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2023/10/23 10:30

最も泣ける恋愛リアリティ『あいの里』みな姉&中さんの“その後”は?「いくつになろうとも、素敵な恋愛をする権利は平等にある」

中高年にフォーカスした恋愛バラエティ『あいの里』(Netflix)が人気爆発したことは記憶に新しい。番組では多くのドラマやカップルが誕生したが、中でも視聴者に絶大なインパクトを与えたのが絵本作家・みな姉(60歳=配信時・以下同)と大家業を生業とする中さん(60歳)だった。渦中の2人を直撃し、“その後”の様子を伺うとともに、「大人が恋愛することの難しさ」や「高齢化社会の結婚観」についても持論を展開してもらった!

(構成・撮影:丸山剛史/執筆:小野田 衛)

 

「キラキラしていない!」「リアルすぎる!」という驚きの声が多くの視聴者から上がった『あいの里』は、参加資格が35歳以上という中高年限定の恋愛バラエティ。番組の中で出演者たちは“人生最後の恋”を求め、古民家で自給自足の共同生活を送ることになる。社会的地位も高く、酸いも甘いも噛み分けた人生の猛者ばかりだけあって、そこでの恋愛模様は人生観や生き様も色濃く反映されるのが特徴。既存の恋愛番組にはない生々しさがあった。

最終エピソードの告白シーンでは残念ながらカップル成立とならなかったみな姉と中さんだが、ラブ・ヴィレッジでの番組収録後、2人は交際に発展。しかしオンエア内ではその過程説明が駆け足気味だったため、ファンの多くが「どういうことだ!?」とザワついたのも事実である。一体、どんなドラマがあったのか? カメラが追っていなかった物語の深層に迫った。

 

【みな姉&中さん撮り下ろし写真】

今は人の悪口なんて外で絶対に言えない。下ネタなんて、もってのほか(笑)

──単刀直入にお伺いします。今、2人はどのように過ごしているんですか?

 

中さん 普通にきちんとおつき合いさせていただいていますし、平和に暮らしています。とりたてて変わったこともないですし。

 

みな姉 それじゃ話を端折りすぎでしょ(笑)。平和に暮らしているのはたしかだけど、実際はいろいろ起こるんですよ。年齢も年齢だから、それぞれ背負っているものもあります。2人の間には課題もたくさん存在するから、ときにはぶつかり合いながらも解決に向けて話し合いを重ねている感じですかね。

 

中さん 2人で街を歩いていると、たまに声をかけられたりします。この前は駅で軽く言い争いをしていたところ、「みな姉と中さんですよね? 写真を撮っていただきたかったんですけど、ひょっとしてケンカしていました?」とか言われて気まずかった(笑)。

 

──みな姉はオールナイターズだったこともあるくらいなので、騒がれるのも慣れているのでは?

 

みな姉 いやいや、あの頃はインターネットなんてなかったですから。どこで見られているかわからないから、今は人の悪口なんて外で絶対に言えない。下ネタなんて、もってのほか(笑)。Netflixだから、海外からの反響も大きかったんですよ。英語圏ではない国からのコメントもたくさん届きました。

 

中さんに対しては、私自身も誤解していた部分があったから、謝りたかった

──ラブ・ヴィレッジで、中さんはみな姉にフラれる格好となりました。その後、どのようにして2人は交際に至ったんですか?

 

みな姉 番組の構成上、私たち2人は告白シーンでお断りしたらジ・エンドということになっています。だけど実際は一緒に暮らしていた期間もあるわけだし、縁を切りたいというわけではなかったんですよね。実際、他の女性出演者たちと収録後も仲よく集まったりしていました。そういう中で「お断りしたとはいえ、人間的に嫌いになったわけじゃないんだから、中さんと会うのもアリなんじゃないの?」みたいな若干おせっかい気味な意見も出たんです(笑)。私としては「そうかなぁ。でも本当に好きだったら、向こうからまた声をかけてくるんじゃないの?」みたいな感覚だったんですけど。

 

中さん いや、それは無理ですよ~。こっちはフラれた立場なのに、どの面下げて「もう一度会えませんか?」って誘うのか……。そんなのストーカーじゃないですか(笑)。男の出演者だけでアンチョビのお店に集まって、同窓会みたいなことはやりましたけどね。

 

みな姉 中さんに対しては、私自身も誤解していた部分があったから、そこを謝りたいという気持ちがあったんです。

 

──誤解とは?

