バーゼルワールド2017で発表された新作を取り上げていきます。今回は、人気ジャンルのひとつであるクロノグラフから、非常に興味深いモデルを3本について詳しく見ていきます。
ブライトリング悲願のキャリバーB03がついに完成!
クロノグラフとパイロットウオッチの歴史に欠かすことのできない、ブライトリングが、ついに自社開発・製造のラトラパンテ(スプリットセコンド・クロノグラフ)を開発しました。
スプリットセコンド・クロノグラフは、時計界でも特に複雑な機構と言われており、機械式クロノグラフの頂点と言えます。
ブライトリングの自社キャリバーは、これで、01〜B06まで連続したナンバーが揃ったことになります。
言い換えれば、B03のプロジェクトは早くから始まっていたものの、このタイミングまでかかったことに。いかに開発が難しいものであったかを物語っています。
驚くべきはその価格。なんとSSモデルならブレスレット仕様でも149万400円。今年のブライトリングは、プライス面でもかなり攻めています。
ポルシェ・デザインが作り出したボタンのないクロノグラフ
ポルシェ・デザインは、名車ポルシェ911の設計デザインを手がけたF.A.ポルシェが立ち上げたデザインスタジオ。世界で初めて時計のケースにチタニウムを使ったブランドでもあります。
長年、時計ブランドとの共同開発体制でしたが、近年は単独で時計開発を行うようになりました。
その成果が存分に発揮されたのが、今年の新作「モノブロック アクチュエーター」。
チタンケースにはボタンに代わり、ケースを押すことでクロノグラフが操作できます。
これだとモノブロックのケース特有の気密性を損ないそうな構造ですが、これをポルシェ・デザインでは驚くべき方法でクリアしたのです。
バーゼルワールドで説明してくれた開発担当者によると、本機には昨年末にポルシェから発表された911 RSRに搭載されているエンジンと同じシーリングが使われているとのこと。つまり、クロノグラフの操作程度ではビクともしないのです。
大型で決して価格も手頃ではないですが、担当者が言うように「No Marketing, It’s Engineering」で作り上げられた時計と言えるでしょう。
フレデリック・コンスタントの最新自社キャリバーは特許取得のフライバック・クロノグラフ
シリコン脱進機やスイス製コネクテッドウオッチなど、先進技術をいち早く手がけてきたフレデリック・コンスタントが次に作り上げたのは、自社製フライバック・クロノグラフでした。
フレデリック・コンスタントでは、パーツ点数わずか96個のモジュールをベースムーブに追加するだけで、この複雑機構を完成させてしまったのです。
コラムホイールには星型を取り入れており、スタートボタンを押すとベースムーブとモジュールを繋げるギアがスライドしてクロノグラフが始動。
この状態でリセットを押すと、特許取得のリセットハンマーが一瞬にして全てをリセットして直ちに再計測を行います。
6時位置にポインター式のデイト表示を置くことで、クラシックなクロノグラフの趣きを残しています。
クロノグラフは、そのデザイン的な特徴から人気がありますが、見た目の裏に隠れたストーリーを知るとさらに面白みが増すもの。200年以上の歴史ある機構も、まだまだ新たな可能性を秘めているのです。