象に関する知識やデータが豊富で、過去に起きた災害のお話など、何を聞いても瞬時に答えが返ってくる。ですから、本番中にいきなりブリーフィングの時に出なかったような質問も話題にできるんです。本当に、“この世界にいてくださって、ありがとうございます!”という思いでいっぱいです。ゆかりんは年下のお姉ちゃんかな(笑)。常に細かい気配りができる方で、それでいて、とにかく優しい。ちょっとしたことでも心配して連絡をくれたりするんです。番組担当のシフトを急遽変更しなければいけなくなった時でも嫌な顔ひとつせず、「全然問題ないですよ!」って言ってくれて。いつも助けてもらっていますね。
──江川さんは朝からお昼にかけての時間帯を担当されることが多く、反対に白井キャスターは夕方から夜が多いので、白井さんとはなかなか社内でも会える機会がなさそうですね。
江川 そうなんです。でも、たまに衣装室で一緒になることがあって。そんな時はホッとします。私が普段から頼りないというのもあるのですが(苦笑)、長年一緒にやっているので、ゆかりんの顔を見るだけで安心できるんです。私にとってまさに癒やしです。ただ、社内で会っても、お互い準備などでバタバタしているので、お話ができたとしても本当に数分で。それがいつもすごく残念ですね。
──番組自体は3時間の生放送ですが、そこまでの準備にもたくさんの時間をかけているということを、以前白井キャスターもおっしゃっていました。
江川 私の場合は特に長くて、ほかのキャスターと比べて1時間ぐらい早く準備に取りかかるようにしているんです。そうしないと間に合わなくて……。本番でアドリブのようにポンポンと言葉が出てくるタイプではないので、番組で話す内容を頭に入れておいたり、何を話すかを事前に用意しておいたりしないと本当にダメなんです。
──ご自身の頭の中で原稿内容を咀嚼する時間が必要ということですか?
江川 咀嚼というより、私は実際に口に出して確認をしています。番組の原稿って自分で書くんですが、“ここをしっかり届けたい!”というポイントがあるので、話す時の抑揚も考えながら何度も音読するんです。学生時代、弁論部に所属していたので、特にそうしたことを意識しているのかもしれないですね。それに、時間をかけて書いた原稿でも、いざ口に出して読んでみたら、“あれ!? これは何が言いたいんだろう?”と、まとまりのない文章になっていたりすることもありまして。そうした確認も含めて必ず時間をかけて音読をするようにしていますね。ただ、担当する時間が「モーニング」(午前5:00〜8:00)や「サンシャイン」(午前8:00〜11:00)だと家を出るのが深夜ですし、お迎えに来ていただく時間も決まっていますので、そうした時は前日に家でいろいろと調べておいたりもします。
──具体的にはどのような準備をされるんでしょう?
江川 前日にすることは、それまでの天気の流れを復習し、週間の天気予報も刻々と変わっていくので、最新のものをチェックしたり。あとは自然季節の確認ですね。七十二候や二十四節気が当てはまっているかなどをチェックします。それに番組内ではフリートークの時間もありますから、《今日は何の日?》を調べたり。……やることは結構多いです(笑)。
──江川さんの番組ではおなじみの「いきなりクイズ」を考えたりも?
江川 それもありますね(笑)。3時間ってやはり長いですから、いろいろと仕込まないといけなくて(笑)。
──おっしゃるように3時間の生放送はかなりの長丁場だと思いますが、普段は30分のブロックを6回に分けてこなしていくという感覚なのでしょうか?
