3月1日にカシオから世界初の腕時計用モジュールが発表されました。その名も「Connected エンジン 3-way」。搭載モデルの第1号となったのは、航空コンセプトのMaster of G、「GRAVITYMASTER」です。カシオならではのアプローチで作り上げた最高精度の新モジュールと、最新作の全貌を見ていきます。
標準電波+GPS衛星電波+Bluetoothの3つの時刻取得システムを世界で初めて同時搭載
カシオは、これまで標準電波とGPS衛星電波のハイブリッドタイプのモジュールを展開する一方、Bluetooth接続に対応した腕時計も複数手がけてきました。どちらも動力は、ソーラー発電によるもの。これらの技術を集約したものが、「Connected エンジン 3-way」となります。
ソーラー駆動でありながらGPS衛星電波から時刻情報を受信するだけでも十分に画期的なのですが、実は同様の仕様の時計は国産メーカー各社からも発売されています。この度カシオが発表した「Connected エンジン 3-way」は、その市場から頭一つ抜け出したわけです。
では「なぜ、さらにBluetoothが必要だったのか」と、疑問に思いませんか。
突然ですが、日本には戦後、サマータイムが導入されていた時期があるそうです。また、アメリカには特定の州だけサマータイムを導入していることもあるそう。こうした政治的、習慣的な背景から今の世界各地の時差も、将来的には変わっていく可能性を含んでいるわけです。
ですが、ユーザーが時計のデータを書き換えるなんて従来の時計では不可能でした。この常識を打ち破ったのが「Connected エンジン 3-way」。これならば、スマートフォンとの連携により、腕時計の内蔵された世界28都市のデータを常に最新情報に更新できるわけです。ちなみにモバイルリンク機能は、約300都市のワールドタイム設定が可能。
GPW-2000は新仕様てんこ盛りでも価格据え置きの本格パイロット“G”
「Connected エンジン 3-way」搭載の第1号モデルとなったGRAVITYMASTER GPW-2000は、環境特化型のプロフェッショナル仕様「Master of G」のうち、「空」をコンセプトに開発されたモデルです。
あらゆるタイムゾーンを飛び越えて飛行するパイロットにとっては、この上ないモデルと言えるでしょう。立体感のある文字盤は、瞬間的に時刻が読み取れるようワイドフェイスを採用。夜光インデックスとLEDライトにより、暗所でも一定の視認性を確保しています。
GPS衛星から取得した位置情報を文字盤に簡易表示するほか、飛行中のパイロットが基準とするUTC(協定世界時)に10時位置のボタン操作で直ちに切り替わる機能も備えています。
時計側のボタンを押した際の地点と時刻の情報をスマートフォンの地図上で表示できるフライトログ機能も搭載。これは飛行機に限らず、ツーリング程度の距離でも活用できるそうです。
GRAVITYMASTERといえば、G-SHOCKの基本である耐衝撃構造に加え、パイロットが飛行中にさらされる急旋回や急上昇の際にかかる遠心重力、操縦桿を握る手に伝わる微細振動にも耐える「トリプルGレジスト」構造も特徴。しかもGPW-2000では、バンドの固定にビスを使わない新構造が採用されました。
ビスは、振動によって緩みが生じる可能性があります。このビス脱落の可能性を排除するため、バンドを繋ぐシャフトにカーボンファイバーを封入したファインレジンのパーツと、ファインレジン製シャフトカバーで固定しているそうです。
1974年、カシオは世界初のオートカレンダーを搭載した「カシオトロン」の発表で時計産業に参入しました。当時の時計で目指したのは、「停止することなく自動的に正しい時刻、カレンダーを表示する完全自動腕時計」だったといいます。
ユーザーが煩雑な操作を行うことなく、時計が自動的に正確な時刻をユーザーに提供する「Connected エンジン 3-way」モジュールは、まさに参入当時の開発思想そのものでしょう。
GRAVITYMASTER GPW-2000から始まるカシオの新時代。2017年のバーゼルワールド発表作にも期待が高まります。