 

みな姉 別に私のことを大して好きというわけでもなく、流れ的に鐘を鳴らしただけかと思っていて……。奥さんへの想いも強いようだし、ともちんにもアプローチをしていたので、どう考えても私に対して本気と信じられなかったんですよ。でも周りの女性陣から「それじゃ中さんがかわいそう。彼は本気だったのに」って言われ、「そうだったのか……」と気づいたんですね。

──なるほど。きちんとけじめをつけたかったわけですね。

 

みな姉 それと忘れ物の話もありましたね。最後は古民家からドタバタと撤収したものだから、スタッフさんによると忘れ物が結構あったらしいんですよね。どういうわけか中さんの私物を私が預かる格好になっていて、それを返さなくちゃいけなかったんです。今さらスタッフさんに返すのも面倒くさいですから。

 

中さん こっちからすると、狐につままれた感覚ですよ。いきなり連絡が来て「謝りたいから一度会いたい」とか言われても、「なんのことだろう?」って困惑しちゃって……。

 

みな姉 そりゃそうだよね(笑)。

 

中さん 連絡が来た時点で番組の収録は終わっていたけど、まだ配信は開始されていなかった。だから2人で会っているところを誰かに見られたらマズいなと思ったんです。番組の中では僕が見事にフラれているのに、そのへんの居酒屋とかでコソコソ密会しているところを目撃されたら「おいおい、話が違うじゃん」って騒ぎになるじゃないですか。

 

製作陣からは「それぞれの人生なので、おつき合いされることはもちろん自由」

みな姉 仕方ないから私の家で会うことにしたんですけど、いきなり男性を自宅に上げるのことに抵抗感もあったんです。だから最初は中さんから玄関に段ボールを敷いて、そこで飲もうかという話も出たくらいなんだけど、結局は普通にリビングに上がってもらいました(笑)。

 

中さん 2人ともお酒は好きなほうだから、あの日は結構飲んだ気がする。みな姉は日本酒、僕はジャック・ダニエルだったかな。みな姉の作ってくれた料理がおいしかったから、それはすごくうれしかったですね。

 

みな姉 そんなロマンティックな雰囲気でもなかったんですよ。「こんなこともあったよね」とかラブ・ヴィレッジでの思い出話をする感じでした。……だけど……気づいたらどういうわけかキスする流れになっていて(笑)。

 

中さん そこは僕のほうからしましたね。

 

みな姉 そのとき、私、確認したんです。「これ、どういう意味なの?」って。単に酔っぱらった勢いでキスされたら嫌だなと思ったので。そうしたら、「つき合うということでしょ」という話をしたので、「そういうことなら」と受けることにしました。

 

──素晴らしい! しかし番組スタッフも、まさか収録後にそんなドラマが進行するなんて予想もしていなかったでしょうね。

 

中さん そこなんですよ。番組の内容と矛盾が生じるのはマズいと思ったので、みな姉がスタッフに伝えたんです。まだ配信前でしたし。制作陣も「収録してから先はそれぞれの人生なので、おつき合いされることはもちろん自由です。むしろわざわざ言ってくれて、ありがとうございます」といった調子でした。

 

みな姉 そこからは結構な頻度で会っていますね。そのへんは若い人の恋愛みたいです。

 

中さん 僕の仕事が、パソコンひとつあればどこでもできるものですから。それに僕の場合は恋愛すること自体が前の妻と出会った25歳以来久しぶりだったから、そのへんの感覚が猪突猛進でグイグイ進む20代で止まっているのかもしれない。要するに落ち着いた大人の恋愛ができない(苦笑)。

 

子供の問題はリアルに突き当たっている現在進行形の話です

──みな姉さんはバツ2で、息子さんが1人います。中さんは8年前に奥さんと死別し、2人の子供を育てるシングルファザー。お子さんには納得してもらえましたか?