江川 私は日によります。晴れた穏やかな日だと、30分ごとのインターバルでひと息つけることもありますが、天候が荒れていたり、地震などのイレギュラーなことが起こっていたりする時は、3時間ずっと緊張感が続いていきますから。それに、インターバル中でも視聴者さんからのチャットコメントを拾っていることがあるので、やはりあまり休んでいる時間はないかもしれないです。皆さんからのコメントの中に天気にまつわる質問を見つけると、“こういうことを知りたいんだな。それなら解説員の方への質問の中に差し込んでみよう”とその場その場で考えたりします。
──そうやってリアルタイムで視聴者の疑問や声を拾い、すぐに番組内で答えを届けていくというのは、「ウェザーニュースLiVE」の強みの一つだなと感じます。
江川 やはり双方向の番組ですからね。私がウェザーニューズに入った当初は前身の「SOLiVE24」という番組で、キャスターはサポーターの代表という立ち位置だったんです。それは今も変わらないと私は思っていて。そうした意識を持ちながら、サポーターさんが疑問に感じていることなどを予報センターの解説員の皆さんに質問して聞いていく架け橋だと思っています。また、その上でスタッフさんの存在というのがすごく重要なんです。スタッフさん方に光が当たる機会ってあまりないのですが、本当にいい方ばかりで、私、大好きで。日々の番組構成だけでなく、“このキャスターだと、きっとこのリポートを盛り上げてくれそうだな”ということをすごく考えてくださっているんです。私たちもそうしたスタッフさんたちの思いを汲み取って、サポーターさんたちのリポートに対してコメントをしていく。そうした関係性が本当に素敵だなと思うんです。
──キャスターさんとスタッフさんとのあうんの呼吸で番組が成り立っているのは、いつも放送を拝見しながら強く感じています。
江川 そのためにも、私は普段から、スタッフさんとの交流をすごく大事にしているんです。時間があれば、たくさんお話をするようにしていて。そうしたちょっとした会話の中から、お互いがどんな番組にしていきたいかといった方向性を感じ取れることもありますから。
一番つらかったのは「SOLiVE音頭」。私、歌NGなんです(苦笑)
──先ほど「SOLiVE24」の話題が出ましたが、江川さんはさらにその前身である「おは天」(携帯電話用の気象情報動画配信サービス)からキャスターをされています。
江川 はい。ですから、ウェザーニューズに入って14年目になるんです。18歳の時に受けたオーディションで合格をいただき、「華麗なる18歳」というキャッチコピーをつけていただいたんですよね(笑)。同期にあいりん(山岸愛梨キャスター)がいるんですが、私は途中で大学に戻ったりして、数年ほどキャスターをしていない時期があったんです。ですので、実際のキャリアはあいりんのほうが上になりますね。
──「おは天」や「SOLiVE24」の頃から番組の内容も随分と変わってきたと思いますが、キャスターとして求められていることにも変化を感じますか?
江川 気象に関してより詳しくなっていかなければいけないなと実感しています。“こんなことも知らないの?”と思われてはいけないキャリアになってきていますし。以前はもっと自由奔放でした(笑)。ぶっつけ本番で、“好きなようにやっていいよ”という空気もありましたから。でも今は、番組の構成もお天気の情報に重きを置く内容になってきましたし、視聴者数もどんどん増えてきましたので、より正確に、かつ、見る人にとって誤解のない番組作りを意識するようになりましたね。そうはいっても、まだまだ失敗だらけで、落ち込むことばかりなんですけどね。
──江川さんでも失敗をされることがあるんですか?
江川 たくさんありますよ。放送後に視聴者さんから言葉の使い方でご指摘をいただいて、“そうだよなぁ……ごめんなさい”って、すごく落ち込んだり。番組中は失敗したと思ってもなるべく笑顔を届けるようにしていますが、私はちょっとしたミスでもずっと引きずってしまうんです。それもあって、事前の準備を入念にしているんです。
──そうなんですね。ちなみに、思わず笑っちゃうような失敗談などもありますか?
江川 それもたくさんありますよ。番組が終わった後に、衣装が前後ろ逆だったことに気づいたことがありました(笑)。幸いなことに分かりにくいデザインでしたので、きっと誰にもバレていないと思います。番組が終わって着替える時に、“あれ? どうしてここにタグが!?”って(笑)。あとは……間違いなくバレているものでいえば、笑いすぎて椅子から転げ落ちたりもしましたね(笑)。MAXコーヒーを吹き出したこともありましたし。それはCスタジオ時代の話なんですが、染みになってしばらく残っていて。それを見るたびに、“これ、私のコーヒーの跡だ……”とへこんでました。今はもうきれいになっていますけどね。
──では、この振り返りの流れで、「SOLiVE24」時代のものでも結構ですので、もう一度やってみたい企画などはありますか?
江川 ソラヨミ企画をやりたいですね。予報センターの森田清輝さんや丹羽祐久さんと一緒に空の読み方を学ぶという企画があったんです。天気に詳しくなりますし、空についてたくさん知ることができるので、視聴者さんがどんどん増えている今、そうした企画を望んでいる方も多いのではないかと思うんです。
──確かにすごく興味があります。
江川 あとは公開番組も久々にやってみたいですね。以前は2週間に一度、公開番組をしたり、「そら博」といったイベントも開催したりして、視聴者さんと直接コミュニケーションを取れる機会が多かったんです。皆さんの顔を知れることで関係性も深まっていくので、ぜひまたやりたいです。もちろん、イベントは楽しいことばかりではなく、なかにはつらいこともありましたけどね。
──そのつらかった思い出をうかがってもいいですか?
