腕時計の良し悪しを見極めるポイントには「ムーブメント」「ケース」「文字盤」が挙げられます。しかしそれらの製法がいま、かなり複雑化してきているのをご存知でしょうか。そこで、ブランドのあり方にも関わるこの“3要素”について、従来の常識と現状を深掘り! 前回のムーブメント編に続き、第2回目はケースについて比較して見てみましょう。
2017年のケース事情は?
時計のケース素材は、プラチナや18金といった貴金属か、SS(ステンレススチール)、目新しいものでチタン、というのはひと昔前の話。いまでは、カーボンやセラミックが時計のケース素材として台頭しています。この他、様々な素材を掛け合わせたハイブリッドな素材の開発も盛んに行われています。
貴金属
懐中時計の時代より使われる素材の代表格にして最高峰
様々な素材が開発されても、ケース素材の最高峰はやはりゴールドやプラチナ。加工しやすい18K合金には、様々な色味が出せるという利点もあります。
主な素材:プラチナ、18KWG、18KRG、18KYG
合金
腕時計の素材として定着した高耐久性能を誇るマテリアル
耐久性が高く、価格も抑えられるSSやチタンは、現代の時計ケースの主役。ダイバーズウオッチからドレス系まで、多用途に使われています。
貴金属×非金属
高級感と耐久性を融合させた腕時計にとっての夢の素材
非金属(主にセラミック)と金属を掛け合わせる特殊な合金は、双方の素材特性の良いとこ取り。盛んに研究されている分野のひとつです。
非金属
未知なる可能性を秘めた次世代素材は「カーボン」
非金属のケースというと、安価な樹脂製を思い浮かべがち。実際は、ナノレベルで研究されたカーボンを使った高級時計も複数発表されています。
【コレが新常識!】素材表面の加工も多様化
IP:素材表面に薄膜を形成するPVDの方法のひとつ。蒸発粒子と素材に電荷を帯びさせ、密着性の高いコーティングが施せる点が特徴
PVD:素材を薄膜でコーティングする物理蒸着法の総称。耐摩耗性を高められる他、ケースにゴールドやブラックの色を乗せることが可能に
DLC:ダイヤモンド・ライク・カーボンは、主に炭素と水素で構成される非晶質のカーボン硬質膜のこと。ケースの耐摩耗性が高められます
ケース事情まとめ
ハイブリット素材の独自開発によって、今や新しい素材が毎年のように登場。最先端の素材を知るなら、宇宙開発の分野か、F1か、腕時計か…というほど、時計のスペックはさらなる高みへと到達しています。新鋭素材の数々に、どれを選択するべきか悩んでしまいそうですが、素材の特徴や特性、メリットなどを知っておけば自分に合ったものが見つけられるかもしれません。
次回は文字盤の最新事情に迫っていきます。