変声期に悩む合唱部の男子中学生・聡実と歌がうまくなりたいヤクザ・狂児の交流をコミカルに描いた、和山やま氏の人気コミックを綾野剛さん主演で映画化した「カラオケ行こ!」が1月12日(金)より公開。映画オリジナルキャラクターである合唱部の副顧問・森本ももを演じる芳根京子さんが、大きな転機となった初主演ドラマの思い出を振り返りながら、自身初となる教師役について語ってくれました。
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「表参道高校合唱部!」は、私にとってもファンの方にとっても大切な作品
──人気コミックの映画化で、芳根さん演じる森本ももは、映画オリジナルキャラクターになります。オファーを受けた時はいかがでしたか?
芳根 「原作にないオリジナルのキャラクターです」と言われたら普段ならどこか不安というか、「原作のファンの方にどう思われるかな?」とか思ってしまう気がするんです。でも、山下敦弘監督と脚本家の野木亜紀子さんが組まれる作品に出演するのは、ドラマ「コタキ兄弟と四苦八苦」に続いて、今回が2作目になります。なので「お二人が私に任せてくださった役が楽しみ!」と純粋にうれしい気持ちでいっぱいでしたし、台本も楽しく読ませていただきました。
──森本ももは、中学校の合唱部副顧問という設定です。芳根さんが合唱部員を演じ、初主演された連ドラ「表参道高校合唱部!」(以下、オモコー)から8年後に、このような役柄を演じるには感慨深いです。
芳根 「ついに、先生役を演じるときが来たか!」とうれしかったですし、合唱部の話と言えば、やっぱり自分の役者としてのキャリアの中で「オモコー」という大きな作品があるので、そういったご縁を感じられたこともうれしかったです。あの頃の出来事は、今でも強く心に刻み込まれていて、鮮明に覚えているんですよ。
──そんな「オモコー」出演当時の思い出を教えてください。
芳根 「オモコー」はいろんな意味で、自分にとって転機となった作品です。16歳で女優デビューして2年ほどで連ドラの主演をやらせてもらう重みやプレッシャーみたいなものもありましたし、とにかく経験値爆上がりの現場でした。昨年デビュー10周年を迎えて、その10年を振り返っても、やっぱり「オモコー」っていうドラマは外せないですね。9月に、初めてのファンイベントをやったときも、「『オモコー』からずっと好きです!」というファンの方が本当に多くて……! だから、私を応援してくださる方にとっても、大切な作品だったと思います。
こんなにもうれしいご縁が重なるんだ!
──志尊 淳さんや高杉真宙さんなど、一緒に合唱部員を演じた俳優さんの現在の活動は、やはり気になりますか?
芳根 例えば、ネットの情報解禁のニュースで皆さんのお名前を見かけると、やっぱり見ちゃいますし、「うれしい!」とか「私ももっと頑張らなきゃ!」と思います。もちろん「またご一緒したい!」とも強く思うので、今でも「オモコー」のメンバーは仲間であり、ライバルであり、本当にかけがえないない存在だと私は勝手に意識しています(笑)。ときどき、ほかの現場でもお会いすることもあるんですが、どこか同窓会のようで、「どんなふうにしゃべったらいいんだっけ?」って、ちょっと照れ臭くなりますね。
──ちなみに、「オモコー」で主題歌「好きだ。」を担当していたLittle Glee Monsterは、「カラオケ行こ!」では主題歌として、X JAPANの「紅」をカバーしています。
芳根 この作品に参加させてもらうことが決まったときもうれしかったですけれど、「山下監督と野木さんの映画、うれしい!」「『オールドルーキー』でご一緒させていただいた綾野さんが主演、うれしい!」「合唱部の設定、うれしい!」ときて、「主題歌リトグリちゃん、うれしい!」ですからね。「こんなにもうれしいご縁が重なるんだ!」と思いました。リトグリちゃんとは試写会で一緒に作品に見たんですが、「また皆さんとご一緒させていただいてうれしかったです」とごあいさつさせていただきました。
──劇中、ももはピアノを弾き、関西弁もしゃべりますが、役作りはいかがでしたか?