江川 一番つらかったのは「SOLiVE音頭」です(笑)。あれは泣きました。「本当に歌だけはやめてください!」って号泣しながらお願いをして。
──歌が苦手なんですか?
江川 私、歌NGキャスターなんです(笑)。その結果、学生時代にダンスをしていたこともあって踊り担当になったんですが、振付も任されたんですね。しかも、踊り担当が3人だったので残り2人のキャスターさんに振付を教えようとしたところ、私が自分で歌いながら動きを見せなきゃいけないことに気づいて(笑)。まさしく地獄の時間でした。あれがあったので、おかげで怖いもの知らずになりましたけどね(笑)。先ほど言っていただいた「いきなりクイズ」もそうです。あの時に培った度胸の賜物です(笑)。
──「いきなりクイズ」はどういった経緯で生まれたものなのでしょう?
江川 あれは多くの視聴者さんに番組に参加してもらえたらいいなと思って始めたものでした。サポーターさんの中にはチャットでコメントを書いてくださったり、リポートを送ってくださったりと、いろんな形で参加してくださっている方もいますが、それはきっと一部の方で、多くがじっと番組を見てくださっているだけと思うんです。そうした方々にも、“ん? なんだ今のは?”と思ってもらったり、ほんの数分でも前のめりな感じになって番組に参加してもらえたらなと思い、ジェスチャークイズのようなものを始めてみたんです。そうすることで、番組を飽きることなく楽しんでいただけるかなという思いもあって。ただ、「よく分からない」とか「難しすぎる」という意見が多いです(笑)。
──確かに難易度が高めですよね(笑)。
江川 そうみたいですね。私は結構簡単にしているつもりなんですけれど。きっと、私の演技力や表現力の問題なんでしょうね(笑)。ただ、思いがけないような答えがコメントで飛び交っていたりして、それもまた楽しくて。いつかは全員が正解するのを目標に日々頑張っています(笑)。
──その日が訪れるのを楽しみにしています。でも、そうした「いきなりクイズ」のようなバラエティ色のある企画と詳しい天気情報がバランス良く成り立っているのも「ウェザーニュースLiVE」のいいところですよね。
江川 はい。だからこそ、視聴者さんも安心して楽しんでいらっしゃるのかもしれないですね。それに、視聴者さんたちと一緒に番組を作っているというのも本当に素敵だなと思っていて。「10分天気予報マップ」がすべてを物語っていると思うんです。皆さんから送られてくる全国各地のお天気リポートを瞬時に見ることができる。これって本当にすごいことで。ちょっとした地域の差での雨量の違いが分かりますし、私たちにとってもこれからどんな危険が発生するかを予測する材料にもなる。状況に応じて、声のトーンを変えて注意喚起もできますし、まさしく皆さんとともに「ウェザーニュースLiVE」はあるんだなと感じています。
同期のあいりんはキャスターみんなの大黒柱。というより、裏のドンですね(笑)
──天気にまつわるお話もうかがいたいのですが、江川さんが一番テンションの上がる天気や時間帯はいつですか?
江川 朝日が昇る瞬間と朝焼けですね。ものすっごく気分が上がります! 特に今ぐらいの冬の時期だと、「モーニング」の番組中に朝焼けのグラデーションが見られますし、あの美しさを視聴者さんと共有できる時間が大好きなんです。逆に、これは視聴者さんにもバレていると思いますが、朝の幕張のお天気カメラに曇り空が映っているとドヨーンとした気持ちになりますね(笑)。それこそ、雨雲のまねをしているんじゃないかと思うぐらい気分が沈みます(笑)。
──では、好きなウェザーニュースアプリの機能は?
