可憐な少女が超人的なアサシンに豹変する予測不能の超絶バトルロイヤル・アクション『THE WITCH/魔女 -増殖-』が、5月26日(金)より公開する。2018年に公開された前作『THE WITCH/魔女』は韓国で大ヒットし、日本では限定公開だったにも関わらずSNSで評判が拡散し、DVDレンタルと配信で推定視聴者数100万人超えを記録。当時は新人女優だった主演のキム・ダミは、のちに「梨泰院クラス」に出演するなど、『THE WITCH/魔女』をきっかけに人気女優へと駆け上がった。その続編となる本作は、既に韓国では公開4日間で観客100万人突破、さらに世界124か国で配給が決定している。期待が高まる本作で、新たなヒロイン“少女”を演じるのは本格映画初主演となるシン・シアさん。今回、シン・シアさんが初来日し、オーディションや撮影エピソードについて語ってくれました。
【シン・シアさん撮り下ろし写真】
このオーディションを受けない理由はありませんでした
──今回が初めて受けたオーディションとのことですが、女優を目指したきっかけは?
シン・シア 高校1年生のときにミュージカル「カルメン」を観たことで、ミュージカルにハマりました。多いときは一週間に3~4回ほど舞台を見に行くようになり、3年生のときに、「将来は女優になりたい」と思ったんです。そして、ハニャン(漢陽)大学演劇映画科に進学し、『THE WITCH/魔女 -増殖-』のオーディションを受けました。今回は主演女優を新人から発掘するという、韓国ではあまりないタイプのオーディションでしたし、何より私が前作のファンだったので、このオーディションを受けない理由はありませんでした。
──主演のキム・ダミさんが一躍スターになった前作『THE WITCH/魔女』の魅力は?
シン・シア 一見ピュアで、か弱そうに見える少女が、実は強い力を持っていたというギャップが大変気に入りました。ただ、私は臆病な性格なので、ホラー映画やバイオレンス映画を観るのが苦手なんです。だから、バイオレンスなシーンは目を手で隠しながら観ていました(笑)。
ヒット作の続編なので「迷惑をかけないように」と責任感を強く持って
──1408名の中から選ばれたオーディションでのエピソードを教えてください。
シン・シア オーディションでは、あらかじめ準備してきたお芝居を見せたのですが、その後にパク・フンジョン監督から「ほかにやりたいことはありますか?」と聞かれました。そして、即興でダンスを踊ったことを覚えています。でも、合否の連絡がなかなかなかったので、「今回は縁がなかった」と諦めていました。ある日、たこ焼きを自宅で食べていたときに、突然パク監督から「合格です」と連絡があったんです。嬉しさと同時に焦りました(笑)。
──脚本を読んだときの印象を教えてください。
シン・シア 脚本を読み始めたら、私が演じる“少女”がとても神秘的で、『魔女』の新たな世界にハマりつつ、一気に読み終えてしまいました。前作でキム・ダミさんが演じたク・ジャユンと私が演じる“少女”はまったく違うキャラクターなので、そこに関しては気にしませんでした。ただ、ヒット作の続編なので、「迷惑をかけないように」と責任感を強く持って演じようと思いました。
雪のように何も知らない“少女”に成り切ることができました
──“少女”の役作りについて教えてください。
シン・シア 彼女の超人的なパワーを表現するため、撮影前にはアクションレッスンに通いました。あと、『ハンナ』や『モーガン プロトタイプL-9』といった特殊な少女を描いた作品や、「アンブレラ・アカデミー」やマーベル作品など、超能力が登場する映画やドラマを多く観ました。CGと合成する戦闘シーンでは、見えないモノを想像しながら演技をしなければいけないので、とても役に立ったと思います。
──オール済州島ロケの本作。血まみれになった“少女”が雪原を歩いているオープニングから印象的です。
シン・シア もともと台本には雪が降るシーンはありませんでしたが、済州島に60年ぶりの大雪が降り、膝の高さぐらいまで積もったことで、偶然撮ることになりました。ただ、私は裸足のまま研究所から逃げ出してきたという設定だったので、とても寒くて大変でした。しかも、全身血糊まみれ。実は最初に撮ったシーンなのですが、そこから雪のように何も知らない“少女”に成り切ることができました。そんな苦労もあったので、一番思い出深いですし、とてもきれいで神秘的なシーンになってよかったです。
休憩中の私とカメラ前の私では別人のように見えたかもしれません(笑)
──撮影現場でのエピソードを教えてください。
シン・シア とても楽しい現場でした。お芝居に関しては難しかったけれど、楽しかったという不思議な感触でした。普通は難しいとつらくなると思うんですが、やればやるほど楽しくなる。その楽しさを具体的に言うと、脚本を読んだ私が考えていた“少女”の姿を、身体や言葉、顔の表情を使って表現するということ。そして、その姿をモニターで見ることも楽しかったです。“少女”を演じるときの私は無表情ですが、普段の私は表情が豊かな方なんです。だから、休憩中の私とカメラ前の私では別人のように見えたかもしれません(笑)。
──劇中、“少女”がスーパーマーケットの試食を大食いするシーンは、どこかコミカルでもあります。
シン・シア “少女”は秘密研究所で育っているので、これまでおいしい物を食べた経験がなかったと思うんです。だからそういう食べ物に出会ったときは、頭の中で理性的に考えるというよりは本能で動くんじゃないかなと思いました。なので、スーパーのシーンでは本能のままに演じてみました(笑)。もともと食べることが大好きなんです! 日本に来て、お寿司、ラーメン、懐石料理。あと、カツサンドや冷たいうどんも食べました。お寿司は甘えび・いか・サーモン・平目・うに……全部スキ!(笑)
──キム・ダミさんら共演者の方とのエピソードありますか?