 

みな姉 私のほうは息子も結婚しているくらいだし、「好きにすればいいんじゃないの?」という感じでしたね。正直なところ、子育てもとっくに一段落している感覚なので。問題は中さんのほうですよ。お子さんが2人とも多感な時期だから……。

 

中さん 2人の子供は番組をまだ観ていないんです。実はモノクロの再現シーンに少しだけ2人は出演しているんですけど、そこだけ確認していたかな。ひょっとしたら、父の恋愛する姿を直視したくないのかもしれない。

 

みな姉 絶対そうだと思うな……。

 

中さん もちろんラブ・ヴィレッジに行く前から「こういう恋愛番組に出るんだよ。パートナーができるかもしれない」と説明はしました。「もしそうなったら、ちゃんと会ってくれるよね?」って確認もしましたし。帰ってきたときは「パパ、フラれちゃったよ」って笑いながら言いました。

 

──ひょっとしたら、娘さんはホッとしたのかも。

 

中さん そのへんはわからないですけどね。「実はあれからいろいろあって、みな姉とつき合うことになったんだ」と家族会議で伝えたら、「ふ~ん……」みたいなテンション低めのリアクションでした。娘は高校2年生と中学1年生で多感な時期ですからね。

 

──今後、みな姉さんは中さんの2人の娘さんに受け入れてもらう必要があるわけですか。

 

みな姉 難しいですよね。こればかりは簡単に答えは出せない問題。中さんの場合、離婚ではなくて死別ですから。お嬢さんたちからすると、パパの相手は永遠に前の奥さんという気持ちもあるんだと思う。気持ちの切り替えはそう簡単にできないですよ。もちろん時間が解決するという面はあると思いますよ。だけど私も決して若くはないから、「10年待ってくれ」と言われたら70歳になってしまう。そうなると、もう本格的なおばあちゃんなので。

 

中さん 娘のことが大事なのは言うまでもないけど、一方で僕の人生は僕のものという考え方もあると思うんです。

 

みな姉 それはたしかにその通りだけど、娘さんたちを傷つけてまで私たち2人が幸せになるのは絶対に違うと思う。他人の不幸のうえに幸福な恋愛なんて成立しないですよ。そこは不倫と一緒。

 

中さん 子供の問題はリアルに突き当たっている現在進行形の話ですね。本音で向き合いながら、どこかで折り合いをつけなきゃいけないと考えています。

 

『あいの里』は恋愛をテーマにしつつも、社会派ドキュメンタリーとしての一面も持つ異色の番組だった。高齢化社会と若者の結婚離れが加速度的に進む中、日本人はどのような恋愛や結婚を目指すべきなのか? 恋愛至上主義の終焉、高齢出産のリスク、働き方と家庭とのバランス……さまざまな問題がラブ・ヴィレッジ内で浮き彫りになる中、自分の胸に手を当てて考えさせられた人も多いはずである。

 

「そうか。俺はまだ恋愛できるんだ」って、ふと気づいた

──そもそも2人は、どういう経緯で番組に出演することになったんですか?

 

みな姉 私はもともと恋愛バラエティが好きだったから、「『バチェラー』の熟年版があったら面白いのにね」なんて冗談半分で息子と話していたんです。息子は「いやいや、50代や60代の恋愛なんて番組にしたところで面白くないから」って鼻で笑っていましたけど(笑)。そうしたら本当にそんな番組ができるということを知って、「これ、いいじゃん」という感じで迷わず応募しました。

 

──みな姉自身に「恋愛したい」「パートナーを見つけたい」という意思があったということですね?