江川 雨雲レーダーは言わずもがなですが、皆さんから送られてきたウェザーリポートが見られるページが好きです。晴れの日のリポートに限らず、雨の日でも皆さんからの報告を見て、“みんな空を眺めているんだなぁ”って思う時間が一番ホッとするんです。それに、全国にいるサポーターさんの存在を普段から身近に感じていると、災害などが起きた時に、“この地域に住んでいる方もいらっしゃったな”、“大丈夫かな”と考えられるようになりますし。そうした気持ちがあることで伝え方の意識も変わっていくと思いますので、皆さんからのリポートは時間がある限り見るようにしています。
──皆さんからのリポートがアプリの開発や番組の構成に反映されていることも多そうです。
江川 それはすごくありますね。例えばゲリラ雷雨が発生して、その近くにいたサポーターさんから動画が送られてくると、番組内でもより詳しい気象解説ができますから。特に解説員の内藤邦裕さんは局地予報がお得意な方ですので、ゲリラ雷雨に関する情報を幅広く、かつ分かりやすい言葉で解説してくださるんです。また、雨が収まってきたり、状況が落ち着いてくると、今度は時間をかけて丁寧に気象のメカニズムやゲリラ雷雨の対策についても教えてくださったりして。なかには少し難しいかなと思える内容もあるのですが、それが逆に視聴者にとって刺激になりますし、そうやってみんなで意識を高めていけたらいいなとも思っているんです。もちろん、そのためには私たちキャスターも、いろんな切り口で解説員の皆さんからさまざまな情報を引き出せるようにならないといけないんですけどね。
──では、江川さんから見て、今のキャスターはどんなチームになっていると感じますか?
江川 十人十色でそれぞれのいいところがすごく出ているように思います。得意分野もみんな違いますし、そうした中で、天気という軸があり、会社のキャッチコピーにもあるように「Always WITH you!」という思いで一緒に空を眺める仲間として支え合っている。新しく入ってくるキャスターもそこを理解している子たちばかりですので、すごくまとまりのあるチームになっているなと思います。
──個性豊かなキャスターがいらっしゃいますが、そうした中で江川さんの強みはなんだと思いますか?
江川 “誰にも負けないぞ!”と思うのは体力とフットワークの軽さですね。今はもうなくなりましたが、以前は3時間の生放送を1日2回担当していたこともありましたから。しかも、それを週に3回くらい(笑)。頼まれたら「やります!」って引き受けちゃうんですよね。でも、そのおかげで自分のスキルも広がり、いろんなことができるようになっていきましたので、すごくプラスになっているなと感じています。
──また、後輩もどんどんと増えてきましたが、江川さんが後輩に声をかける際はどんなことを意識されているのでしょう?
江川 私はあまり後輩という感覚を持たないようにしていて、みんな友達だと思っているんです。それだけに、ちょっと頼りない先輩だなと思われているかもしれませんが(笑)。それと普段の会話の中で、“なにか悩んでいるのかな?”と感じたりすると、話を聞いてみたり、あとでメールを入れるようなこともありますが、でもどちらかというと待つタイプですね。相談に来てくれると親身になって一緒に考える感じです。
──それはあえて待つんですか?
江川 そうですね。もしかしたら、自分の力でなんとか消化しようとしていたり、殻を破ろうとしている時間かもしれないので、そこは邪魔をしたくなくて。逆に相談ごとがあれば、なんでも聞いてほしいです。私は結婚をしていて子どももいるので、なかなか食事などに誘いにくいかもしれませんが、そこは気にせず、声をかけてほしいですね。
──江川さんはご出産後に再びキャスターに復帰されましたが、以前と比べてご自身の中で変化を感じることはありますか?
江川 やっぱり私って天気とこの仕事が好きなんだなと改めて思いました。育児に幸せを感じながらも、早くサポーターの皆さんと天気を眺めて共感したいと思っていましたから。それもあって、一年も経たないうちに戻ってきたんです。また、天気の見方も以前と比べて変わりました。家事が多くなったことでアプリの洗濯天気予報の素晴らしさを改めて痛感しましたし(笑)、子どもが風邪をひかないようにと気温の変化にも敏感になりました。そうしたことは番組内で視聴者さんに天気の情報をお伝えする際にもとても役立っているなと思います。
──また、同期である山岸キャスターについてもお聞きしたいのですが、江川さんにとってはどのような存在でしょう?
江川 私に限らず、すべてのキャスターが憧れる女性だと思います。真面目な性格なのは昔から同じなのですが、最近はプロデューサー的なところもあり、番組の企画などで悩んだりすると、いろんなアドバイスをくれるんです。いわば、キャスターみんなの大黒柱。いや、というより裏のドンですね(笑)。あいりんがいて、みんながいるという感じです。
──出会った時のことは覚えていますか?