シン・シア 私が“少女”となって、キム・ダミさん演じるク・ジャユンと“魔女”の世界に入り込み、一緒に演技をするということは、まさに未知の体験でした。だから、キム・ダミさんとお会いしたときは、本当に鳥肌が立ちました! 現場でよく一緒にいたのは、ギョンヒ役のパク・ウンビンさんです。“少女”を助けるギョンヒのように、ウンビンさんは初の映画出演である私をいろんな面でサポートしてくれました。誰よりもたくさんお話をしましたし、ウンビンさんのおかげで、より役に入り込むことができました。
3作目に出演することになったら…… “少女”に少しでも幸せなことが起こってほしい
──本シリーズは魔女ユニバースと呼ばれ、本作を経て、次回作への期待も高まります。本作の見どころ、また次回作では“少女”はどのような形で登場してほしいですか?
シン・シア 前作以上に広がった世界観に加え、さまざまなキャラクターの物語が盛り込まれているので、その関係性やパワーアップしたアクションシーンを楽しんでほしいです。私は詳しい内容を知らないのですが、パク監督の頭の中には、壮大な魔女ユニバースの構想があると思います。当初は3部作とも言われていましたが、もしかすると、次回作で完結しないかもしれないですし、私自身も「どんな物語が展開されるか?」とても期待しています。もし、私が“少女”役で3作目に出演することになったら……今回つらいことばかりだったので、“少女”に少しでも幸せなことが起こってほしいですね。
──シン・シアさん自身は今後、どのような俳優になりたいですか? また、どんな方と共演したいですか?
シン・シア「どんな俳優になりたいのか?」「どんな俳優になったらいいのか?」といったことは、毎日のように考えています。ただ、初心を忘れずに、一生懸命最善を尽くして演技をする俳優でいることだけは、忘れてはいけないと思っています。“少女”役は口数も少なく表情も乏しかったので、今後は表情が豊かでたくさん話す役をやってみたいです(笑)。素晴らしい先輩ばかりなので、できるかぎりたくさんの作品に出演して、一人でもと多くの方と共演したいと思っています。あとパク・チャヌク監督が大好きなんです。最新作の『別れる決心』も面白かったですし、『渇き』も好きなので、いつかご一緒できる機会があるといいなと思います。
──撮影現場に必ず持っていくモノやアイテムがあれば教えてください。
シン・シア もともと香水が好きで、20~30種類ぐらい持っているんですが、その中でもお気に入りなのが、トム・フォードの香水「ソレイユネージュ」。行き慣れてない撮影現場に行くとき、この爽やかで甘いような匂いを嗅ぐと、気持ちが落ち着くんです。ほかにも、アロマではラベンダーやサンダルウッド、あとヒノキの香りも好きです。
THE WITCH/魔女 -増殖-
5月26日(金)より東京・新宿ピカデリーほか全国ロードショー
(STAFF&CAST)
監督/脚本:パク・フンジョン『新しき世界』
出演:シン・シア、パク・ウンビン『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』、ソ・ウンス『キングメーカー 大統領を作った男』、ソン・ユビン『神と共に 第一章 :罪と罰』、チン・グ『太陽の末裔』、チョ・ミンス『嘆きのピエタ』、イ・ジョンソク『ビッグマウス』、キム・ダミ『梨泰院クラス』
公式HP https://ark-thewitch.com/
【映画「THE WITCH/魔女-増殖-」よりシーン写真】
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撮影/中村 功 取材・文/くれい響