 

みな姉 もちろんです。変な話ですが、既婚者からのアプロ―チはこの年齢になってもあるんです。でもそんな先の見えない今だけの恋愛をしている余裕はないですし、そもそも人の道からはずれていることですからね。この先の人生を一緒に過ごせる相手を真剣に探したかった。番組を通じてだったら、お金目的の変な人とかは事前に落とされているはずだし、ちゃんとした出会いもあるんじゃないかと期待したんですよね。

 

中さん 私は仕事が不動産関係ですけど、それとは別に趣味で俳優のエキストラもやっているんです。その流れで『あいの里』オーディションの告知を目にしたんですね。妻が亡くなってから8年間は子育てと仕事に忙殺されて、恋愛どころじゃないというのが正直なところでした。だけど番組募集のことを知った瞬間、止まっていた恋愛頭脳が再び動き出したんです。スイッチが8年ぶりに入った感覚。「そうか。俺はまだ恋愛できるんだ」って、ふと気づいた。

 

──まさに番組が中さんの運命を変えたわけですね。

 

中さん その通りです。オーディションに受かったので番組に出演することになったわけですけど、もしオーディションに落ちていても恋愛相手を探していたはずです。それくらい決定的に出演者募集の告知でスイッチが入ったんです。それと、もうひとつ。大家をやっていると隣人同士の揉め事を解決しなくちゃいけないんですけど、やっぱり世間が想像している以上に80歳くらいの高齢の方の恋愛トラブルって多くて。

 

みな姉 そうなんだ……。

 

中さん 2人のおばあちゃんが、1人のおじいちゃんを奪い合うとか普通にありますからね。そういうケースを目の当たりにしていると、恋愛に年齢の上限はないんだなとしみじみ気づかされるんです。

 

──番組初期のみな姉は、バツが悪そうにしていましたよね。

 

みな姉 それは単純に年齢のこと! 中高年専用の恋愛バラエティと聞いていたのに、実際は私が60歳で、その下の女性はトッちゃんとユキえもんの45歳。50代もいなかったし、私からすると全員が若いんですよ。下手したら、自分の娘くらいの感覚ですから。その人たちを相手にムキになって戦うなんて、私には無理だなと気持ちが萎えちゃったんです。

 

──古傷をえぐるようなことを聞いて申し訳ないのですが、番組の中でも言及されていた2回目の結婚相手はかなり年下だったのでは?

 

みな姉 たしかにそうなんですけど、あのときは私もまだ若かったですからね。40歳の時点での19歳年下と、60歳のときの19歳年下は意味が全く違いますよ。21歳の男の子から見て、40歳はギリギリお姉さんかもしれない。だけど41歳の男性から見た60歳の女性は、おばあちゃんみたいなものですから。

 

──逆に年下だから恋愛対象にならないということはないんですか? たとえば沼ぴぃは42歳。みな姉からすると、考え方が子供すぎるとか。

 

みな姉 う~ん、年齢が若いから未熟だとは思わないですけどね。沼ぴぃはすごくいい人じゃないですか。気もすごく合ったし、私とカップルになったら当面はすごくうまくいった気もするんです。だけど10年後、私が70歳になったとき、彼はまだ働き盛りの52歳。私が80歳のおばあちゃんになったとき、彼はまだまだ元気な62歳。そのとき、下手したら私は認知症とかになったりしているかもしれない。そういう相手の負担を想像すると、さすがに躊躇しますよね。

 

年を取ったら、女性陣も基本的に全員が平和主義

──出演者は中高年に限定されていましたが、若者の恋愛との違いはどんなところで感じましたか?

 

中さん 通常、こうした恋愛バラエティはバトルとかサバイバル的な要素が根底にあるじゃないですか。だけど年齢を重ねていると、忖度の気持ちが前面に出るんですよ。「どんな手段を使ってでもライバルを蹴落とす」というよりは、「集団の輪を乱さないように留意しつつ、自分の願いを叶える」という方向に意識が向かうので。私の場合、収録には途中参加でしたけど、その時点でたあ坊とゆうこりんがいい感じになっているのは明らかだった。そうすると、ゆうこりんは最初から恋愛対象外になってしまうわけです。

 

──それは恋の駆け引きとは違うものなんですかね。

 