江川 私が18歳で、確かあいりんは二十歳ぐらいだったと思います。“世の中にはこんなきれいな子がいるんだ!”と衝撃を受けました。まさにアイドル! という感じで、今も私の中ではアイドルです。一緒にいると話が止まらなくなり、たまにクロストークで一緒になると、あまり長引かないように努力するんですが、それでもつい話し込んでしまったりして(笑)。私にとってはなくてはならない存在で、私がここまでキャスターを続けてこられたのはあいりんのおかげだと思っていますし、同期とはいえ、支え合っているというより、ずっと支えられていますね。
──そういえば、小林李衣奈キャスターをインタビューさせていただいた際、山岸さんと江川さんの番組内での話し方をいつも参考にしているとお話しされていました。
江川 本当ですか!? そういうふうに見られていると思うとドキドキしちゃいますね。もう変なこと言えないです(笑)。番組プロデューサーからは「さーやんは好き勝手にやっていいよ」と言われているのですが、羽目を外しすぎないように気をつけます(笑)。
──(笑)。では、ほかのキャスターについて最近変化を感じたことや、改めて知った意外な一面などがありましたら教えてください。
江川 ゆっきー(内田侑希キャスター)がめちゃめちゃかわいい!(笑) いや、もちろんものすごくかわいいのは以前から知っていました。ただ、これまでそんなに交流する機会がなかったんですね。それが、先日のカレンダー撮影で同じ日になって。そこでたくさんお話をしたんですが、勝手に私が抱いていたクールビューティーなイメージが一気に覆りました。話す内容も、しゃべっている時の楽しそうな表情も、もう全部がかわいくて、ずーっとおしゃべりをしていたくなるんです。それに、いつも笑顔で楽しそうに番組をされているのに、“本当はもっとこうしていきたいんです……”といった悩みも抱えていて、番組をよりよくするためにどうすればいいかを真剣に考えている。そうした真面目さもまた素敵なんですよね。
──クロストークで一緒にバンジージャンプに行こうという話をされていましたね。
江川 よくご存知で(笑)。そうなんです。どうせならカメラを回そうかとも話していたんですが、きっと2人ともバンジージャンプを楽しむだけで、飛ぶ前に怖がったりキャーキャー叫ぶこともないだろうから、つまらない映像になりそうだねという話もしていて(笑)。そういえば、ゆっきーから、「さーやんさんとは似ているところが多いと思います」と言ってもらえたんです。確かにそうかもと思って。社交ダンスにも興味を持っていたので、これからますます仲を深めていきたいですね。
天気に関する知識を今以上に身につけて、いつか予報センターでも働いてみたい
──もう一つ、江川さんにどうしても聞いてみたかったことがありまして。番組内の発言でときどき登場する“Bスタ裏”の存在についてなんですが。
江川 ふふふふふ。やはり来ましたね、Bスタ裏。気になりますよね(笑)。「Bスタジオ」は以前使っていたスタジオなんです。それがいつからか、説教部屋のようなイメージを持つ場所になってしまって。誰かがミスをしたという垂れ込み情報がサポーターさんを通じて私の元に届くと、私が「これはBスタ裏に呼び出しですね」と言うようになっていったんですよね。それで、気づいたら私はBスタ裏の主みたいな思われ方をされるようになっていました(笑)。
──「Bスタ裏」の言葉が広まるきっかけになったのは何だったんですか?
江川 決め手になったのは、たぶん山口(剛央)さんの言葉なんです(笑)。
──どういうことでしょう?
