かつて、MEN’S CLUB編集長を務めた名物編集者・戸賀敬城。現在は、「ナノ・ユニバース メンズ・ディレクター」「ヒルトン・アンバサダー」など、名だたるブランドをコーディネートする役割を務めながら、多岐に渡ってファッションアイテムの価値を啓蒙しています。また、そんな毎日をつづったブログ「トガブロ。」が、アパレル業界内外を問わず大きな反響を呼んでいます。
そんな戸賀さんのラグジュアリーな価値観を、一冊にまとめたムック本が先日発売されました。
トガ本。The Bag
多くのファッションメディアを牽引してきた戸賀敬城がプロデュースする、ラグジュアリーブランド読本。本作がテーマとするアイテムは、「バッグ」。定番品から新作まで、大人の男を格上げするバッグを独自の目線で紹介しています。また私物コレクションも披露した、豪華な仕上がり。
本記事では特別に、誌面で紹介している企画をチラ見せしたいと思います。
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戸賀さんが特に思い入れを持っている「エルメス」のストーリーを、ぜひご覧ください!
出会いとチャンスをモノにすることを実感させた、運命のオータクロア。
エルメスは出会いだ。店によって置かれているものが異なり、モデルはもちろん、気に入った色やサイズに出会えることは、ほとんど運命的なものだからだ。
「探していたモデルがパリの第1号店になくても、日本の伊勢丹で見つけられたりもする。そんな出会いに運命を感じるし、それこそがエルメスの愉しみ方なのだとも思うようになりました」
オータクロアはエルメスが最初に作ったバッグと知って以来、いつかは欲しいと願いながら思いどおりのモデルに出会えずにいた。
「コイツに出会ったのは9年前のミラノ。サンタンドレア通りにあったエルメスでした。出張中だったので、買って帰るべきかしばらく店で悩みました。ホテルに戻って頭を冷やしてもみたんですが、それでもやっぱりこれは出会いだ、と」
結局、スーツケースにオータクロアを併せ持ちして帰国することに。のちに「清水の舞台から飛び降りるとは、まさにこのこと」と振り返る。そのうえ「旅のいい思い出になった」とも。
「大荷物で出かけて、帰りに荷物増やしてどうすんだって感じですが」と笑うが、旅先で買うバッグは、素敵な思い出を持ち帰るためのものなのかもしれない。
「トガ本。 The Bag」では、これらのようなエルメスに対する人並み外れた戸賀さんの思いをはじめ、さまざまな高級バッグへの思想が読み取れます。興味を持って頂いた方はぜひ読んでみてはいかがでしょうか?
トガ本。The Bag
文/ゼロヨンラボ 撮影/鈴木泰之(Studio Log)