中さん 自分の中で「恋愛の掟3箇条」があるんです。「1・友人の彼女には手を出さない」「2・会社関係の女性には手を出さない」「3・習い事で知り合った女性にも手を出さない」という内容なんですけど。ゆうこりんは1の理由からダメということになります。

 

みな姉 そのへんは『あいのり』などとの大きな違いでしょうね。年を取ったら、女性陣も基本的に全員が平和主義。たとえば誰かが「この人、ちょっといいな」と好意を寄せるオーラを出していたら、そこはみんなで応援に回っちゃう。逆に制作スタッフは肩透かしを喰らっていましたけどね。「中高年の恋愛って、こんなにもバトル要素が少ないのか」って(笑)。

 

中さん 番組的には僕と沼ぴぃがライバルとしてバチバチ戦ったほうが面白いのかもだけど、実際は妙に譲り合い精神みたいなものが出ちゃって……(苦笑)。

 

──マドンナ・みな姉を巡り、外野フライのお見合い状態になっていたわけですね(笑)。

 

みな姉 あと「この年代だからこそ」という点に関しては、若い人よりも現実に即した悩み……一例を挙げると「財産分与をどうするか?」みたいな切り口も避けては通れないですよね。仮にだけど、両者ともに子供がいたとします。2人はめでたく結婚しました。でも2人のうち、1人は先に死んでしまいました。じゃあ遺産はどうなるのか? 子供に半分、配偶者に半分でいいのか? このあたりは結構大きなポイントになると思うんです。

 

──実際、世の中でも揉めているケースがごまんとありますよね。加藤茶さんの奥さんはやいのやいの言われて悩んだみたいですし、紀州のドン・ファンこと野崎幸助氏の事件でも罵詈雑言が飛び交いました。

 

みな姉 私もネット上では同じように言われていますよ! 「みな姉は中さんが持つ不動産目的で近づいたに違いない。たいしたタマだぜ」とか(苦笑)。もう半ば諦めていますけど、どうしてもそんなふうに見られてしまう。

 

──出演者の中で、たあ坊とゆうこりんは日韓での家族観の違いに悩んでいました。子供の恋愛じゃないから、国籍のほかにも「親の介護」「宗教問題」「子育ての方針」といった生々しい現実問題にも直面すると思うんです。

 

みな姉 10代~20代の恋愛においては、介護のことなんて普通は視野にも入らないじゃないですか。だけど私たちくらいの年齢になると、親の介護はもちろんのこと、自分が倒れたら誰に介護してもらうのかという点も考えなくちゃいけない。すごく切実な問題ですよ。もしパートナーが倒れたら、きちんと最期まで介護できるのか? そういうこともリアルに考えなくてはいけないわけです。だから若い頃の「超カッコいい! 好き♡」みたいな恋愛より覚悟が問われると思う。

 

性に関しても含めて難しいですよね、中高年の恋愛は(笑)

──性に関してはいかがでしょうか? 60代以上の恋愛・結婚となると、「セックスなんて別に必要ない」と考える人も増えてくるはずです。

 

中さん そこは難しい問題ですよね。人によって考え方が大きく違うと思います。

 

みな姉 私たち2人の間でもズレがあるポイントかもしれない。私個人に関していうと、そもそも若い頃からセックスは子供作りするためのものだと捉えていたんです。快楽のためという考え方も理解できるんですけど、あくまでも最初に来るのは妊娠とか繁殖目的。だから子供を作る必要がなくなった今は、肉体関係にこだわる必要もないと思っちゃうんですよね。それよりは心の繋がりがメインになるというか。……中さんはまだまだ現役世代だから、そのあたりは考えが違うみたいなんだけど(笑)。

 

中さん 僕個人としては、やっぱりセックスは恋愛の中で大きな要素を占めるという考え方。自分の気持ちを一番オープンにして、相手のことを好きだと心から思えるのは、セックスのタイミングですから。ただ、セックスというのは相手の同意があって初めてできることじゃないですか。

 