江川 山口さんが何かの拍子で、「江川さんにBスタ裏に連れて行かれないように頑張ります」というようなことを番組の中で発言されていて。それがきっかけで一気に定着したような気がします。ほんと、Bスタ裏に何はあるんだって思いますよね(笑)。
──頭の中では完全に学校の体育館裏みたいな場所をイメージしています(笑)。
江川 「ちょっと後で顔出して」って? そうですよね。でも、あまり言い過ぎると、本当にBスタ裏で説教をしていると思われそうなので、ほどほどにしておきます(笑)。
──(笑)。とはいえ、そうした番組での楽しいやりとりからも、キャスターさん、スタッフさん、解説員の皆さんとの仲の良さが伝わってきます。山口さんは「おつきみピッピ」(ポケモンとのコラボ企画)の指振りの動きで、見事江川さんが陥落させていましたし。
江川 番組内で一緒に動きをやってくださいましたね。ほかのキャスターがお願いをしてもずっと拒んでいたそうですが、私の時についに折れてくれて(笑)。同じく解説員の喜田(勝)さんもよく「江川さんが圧をかけてくる」とおっしゃるんですが、私に言わせると、お2人とも何となくムチャブリをされるのを期待しているかのような視線を送ってくることがあるんです。勘違いかもしれませんが、長い付き合いなだけに少なくとも私にはそう見える時があるので、それなら期待に応えましょうと(笑)。
──確かに、この夏復活した「さやサンシャイン体操」も喜田さんは楽しそうにやっていましたね。
江川 「サンシャイン体操」は以前、季節ごとにやっていたんですよね。夏に久々にやってからというもの、喜田さんが会うたびに、「もうやらないの?」と聞いてくるので、もしかして皆さんやりたがっているのかなと思って(笑)。喜田さんも山口さんも関西の血が流れているからか、人を喜ばせることがお好きなんです。ですので、これからも怒られない程度に皆さんのユニークな一面を引き出していきたいですね。
──また、江川さんといえば、フリートークなどでお酒の話をしてくれるのを期待している視聴者さんも多いと思います。
江川 私が番組を担当している時間はお酒に関するリポートが増えるとよく言われます(笑)。言われてみれば、事あるごとにお酒の話題を出していますよね。決して、強いわけではないんです。嗜む程度なので、きっと皆さんと同じぐらいで。でも、お酒の話をするのは楽しいので、朝の時間帯では難しいかもしれませんが、休日のお昼前後あたりにお酒のコーナーとかもいつか企画でやってみたいですね。お米やお酒の味は地方によって違いますし、そこには気象も大きく関わってくると思いますので、そういったことを調べてみるのも面白いかもしれないなと思っています。
──同じお酒好きだと、戸北美月キャスターという心強い仲間もいますしね。
江川 美月ちゃんともよく、「一緒に酒蔵巡りをしたいね」という話をしているんです。私以上に専門的なことに詳しいですから。ほんと、ぜひ美月ちゃんとは企画をやってみたいです。
──江川さんはお酒を飲むとどんな感じになるんでしょう?
江川 質問攻めとまではいかないまでも、いろいろと相手のことを聞いちゃいますね。普段は自分のことを話すよりも、周りの会話を聞いているのが大好きなんです。でも、お酒を飲むと自分から話しやすくなるので、ここぞとばかりに質問を(笑)。きっとほかのキャスターについて私の知らない一面がたくさんあると思うので、いつかみんなと飲んで一人ひとりのことを知り尽くしてみたいです(笑)。
──その時は、ぜひこぼれ話を番組でもしてください! では、最後にこれからの目標を教えていただけますでしょうか。
江川 やはりキャスターである以上、もっともっと円滑に番組を進められるようになりたいという思いを常に持っています。また、天気にも詳しくなって、最初にお話ししたようにサポーターの皆さんが求めるものを伝えられる架け橋のような存在になっていきたいですね。以前と比べて「ウェザーニュースLiVE」はいろんなところで注目を集めるようになり、それにともなって求められるものも増えてきていると思うんです。ですから、新しく番組をご覧になる方やこれまで応援してくださっていた視聴者さんがより楽しめるように、解説員の皆さんから気象に関するさまざまな話題を引き出せるようになりたいと思っています。それと、これは夢でもあるんですが、いつか予報センターの中でも働きたくて。自分に気象予報士さんのような専門的なものを極められるほどの力があるかどうかは分かりませんが、“これは江川に聞いてみよう”と思ってもらえるぐらいの知識を持てるように頑張っていきたいですね。
──ありがとうございます。また、次回は特別対談の第2弾として江川キャスターと川畑 玲キャスターにご登場いただきます。予告編として、江川さんから見た川畑キャスターの魅力を教えていただけますか?
江川 川畑さんはもともと予報センターの解説員として番組に出演されていたのですが、2022年の4月からキャスターとしてもご登場いただくようになりました。皆さんからすぐに“ばた様”と呼ばれるようになるなど、いつも朗らかな雰囲気をお持ちで、また趣味のガーデニングのお話といった生活に密着した話題も人気ですので、視聴者さんにとってもすごく身近な存在なのではないかと思います。これまでの経歴やキャスターになった経緯などもたくさんお聞きしましたので、ぜひ楽しみにしていてください!
《江川キャスターに17の質問!》
Q01.ご自身ではどんな性格だと思いますか?
江川 番組でご覧いただいてるそのまんまだと思います。ただ、“番組の中でこう言っておけばよかった……”といった後悔することがあると、裏でものすごく沈みます(笑)。そこから“これを次に活かそう”と切り替えられるのも結構時間がかかりますね。一度切り替えたらもう大丈夫なんですが。
Q02.“パブリックイメージとはここが違う”というところはありますか?