芳根 どの角度からもカメラで撮られていいよう、ピアノはたくさん練習しました(笑)。幼稚園から高校生ぐらいまでは、レッスンに通っていたんですが、この仕事を始めてからは、ほとんど弾いてなかったんです。それで、今回演奏する楽譜をいただいたら、“昔やっていました”程度の人間には弾けるような曲ではなかったので、1日6~7時間の練習を2か月間ぐらい続けました。関西弁も確かに大変でしたけれど、あの頃は「私は音大に通っているのかも?」と錯覚するような生活を送っていましたね(笑)。
「今年もやりきったぞ!」って思える一年にしたい
──もものちょっと抜けた天然キャラクターについては?
芳根 山下監督からは「芳根ちゃん、そのまんまでやって!」と言われたんですよ。なので、あんまり考えずに、ももが発するセリフに無理ない程度に、能天気なキャラを演じさせてもらいました。いいのか悪いのかは別として、もも自身はそんなに責任感が強いキャラではないですし、生徒の皆さんと同じ目線に立てる人でいたいなと思いました。私は実際に合唱部員だったことはないですが、「オモコー」での経験を思い出しながら、ももの気持ちを作っていきました。
──ちなみに、8年前の「オモコー」の合唱部と今回の合唱部の雰囲気の違いは?
芳根 「オモコー」のメンバーは、最年少だった私が高校卒業したぐらいだったんです。堀井新太さんは5歳ぐらい上でしたし。今回の合唱部の皆さんは聡実役の齋藤 潤くんをはじめ、現役の中高生だったので、とにかく若くて、エネルギッシュで、キラキラしていました。先読みみたいなことはなく、純粋に真っすぐ突き進んでいる姿がまぶしく感じました。「私はちゃんと年齢を重ねているし、そりゃ、先生になるわ」と改めて思いましたね(笑)。
──完成した映画をご覧になったときの感想は?
芳根 私は綾野さんたちとの絡みがなかったので、「自分の教え子が、こんなことになっていたなんて!」というか、ももが知らない大人たちの世界がいっぱい描かれていて、純粋に楽しませてもらいました。綾野さんがカラオケで「紅」を歌うシーンなど何度も笑わせてもらいつつ、この作品に参加させてもらえたぜいたくさを感じさせてもらいました。
──最後に、2024年の抱負を教えてください。
芳根 毎年のように思っていることですが、常に前の年を超えたいです。それは別に作品の数や量ではなく、目の前の作品に精いっぱい向き合い、年末に心残りがないよう「今年もやりきったぞ!」って思える一年にしたいですね。
カラオケ行こ!
1月12日(金)より公開
(STAFF&CAST)
監督:山下敦弘
原作:和山やま
脚本:野木亜紀子
出演:綾野 剛、齋藤 潤、芳根京子、橋本じゅん、やべきょうすけ、吉永秀平、チャンス大城、RED RICE、八木美樹、後 聖人、井澤 徹、岡部ひろき、米村亮太朗、坂井真紀、宮崎吐夢、ヒコロヒー、加藤雅也、北村一輝
(STORY)
合唱部部長の岡聡実(齋藤)はヤクザの成田狂児(綾野)に突然カラオケに誘われ、歌のレッスンを頼まれる。組のカラオケ大会で最下位になった者に待ち受ける“恐怖”を回避するため、何が何でも上達しなければならないというのだ。狂児の勝負曲はX JAPANの「紅」。聡実は、狂児に嫌々ながらも歌唱指導を行うのだが、いつしかふたりの関係には変化が……。聡実の運命や如何に? そして狂児は最下位を免れることができるのか?
公式HP:https://movies.kadokawa.co.jp/karaokeiko/
(C)2024『カラオケ行こ!』製作委員会 (C)和山やま/KADOKAWA
撮影/映美 取材・文/くれい響