──男性器が機能しない年齢になっても、添い寝してイチャイチャしたがる男性も多いそうです。

 

みな姉 添い寝はいいですよね。それは私もわかるな。猫とかも飼い主にくっついてくるけど、信用できる人とくっついて寝ると幸せを感じますから。セックスまでいかないまでも、相手の体温を感じていたいというのは共感できます。

 

中さん 性に関してはまだ模索中というか、僕ら2人の課題かもしれません。僕自身も10年後や20年後、気持ち的にしたくでも機能的にできなくなるかもしれないですし。そういうことも含めて難しいですよね、中高年の恋愛は(笑)。

 

年齢を重ねたゆえの魅力というのが絶対にある

──『あいの里』は好評だったため、第2シーズンが制作されることも発表されています。番組を観て励まされたという中高年も多いと思いますが、改めて同世代の人たちにメッセージをお願いできますか。

 

中さん 正直な話、あいの里へ行く前はもう1人でいる人生でいいと思っていたんです。子育てが終われば嫌でも1人になるし、そこにパートナーがいなくても全然OKじゃないかという考え方で。今はネットやサブスクのサービスも充実しているから、1人でいても時間を持て余すことはないじゃないですか。そういう考え方の人って意外に多いと思いますよ。

 

みな姉 たしかにそうだろうね。

 

中さん だけど、みな姉とつき合うようになってから考えが変わりました。自分の趣味は今まで通り持ちつつ、パートナーとも新たな楽しみを発見すればいい。つまり、恋愛をすれば人生の楽しみが2倍に広がるんですよ。この記事を読んでいる人の中には「恋愛なんて面倒くさい」と腰が重たくなっている人もいっぱいいるはずですが、ぜひ第1歩を歩み出していただきたいなと思いますね。

 

みな姉 出演者の中で私はズバ抜けて高齢だったから、番組収録の初期は完全に自信を失っていたんです。「60歳ともなると、もう恋愛とか言ってる場合じゃないのかな……」って。だけど、その考え方は間違いだった! 70歳になっても80歳になっても、女は女なんですよ。死ぬまで異性から愛されて大いに結構じゃないですか。もし世の中の女性が「私はもう50歳だから恋愛は無理」とか「60歳なのに人を好きになるなんて恥ずかしい」と感じているなら、それは自分の可能性に蓋をしている行為だと思う。

 

──含蓄があるお言葉です。

 

みな姉 肌の質感や表面上の美貌では、20代のお嬢さんに敵わないかもしれない。だけど、60代には60代ならではの美しさもあるはずですよ。そのことを自分で信じてあげてほしいんですよね。もちろん男性だって、年齢を重ねたゆえの魅力というのが絶対にあるはずですし。

 

──今後、日本はますます高齢化社会になっていきます。老人ホームでの色恋沙汰みたいなケースも増えていくことでしょう。

 

みな姉 50代以上限定のマッチングアプリが出たら流行るんじゃないですかね。「人生を最期まで一緒に歩みたい」という中高年の恋愛には、「私も彼氏が欲しい~」とか浮かれている若い子と違う想いがありますから。

 

中さん いや、でも本当に勇気を出して番組に出演してよかったですよ。全国に顔と名前がさらされるわけだから、そりゃ少しは否定的な意見も飛んできました。でも、結果的には最高の結婚相談所だったと思う。番組の回し者じゃないけど、シーズン2のオーディションはまだ受け付けているみたいだから、少しでも興味がある人は応募したらいいんじゃないかな。

 

みな姉 私も最初は「1人だけ60歳のオバサンで、場違いだったかな?」って少し後悔したけど、最後は2人の男性から声をかけられたから安心しました(笑)。なによりも番組を観てくれた人から「勇気をもらった」「励まされた」と言われるのが一番うれしいですね。いくつになろうとも、素敵な恋愛をする権利は平等にあるんだなと改めて感じました。

 

 

あいの里

Netflixにて独占配信中

※シーズン2配信決定!https://lovevillage2cast.com/

出演:田村淳、ベッキー