江川 ないです! 3時間もの生放送で本性を隠し通すことなんてできないので、すべてをさらけ出しています(笑)。ただ、自分ではよく分からないんですが、たまに天然だと言われるんですよね。私って天然なんですかね?(笑) 思い当たる節があるとすれば、あいりんと外で待ち合わせをすると、「さーやんとは最初の待ち合わせ場所では会えたためしがない」とよく言われます(笑)。ほぼ、私が間違えていて。そういう意味では、おっちょこちょいなところがあるのかも。自分では自覚がないんですけどね。……あ、だから天然なのか(笑)。
Q03.番組などで緊張しないコツは?
江川 適度な緊張は大事だと思うんです。ただ、私の場合は緊張すると噛んでしまうクセがあるので、本番前に声を出すということをしています。それこそ、今はフリースペースのようになっているBスタ裏で発声をして(笑)、喉を温めながらちょっとずつエンジンをかけていっていますね。あとは最後に大きく深呼吸。これも大事ですね。
Q04.天気にまつわる好きな言葉を教えてください。
江川 雨過天晴(うかてんせい)。“悪いことも、いずれよくなる”という意味です。つらいことや悩みって誰しもあると思うのですが、それが転じていい方向に向かうこともある。努力は報われると思いますし、こうした前向きな言葉が大好きですね。
Q05.もしキャスターになっていなかったら、どんな仕事をしていたと思いますか?
江川 フランスでお花屋さんをしていたと思います。大学生の時はフランス語を学びたくて、留学の試験にも合格していたんです。でも、同じタイミングで競技ダンスの大会があり、どちらかを選ばなきゃいけなくなって。母からは「絶対に留学を取りなさい」と言われていたのですが、試験に落ちたとうそをついて、ダンスを選びました。実はこれ、いまだに母に言っていないことなんですけどね(苦笑)。当時、ダンス部でいくつかの役職を任されていて、自分がいなくなると指導する人もいなくなり、どうしても自分にはやめることができなかったんです。でも、そのことで全国優勝もできたので、後悔はしていないですね。一方で、大学では国際関係の勉強をしていましたし、もし留学していたらフランスで仕事をしていたかも……と思うので、きっと今とは違う人生を送っていたでしょうね。お花屋さんは、単純にお花が好きだからです(笑)。
Q06.では、競技ダンスの一番の魅力とは?
江川 競技ダンスっていわゆる社交ダンスなのですが、男女2人のペアで作る最大の芸術だと思っています。クラシックバレエも習っていたので一人のダンスの大変さを経験していましたが、それが2人になるとさらに難しくて。お互いが動ける範囲を理解し合い、一番美しく見える瞬間を動きながら作っていく。大変ではありますが、あれに勝る興奮はないです。始めたきっかけは、ウッチャンナンチャンさんの番組で杉本彩さんが踊っているのを見て、「かっこいい! 私もやりたい!!」と思ったことでした。それで、大学に入ったら絶対にやろうと決めていたんです。
Q07.ウェザーニュース・ダンス・クラブを作る予定は?
江川 いいですね! ぜひ作ってみたいです!! ゆかりんやりえなちゃんなど、ダンス経験者がたくさんいますもんね。以前の番組では米米CLUBさんの名前をもじって「ごめんごめんクラブ」というダンスチームを作ったことがあったんです。あれが私の中でのピークだったかもしれない(笑)。今だと天気に関連した企画じゃないと難しいかもしれないので、みんなで冬型の気圧配置をコンテンポラリーダンスで表現してみるというのはどうでしょう?(笑) 私が振付を担当すると「いきなりクイズ」みたいな難易度の高いものになってしまいそうですし、振付はみんなで考えます(笑)。
Q08.夜の番組担当チームはいろんなパーティー企画を配信していますが、もし朝チームでパーティーをするなら?
江川 あ〜、これもやってみたいですね。みんなでホットケーキやホットサンドを作ってみたり。ベビーカステラとかもいいですね。その中に1個だけカラシを入れておきます(笑)。もしくは朝の担当が終わった頃にみんなで集まって、夜の一品として付け加えられそうな簡単なおかずを考えてみたり。うん、楽しそう! ちょっとプロデューサーに提案してみます!
Q09.バイク好きとのことですが、思い出のバイクは?
江川 自分で買って乗っていたのは原付きだけなんです。アメリカンとかにも憧れていましたが、買っちゃうとあとに引けなくなってしまいそうだったので、いつも借りて乗っていましたね。父がバイク好きで、一緒にツーリングに行きたくて、私も中型の免許を取ったんです。今でも覚えているのが、小樽までお寿司を食べに行ったこと。その帰り道に虹がかかっていたんですよね。いい思い出です。バイクに乗って風を切る気持ちよさはほかにないものですし、ツーリングは天気とも密接に関わってくるので、また機会があれば乗りたいなと思います。
Q10.今のお酒のあては?
江川 ベビーチーズに韓国のりを巻いて、昆布しょうゆに付けて食べる。これ、昆布しょうゆというのがポイントなんです。特に北海道の「はぼまい昆布しょうゆ」がおすすめです。私も取り寄せるぐらい大好きです。あとはホタルイカの素干しかな。
Q11.お酒の席での豪快エピソードを1つ!
江川 書ける範囲でのエピソードじゃないとまずいですよね?(笑) そうですね……学生時代の飲み会では、私の前に乾杯を待つ行列ができるということがありました。みんなが一人ひとり、「お疲れ様です!」って声をかけにくるんです。ビール連盟の女子ビ長(ビール長)をやっていたからなんですけどね。
Q12.ズバリ、北海道といえば?
江川 お刺し身! イカの踊り食いやめふん(鮭の背わたを塩で漬け込んだ珍味)など、どこの居酒屋さんに入っても魚介類がおいしいですね。……あ、食べ物の話に特化しちゃいましたけど、別に大丈夫ですよね?(笑) 大学が京都で、それからはずっと北海道を離れていたので、帰るたびに「やっぱり北海道っていいなぁ」と地元の良さを再認識します。
Q13.最近、自分へのご褒美でしたことは?
江川 自分が生まれた年に出来たワインを買いました。思ったよりもまろやかな味わいでした。ちょっと値段はお高めでしたけど、こうしたご褒美があるから頑張れるんだと思って、思い切って買っちゃいました。
Q14.2022年にやり残したことは?
江川 これは毎年話してることなんですが、スカイダイビングをしたいんです。それと気球にも乗りたい。以前、静岡まで弾丸で気球を乗りに行ったことがあるんですが、その時は風が強くて飛ばなくて。ただの日帰り旅行になってしまったという苦い思い出があります(笑)。ですから、いっそのこと気球に詳しい解説員の内藤さんと番組で企画を考えようかなと思っているぐらいです。2023年は空に関する企画をたくさん考えて、どんどん実行に移していきたいですね。
Q15.では、新たに趣味にしたいことは?
江川 今でも十分、趣味が多いほうだと思うのですが、裁縫をもっと極めたいです。自分の服を作ったことはあるのですが、まだ世に出せるほどのも代物ではないですし、子どもの服も作ってあげたくて。ミシンを3台も持っているので、今のままでは宝の持ち腐れになっちゃいますからね。それと、これはお仕事に絡んだことになりますが、日本の地形に詳しくなりたいです。純粋に地図帳を見るのが楽しくて好きなんですが、全国にある川や山、湖などを知ることで、その地方でどんな天気に関する事象が起こるのかが分かると思うので、もっと地形に関する知識を増やしていきたいです。
Q16.GetNavi webということで、ご自身を家電に例えると?
江川 「電気メーター」……って家電じゃないですよね?(笑) でも、いいですか? 電気メーターって、メモリが動いている間は何かしら家電などが動いているわけで、まさに自分そのものだなって思うんです。家にいる時は常に動いていて、家事をしたり、仕事の準備をしたりと、本当にじっとしていることがないんです。ただ、哀しいかな、家の中ですることが多すぎて、なかなか子どもを構ってあげられないんですよね。だからか、子どもに「ママとパン、どっちが好き?」って聞くと、必ず「パン!」って即答されて(笑)。私にとってパンが一番のライバルであるというのが最近の最大の悩みなので、いつか「ママが一番!」と言ってもらえるように頑張りたいです(笑)。
Q17.最後に、普段愛用しているアイテムを教えてください。
江川 グルーガンです。10年ほど前に購入して、まだ現役で頑張ってくれています。これは低温タイプで、プリザーブドフラワーを作る時によく使っていますね。頼まれてブーケを作るのが大好きで、これまでにも何十個と作ってきました。実家に帰省した時に使おうと思ってかばんに入れていたら、空港の手荷物チェックで、「銃のようなものが入っているのですが……」と止められたこともありました(笑)。
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撮影/中村 功 取材・文/倉田モトキ